スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2020/08/28更新

Vol.063

往来物研究家
小泉吉永先生  前編

江戸の知恵には学びがあふれている
“好き”をとことん掘り下げて
出会いを引き寄せよう

小泉 吉永 (こいずみ よしなが)

東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、学校教員や出版社編集者を経て、現在、立正大学および人間総合科学大学非常勤講師、学術博士(金沢大学)。江戸時代の教育や庶民文化に関する講演・執筆や展示企画の傍ら、各種メディアにも出演。主要著作に、『往来物解題辞典』『「江戸の子育て」読本』『江戸に学ぶ人育て人づくり』など多数。近著に『心教を以て尚と為す―江戸に学ぶ「人間教育」の知恵』がある。

27歳のとき、古書店でたまたま手にした一冊との出合いを機に、「往来物」といわれる「江戸時代の教科書」の蒐集と研究を始めた小泉吉永先生。研究対象は、江戸時代の教育や庶民文化などにも広がり、現在は大学やメディアなどでご活躍されるほか、「江戸樂舎」を主宰し、誰もが楽しみながら江戸を学べる機会を提供しています。往来物の魅力や、江戸時代と現代の教育との違い、浮世絵のコレクションと研究を続けてきた公文に対する印象などについてうかがいました。

高校時代、古典の先生との出会いで「学びを味わう」楽しさを知る

往来物研究家 小泉吉永先生

私自身は子ども時代、鼓笛隊や草野球、ソフトボールなど誘われるままにやりましたが、夢中になれず、活躍することもありませんでした。忘れ物はクラスで一番多く、勉強もできるほうではありませんでした。ただ、絵を描くのは好きで、図工だけは得意でした。

そんな私が「努力すればできるようになるんだ」と自信がついたのは、小6の頃です。当時、社会科に興味を持ち、親が揃えた分厚い百科事典を学校に持ち込んで授業を受けていたら、自然と成績が上がりました。中学に入ると、スタートラインが全員一緒の英語を頑張って勉強し、その頃からほかの教科も少しずつ得意になっていきました。

高校は地元の公立高校を希望していましたが、補欠合格した私立の巣鴨高校へ入学しました。入学早々「(受験まで)あと1000日」と言われ、部活にも入らず、大学受験に向けてひたすら努力しました。一方で、中学時代から鉄道写真を撮ることに夢中になり、高校入学後も、夜行列車の一人旅でさまざまな場所に行きました。

いまでは考えられませんが、貨物列車を引く電気機関車の助手席に乗せてもらったりしたこともあります。また、深夜の貨物列車を撮影しようと駅構内に三脚を立て、時々、鉄道員や運転手の控え室に行って質問したこともありました。好きなことには臆せずできたのでしょうね。大人たちも、子どもをむげにあしらわない、ぬくもりのある、おおらかな時代でした。

高校時代に好きになったのが漢文や古文です。漢文と古文は「誰にも負けたくない」と思って一生懸命勉強しました。とくに古文の先生が希望者に実施した放課後の特別講習では「方丈記」や「伊勢物語」などを読み、古典の味わい方を学びました。古文の先生は、第一志望の早稲田大学出身で、クラスメートとともに早稲田祭にも連れて行ってくれました。こんなわけで、受験は早稲田大学に絞って4学部(ほかに滑り止めとして他大学2学部)受験し合格したひとつの政治経済学部に進みました。

しかし「学部はどれでもよく、とにかく早稲田」という思いで受験したので、とくに政治経済に関心があったわけでもなく、将来に対する確固たる夢や志もありませんでした。ところが、大学時代に親の影響で地域のボランティア活動や中学生に勉強を教えたりするうちに、「教師になりたい」という夢が芽生えました。巣鴨高校時代の先生方との交流も続き、「すばらしい先生方に恵まれていた」と気づいたことも影響しています。教職課程を学んで社会科教師を目指し、就職活動は一切しませんでした。

 

関連リンク
小泉吉永ホームページ
往来物倶楽部
江戸樂舎
三次市立図書館発「おとなの寺子屋―ネットで学ぶ往来本―」
小泉吉永著『心教を以て尚と為す─江戸に学ぶ「人間教育」の知恵─』(敬文舎) 


 

往来物研究家 小泉吉永先生  

後編のインタビューから

-人生を変えた出合いとは?
-小泉先生が考える「学び」とは?
-江戸時代から受け継がれる日本の教育文化

 
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