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Vol.576 2026.01.13

国際交流基金による日ASEAN中高教員交流事業:KUMON企業訪問受け入れ

ASEAN教員×国際交流基金×KUMONで広がる 教育交流の未来

独立行政法人国際交流基金(JF)は日本ASEAN友好協力50周年を機に開始された「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」の一環として、2024年11月より「日ASEAN中高教員交流事業」(以下、本事業)を始めました。日本とASEANの未来を共に創る人材を育成するために、双方向の知的・文化交流を通じて相互国際理解を深めることを目的にしています。今回、アジア・オセアニアにも展開しているKUMONに企業訪問の依頼があり、ASEAN 9か国から中等教育機関に所属する校長・副校長・教頭職、並びに教育行政官など、70名以上の先生方を3回にわたりお迎えしました。訪問の様子や参加者の声をご紹介します。

目次

    日ASEAN中高教員交流事業におけるKUMON訪問の様子

    企業受け入れの様子
    企業受け入れの様子

    企業訪問先としてKUMONにお声がけいただいた理由をうかがったところ、日本における、公教育だけではない多様な教育の側面を視察してもらうことで、日本の教育の実態に対する理解を深めていただきたいこと、そこでKUMONのASEAN地域での広い事業展開とSDGsへの取り組みについて聞くことがためになると考えたとのことでした。10月27日(月)、11月10日(月)、21日(金)の3回、ASEAN9か国(インドネシア・カンボジア・シンガポール・タイ・フィリピン・ブルネイ・ベトナム・マレーシア・ラオス)から70名以上の教員の方々が訪問し、KUMONの事業や世界への広がり、公文式学習の特長、SDGsの取り組みについて説明を受けました。

    KUMONへの質疑応答への様子
    KUMONへの質疑応答への様子

    逐次通訳を伴った説明後の質疑応答では、公文式学習の指導法や教材、指導者の採用基準、学習者の対応、展開国の可能性など、教育現場に直結する質問が多く寄せられました。また、障害者への指導や学習療法への関心、公文式教室での学習、展開国での教材内容、学習効果に関する質問もありました。

    品川オフィスツアーの様子
    品川オフィスツアーの様子

    質疑応答の後、KUMON品川オフィスツアーを実施し、東京総務チームにより学習療法(※)センターや通信学習チームなどを紹介。社員の温かい歓迎に、参加者からは「素敵な会社」との感想もいただき、オフィスツアーは和やかな雰囲気で終了しました。

    ※学習療法…読み書き・計算や「磁石すうじ盤」(数字が書いてある盤に、同じ数字が書いてある磁石のコマを置いていくもの)を、時間を計りながら行うことで、脳を活性化させ、認知症の進行防止、改善を目指すもの。

    学びの絆を深める―国際交流基金が語る本事業の意義

    国際交流基金 国際対話部 事業第2チーム長 中島様
    国際交流基金 国際対話部
    事業第2チーム長 中島様

    国際交流基金 国際対話部 事業第2チーム長の中島様(以下、中島)と山﨑様(以下、山﨑)に本事業にかける想いや参加者の様子、また今後の期待などをうかがいました。
    Q:日ASEAN中高教員交流事業に込めた想いは?
    中島:国際交流基金は1972年に設立され、2003年に独立行政法人となりました。ASEANの先生方に日本の教育やSDGsの取り組みを視察していただき、日本の子どもたちとの交流を通じて日本を理解し、帰国後に授業で活かしてもらうことで、次世代の交流を育んで欲しいと願っています。

    Q:参加者の様子や変化は?
    中島:各国の教育省が推薦する優秀な先生方が参加しています。多くの先生方が日本の子どもたちの勤勉さに驚き、同時に主体的な学びにも関心を寄せていました。規律や勤勉さと自立という面は一見すると相反するように思えるのですが、ASEANの先生方から両方の側面を評価いただけたのは、とても興味深いです。また、日本の小学校を訪れた際に知った掃除の時間を全員で行う習慣は、ASEANでは珍しく、「自校でも取り入れたい」という声もありました。

    国際交流基金 歓迎レセプションの様子
    国際交流基金 歓迎レセプションの様子

    Q:今後の展望は?
    中島:本事業は2024年から10年間続く予定です。残り8年間、日本の教育を視察し、自国に還元していただくことを、そして日本の課題である少子高齢化などをASEANの授業で取り上げ、議論が広がることを期待しています。また、本事業に参加した先生同士の情報共有や学びのアウトプットを通じて、事業が継続的・発展的に育つことが重要です。私たちも素材を提供し続け、ASEANの先生方から学ぶ機会を増やしていきたいと思っています。

    国際交流基金 国際対話部 事業第2チーム長 山崎様
    国際交流基金 国際対話部
    事業第2チーム 山﨑様

    Q:印象に残った場面は?
    山﨑:高校訪問の際のランチミーティングです。高校の先生とASEANの先生が昼食を取りながら話し合う時間がありました。私はその様子を見ていて、日本とASEANが抱える課題は共通していると強く感じました。例えば、子どもが学校に来ない、どうやって勉強に集中させるかなど、同じ悩みを抱えているんです。日本側が一方的に「日本の教育のいい部分」を見せるのではなく、ありのままを見せることでお互いの観点を学び合っている姿がありました。それぞれの国の教育事情は異なっても、未来の教育をよりよくするにはという同じ視点で話し合うことが大切だと感じました。学校現場で起きる課題には世界共通のものがあり、そこから新しい視点や学びが生まれる。ASEANの先生方からも学べることがあるので、そういう部分をもっと掘り下げたいと思っています。

