全国模試も一種の全国対戦ゲームと考えて楽しんだ
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私自身はたくさんのことに興味を持ち、いろんなことに取り組んできました。しかし、ひとつのことに専念し、そこで力を発揮するタイプの人もいると思います。自分が楽しいと思えることを見つけて、それをやるのが一番だと思いますが、「何を楽しいと思うか」は人それぞれです。私の場合は「競争すること」で、全国模試も一種の全国対戦ゲームと考えて楽しみました。
苦しいと続きませんから、「やるなら楽しむ」という気持ちが大事だと思います。私は、「1日1局」など自分にノルマを課したりすることはしませんでした。自分を追い込んで、嫌いになってしまったら元も子もありませんから。
将棋と大学受験の両立についても、「入試も将棋もどちらもダメでも、まあしょうがないか」と楽観的に考えていたことが幸いしたのかもしれません。棋士になるときも、年齢制限があるので、「それまでにプロになれなかったら仕方ない。そうなったら研究をがんばろう」というぐらいの気持ちでした。ただ、大学受験を目指すようになった高2からは、切り替えて勉強するようになったように、「やるべきときにきちんとやる」ことは、意識してきたかもしれません。
保護者の皆さまにお伝えしたいのは、子どもが何かをやりたいと言ったら、否定をせずにまずはやらせてみてはいかがでしょうか。勉強以外からも学べることはたくさんあります。例えば、将棋AIに触れて、「これはどう作られているのかな」と不思議に思い、それが大きなモチベーションとなって数学が大好きになることもあるのではないでしょうか。学校での勉強をするタイミングではなくても、勉強したくなるタイミング、勉強が楽しくなるタイミングが、人それぞれにあるのではないかと思います。
情報があふれ、スマホがあれば何でもできる時代において、子どもたちに「ゲームをしてはいけません」というのは至難の業です。でも、スマホで受け身のゲームをするよりも、パソコンを使ってプログラミングをするなど、クリエイティブなことをする機会を増やすといいと思います。自分で何かをつくって発信するほうがより楽しいと、私自身、実感しています。