スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2019/05/17更新

Vol.054 関西大学 外国語学部・
関西大学 大学院外国語教育学研究科
教授 竹内理先生  前編

ふれて、使って、気づいて、直す」
外国語習得の効果的なサイクル
自分の目的にあった英語力を育てよう

竹内 理 (たけうち おさむ)
1962年兵庫県生まれ。専門分野は、英語教育学、応用言語学、第二言語習得。神戸市外国語大学外国語学部および同大学院外国語学研究科(英語学)を修了後、同志社女子大学研究助手に着任。専任講師時代にフルブライト奨学金を得て米国に留学。カリフォルニア州のモントレー大学院を首席で修了(英語教育学)。帰国後、同志社女子大学助教授および関西大学総合情報学部助教授などを経て、現在に至る。博士(学校教育学)。著書に、『達人の英語学習法——データが語る効果的な外国語習得法とは』(草思社)、他。国際研究誌にも論文多数。文科省検定英語教科書(小中高)の執筆にも携わっている。

「英語(外国語)教育学」という学問分野が、まだ十分に確立されていなかった17年前、外国語教育学を専門に学ぶ大学院の創設に尽力された竹内理先生。自身が学び始めた頃は、英語があまり好きでなく、成績も芳しくなかったとのこと。しかし、中2の時のある先生との出会いにより成績がぐっと伸び、英語を学ぶ楽しさを知ったそうです。そんなご自身の体験を踏まえ、英語学習は「ネイティブのように話す」ことではなく、「英語を使って自らの目的を叶える」ことを目指そうと提案されています。そんな先生に、英語の学習法や今の時代に必要な「英語力」、そして「学びのあり方」などについて、うかがってみました。

会話をすることだけが「英語を使う」ことではない

日本の英語教育に対しては、「中学・高校の6年間、小学校を入れるともっと、習ってきたのに使えない」とよくいわれます。これは、いつかは「使える」と思って、ひらすら知識として勉強だけして、実際に「使わない」から、使えないのです。ここでいう、「使う」というのは、なにも日常会話をすることだけではありません。目的を定め、その実現のために英語を用いる工夫をすれば、「使う」ことになります。例えば、日本文化を外国の人に説明する文章を英語で書く、社会科で学んだ世界の貧困について英語の文献を読む。教育の問題について英語で発表して海外の人と意見を交わす。これらもすべて、立派な「使う」ことになるのです。

英語を知識としてため込むだけで終わっていては、あまりにももったいない。スポーツのクラブがあるように、英語を使ったプロジェクト活動が放課後に行われるなどすると、英語学習もうまく行くようになるかもしれませんね。そうして使っていく中で、「文法事項、たとえば関係代名詞は、こんな時に使うのだ」、「このように音が変化するので聞きづらいのだな」などと、気づいていけば良いのです。

文法知識が身についていれば、論文も書けますし、文章も読めるようになります。そのため、私は文法を学ぶことを否定するつもりはありません。ただ、何のために文法を学ぶのかは、よくよく考えて欲しい。ある目標を達成するために必要があるから、そのために手段として文法を学ぶのだ、という考え方は忘れないで欲しいですね。

コミュニケーションについては、できれば英語ネイティブ話者だけでなく、例えばアジアの人たちなどと交流する手段として英語を使うようにすると良いですね。これを通して、「お互いの言語や文化を学び合おう」となればもっと望ましい。英語だけ学んでいたらそれで良いという考え方を持つと、視野が狭まくなるうえに、考え方の柔軟性までも失ってしまいます。2020年度から小学校5、6年生で英語が正式な教科になりますが、このような意味で、「英語だけ」でよいのかは少し疑問です。ほんの入門でも構わないので、様々な言葉に触れるチャンスを与えてあげたいと思います。

大学入試では、民間のテストなどを利用して、4技能(読む・聞く・話す・書く)を測定する方向となっています。これをきっかけに、技能間のバランスのとれた英語学習や、「聞いて話す」「読んで書く」のように、複数の技能が統合された英語学習が進むのなら、これは良いことだと思います。単に会話ができればそれで良い、というのは健全な考え方とはいえません。それぞれの大学や学部が、自分たちの教育目標にどの技能が、あるいは技能の組み合わせがもっとも必要かを考えて、その教育目標にあった試験を選択して利用していけば、おもしろい展開が期待できるのではないかと考えています。

目標を定めることの大切さとは

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