    Q:本事業の魅力は?
    山﨑:学校や民間企業の視察をすることで、日本の教育事業の知識が増えたというより、日本とASEAN共にお互いの絆が深まったことが大きな魅力です。同じ目線で話し合うことで、「課題はユニバーサルなものだ」と気づけたことに意義があります。

    Q:KUMON訪問での参加者の様子は?
    山﨑:参加者の多くがKUMONを知っていたことに驚きました。皆さん熱心に話を聞いていて、教材にも強い関心を示していました。特に、生徒のレベルに合わせてスモールステップで教材を提供する個人別の学習法に興味をもつ方が多かったです。

    Q:今後の展望は?
    山﨑:視察をすることで、ありのままを見てもらうことです。学校教育だけでなく、KUMONのような教育現場も知ってほしいと思っています。また、日本の教育を「理想的」として見せるのではなく、課題も含めて共有したい。そうすることで、ASEANの先生方が抱える課題と共通点を見つけられるはずです。

    KUMONから広がる教育の可能性:ASEAN教員の声

    次に、KUMONを訪問されたタイ・ベトナム・ラオスの先生方にプログラムの参加のきっかけや、KUMON訪問の感想、今後の展望について聞きました。
    タイ:アディソン・ネートティップ先生 チェンマイの中高一貫校の社会科教員
    ベトナム:レ・ティ・フォン・タオ先生 ハノイの中学校国語科教員
    ラオス:ボングラティー・ボン先生 ビエンチャンの中高一貫校の社会科(歴史)教員

    アディソン・ネーとティップ先生 タイ中高一貫校の社会教員
    アディソン・ネートティップ先生
    タイ中高一貫校の社会科教員

    Q:参加のきっかけは?
    ネートティップ先生(タイ):日本の教育に強い興味があり、学びたいと思ったことがきっかけです。

    タオ先生(ベトナム):国際交流基金から文部科学省を通じて情報を受け取り、応募しました。自分を成長させたいという思いと、日本の先進的な教育事例を学びたいという目的がありました。

    ボン先生(ラオス):日本の学校で授業の進め方を学び、ラオスとの違いを比較し、活かせる方法を探すために参加しました。

    アディソン・ネーとティップ先生 タイ中高一貫校の社会教員
    レ・ティ・フォン・タオ先生
    ベトナム中学校国語科教員

    Q:KUMONについて聞いた感想は?
    ネートティップ先生(タイ):創始者の息子への想いに感動しました。企業理念が社員にも浸透していると感じました。私の父も学校の先生なので、KUMONの広がりを生徒や息子に伝えたいと思います。


    タオ先生(ベトナム):生徒を指導する者として、KUMONの考え方に強く共感しました。特に、自学自習や個人別学習を通して、公文式学習が確立している点が素晴らしいと思います。また、学習者が公文式教室に来る時間を自分で決められる学習法は、時間が固定されているベトナムの現状と対照的で印象に残っています。さらに、企業として利益を追求しながら社会貢献し、ブランド力を高めている点も評価しています。


    ボン先生(ラオス):創始者が息子のために手作りの教材をつくったことからというKUMONの始まりの話に感動しました。KUMONの理念は素晴らしく、とくに貧困層の子どもたちに質の高い教育を届ける取り組みに心を打たれました。この話を学校の生徒にも伝えたいと思います。「貧しくても質の良い教育を受けられる」という希望を広めたいです。

    ボングラティー・ボン先生 ラオス中高一貫校の社会科教員
    ボングラティー・ボン先生
    ラオス中高一貫校の社会科教員

    Q:今後、学んだことをどう活かしますか?
    ネートティップ先生(タイ):日本の教育で学んだ「誰も取り残さない人材育成」に感銘を受けました。多様性や自治体・民間との連携は素晴らしいモデルで、タイでも取り入れたいです。また、KUMONの個人別学習の仕組みはタイにはまだ浸透していないので、普及させたいと思っています。


    タオ先生(ベトナム):私は2つのことを自分の学校に導入したいと考えています。
    1.スモールステップ学習を取り入れ、生徒が段階的にゴールへ進めるようにしたい。
    2.SDGsの取り組みについて、17の目標のうちいくつかを自分の授業で実践していきたい。

    ボン先生(ラオス):日本の発展の鍵は教育と人材育成にあると学びました。教員同士が同じ目標に向かって協力する姿勢も参考になります。また、日本の学校で見た課外活動や特別活動は、子どもの想像力を育て、モチベーションを高める素晴らしい仕組みだと思いました。ラオスでも取り入れたいです。

    今回の訪問を通じて、ASEANの先生方とKUMONが共有したのは、教育に対する情熱と「誰も取り残さない学び」という共通の価値観でした。国境を越えた対話から生まれる気づきは、未来の教育をよりよくするための大きな力になります。KUMONは、これからも世界中の子どもたちに学びの機会を届けるとともに、教育を通じた国際交流の場を広げていきます。

    関連リンク KUMONの取り組むSDGsを考える⑤前編|KUMON now! KUMONの取り組むSDGsを考える④前編|KUMON now! KUMONの取り組むSDGsを考える③前編|KUMON now! KUMONの取り組むSDGsを考える②前編|KUMON now! KUMONの取り組むSDGsを考える①前編|KUMON now! 国際交流基金 – 日ASEAN 中高教員交流事業 国際交流基金 – 次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0- Japan Foundation 国際交流基金/ X Japan Foundation 国際交流基金 / Facebook

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