KUMONトピックス
Feature Report - 進化し続ける活動
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KUMONグループの活動  2017/03/28更新

Vol.200 自立支援としてのKUMON  

“なりたい自分になる”ためのサポート
学びを通しての自立支援
そして人生を拓く支援

現在、KUMONは日本を含む49の国と地域で学びを提供しています。そのほとんどは「公文式教室」が学びの場ですが、実は大学や専門学校、企業、児童養護施設、就労移行支援施設など、教室以外にも広がっています。今回は「社会福祉」「障害福祉」という面での広がりをご紹介します。担当部署である施設サポート部部長の石井勝志にききました。

真の意味での自立とは?
“なりたい自分”になれているのだろうか…


放課後等デイサービスでの学習風景(千葉)

2016年あたりから放課後等デイサービス(※4)での導入が増えていますが、それには迷いもありました。放課後等デイサービスは、障害のある子たちを対象とした療育の提供の場です。ですから、公文がお役にたてるのか疑問があったのです。しかし、昨年に入ってから、そういった考えを改めなければいけないと気づいたのです。きっかけは、就労移行支援施設の利用者さんたちの就労の実態を調べ、個別にヒアリングもさせていただいたことでした。公文式学習により就労実績が向上したとはいえ、その半数近くが、いわゆる“軽作業”という清掃や組み立てなどの仕事でした。もちろん、ご自身が希望される職種に就く方もいますが、多くはありません。

実際、こんな利用者さんもいました。東京のある就労移行支援施設を利用されている20代後半の女性。軽度の知的障害はありますが、とてもしっかりした方です。この女性の希望職種はパティシエ。お菓子屋さんでの勤務経験もありましたが、お菓子作りの仕事はさせてもらえなかったそうです。その理由は、お菓子作りにはいろんな材料の計量や割合などの計算が必要だからです。いったんお菓子屋さんを辞め、現在の施設に来たのが一昨年の夏。そこで公文に出会い、算数の教材に懸命に取り組みはじめました。しかし…学力診断テストにより、彼女がスタートした公文の算数の教材は小1レベルのたし算。1年半後の現在、教材進度は小2レベルの筆算の引き算。よくがんばっていると思います。けれども、パティシエになるのに必要な数学の力は中1レベルくらいだそうです。そして、就労移行支援施設の利用期間には2年間という制約があります(※5)。障害の有無にかかわらず、個人別で着実に学力を高められる公文式とはいえ、あと6ヵ月で約5学年分の学力をつけるのは至難です。このことを部内で話し合ったところ、ほとんどのメンバーが“この女性が小学生か中学生のころから公文を学習していたら、高校卒業のころには中1レベルの教材まで行けたのでは…。とてもくやしい”という想いでした。

その後、彼女のお母さまとお話しすることができ、こんなことをうかがいました。「小学校に入ってすぐのころ、近くにあった公文の教室に通わせようと思ったのですが、その当時は多動もあり、今で言うパニック障害のような症状もあったので、ご迷惑になるだろうと思い、教室のドアをたたけませんでした。シングルマザーで、経済的にも塾へ行かせる余裕はなかったですしね」。このお母様の言葉に、とても考えさせられました。ほかの利用者さんと保護者の方にも聞いてみたところ、“ご迷惑になるから…”“経済的に…”という理由で、公文の教室に通うのをあきらめた方が予想外に多いことに驚かされました。

迷いは残りましたが、公文の障害児教育では、東北大学の川島教授をはじめとする外部の識者のみなさんとの共同研究で、公文式学習が学力だけでなく、社会性や認知面の改善など療育的な面でも効果があることがわかっていたこと。そして、何より「個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばす」という公文の理念に後押しされ、昨年からは、放課後等デイサービスで導入を希望される事業体や団体さんなどがあれば、よく話し合って、子どもたちをともに支援するパートナーとして信頼できることがわかれば、導入させていただくようにしています。“小学生・中学生・高校生のときから公文を学び、そのあと就労移行支援施設でさらに学びに磨きをかけ、自分のやりたい仕事に就く”。これが理想だと思うのです。つまり、より長い期間を通しての学習支援が、将来の就労という自立支援につながると考えています。

 

学びを通しての、人生を拓く支援


就労継続支援B型事業所での学習風景(山梨)

公文式教室以外での学びの場はさらに広がっています。障害の重い方が多く、学習にも就労にも縁遠いとされることが多い、就労継続支援B型事業所での導入。社員教育の一貫として、障害のある社員さんの能力を高め、仕事の質を向上するために公文をという大手企業の特例子会社。“死にたい”という言葉を日常的に口にする不登校の子たちが集うフリースクールでの学び。10代から40代のひきこもりの人対象の青少年更生施設での、脱ひきこもりをめざした学習。どの施設のみなさんも、その想いは真剣であり切実です。その想いに応え、障害を含む、さまざまな課題のある子どもたち、大人たちの、これからの人生を拓く支援を、公文式学習を通してしていく。その実現に向け、日々の仕事によりいっそう真摯に向き合っていきたいと思います。

  • ※4・・・放課後等デイサービスは、児童福祉法(厚生労働省)によって定められた障害のある子たちへの新たな支援です。2012年4月からスタートしています。その内容は、同省資料によれば、“授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他便宜を供与する”とあります。言葉を代えれば、“学齢期の障害のある子たちの健全な発達を促し、将来の自立を促進するための支援となる良質な療育の提供の場”ともいえます。放課後等デイサービスの多くの施設は、街なかにあり、その支援の形態も、運動系・音楽系・学習系など様々。定員は10人という施設がほとんどです。同様の支援で、未就学の障害児対象の“児童発達支援”もあります。
  • ※5・・・就労移行支援施設(または事業所)は、障害のある人たちが仕事に就くために必要な能力やスキルを身につけるための、いわば“学校”のような学びの場。利用料は必要ですが、基本は1割負担なので比較的安価です。また、所得等に応じ利用者負担上限金額が適用されるため、自己負担なしで利用できる場合もあります。ただし、利用期間は基本2年間(再延長あり)という制約があります。

関連リンク
就労移行支援を含む障害福祉サービスの体系(厚生労働省)
放課後等デイサービス(ガイドライン、厚生労働省)

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