子どもの成長を祝う七五三
もうすぐ七五三ですね。神社や写真館で微笑ましい親子連れの姿を見かける今日この頃です。
日本には子どもが生まれると「お七夜」、「お宮参り」などのいくつもの通過儀礼を行います。その目的は「子どもが無事に、そして健やかに育ち、長生きしてほしい」という願いそのもので、七五三もその通過儀礼の行事の一つになります。
七五三の由来は平安時代にさかのぼります。当時、子どもは死亡率の高さ故、七歳までは人ではなく「神の子」とされていました。実際にはこの世にまだ「命」が定着していない者として考えられていたのです。そのため貴族や武家の間で子どもが三歳から七歳になるまで無事に成長したことを祝ったことが始まりとされます。三歳には「髪置き」(男女ともに髪の毛を伸ばしはじめる)、五歳には「袴着(はかまぎ)」(男子が袴を着けはじめる)、七歳には「帯解き」(女子が帯を締める着物を着るようになる)などの儀式が執り行われていました。この行事は江戸後期になると庶民にも広がり、明治時代になってから「七五三」として、子どもがこれまで無事に成長したことに感謝し、これからも健康で長生きすることを願い神前に詣でる行事となりました。
『御祝七五三源氏の寿』 二代 歌川国貞 慶応3年(1867) |
今日ご紹介する浮世絵は二代 歌川 国貞の「御祝七五三源氏の寿」です。
大名と思われる位の高い武家の七五三の場面のようです。殿様が、松竹梅に鶴が舞う屏風を背にして座り、左側に奥方、前には梅の盆栽や三つ重ねの盃が用意されているのがわかります。右で裃(かみしも)を着て正座している若君は五歳の袴着、その右で奥女中に抱えられている姫君は三歳で髪置き、左手から現れた姉の姫君は七歳で帯解きのようです。武家を中心に広がりを見せた儀式の様子がみてとれます。
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