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Vol.327 2019.10.21

横須賀学院小学校の取り組み

教員と児童の双方に波及効果をもたらす
TOEFL Primary®

神奈川県横須賀市にある横須賀学院小学校。1950年開校時より英語は必修科目であり、2015年度より小学1年生から全学年で週3時間を英語の学習にあてています。2019年度より小学校でのTOEFL Primary®を導入した同校。その狙いと、先生方、児童それぞれの導入後の変化について、小出啓介校長、英語科教諭の阿部志乃先生とジョジェット ・ウィルソン先生に伺いました。

目次

TOEFL®ファミリーのファーストステップTOEFL Primary®

TOEFL®は、英語を母語としない人のための、英語のコミュニケーション能力を測定するテストとして、世界150か国10,000以上にものぼる大学などの教育機関で利用され、世界中でこれまでに約3,500万人以上が受験しています。

TOEFL®ファミリーのファーストステップがTOEFL Primary®です。このテストは小中学生をおもな対象にデザインされており、英語運用能力の「伸び」を世界基準で測定したい学校や個人などに、幅広く活用されています。結果は合否ではなく、スコアとバンドレベル(段階別評価)で表示するのが特徴であり、海外留学、大学入試にも活用されるTOEFL iBT®へ繋がっています。

「体験重視」の横須賀学院小学校の教育

潮風が爽やかな横須賀の海沿いに位置する横須賀学院小学校は、中高一貫校を併設するキリスト教教育の私立小学校です。まず初めに、同校の小出校長にお話を伺いました。

— 横須賀学院小学校の教育の特徴を教えてください。

小出啓介校長小出啓介校長

小出校長:本校は小中高を通してキリスト教教育を実践する学校となっています。戦後すぐこの地に設立された青山学院の分校を地元の有志の方々が継承し、横須賀学院中学校、高校が1950年に開校され、その半年後に小学校も開校されました。児童は小さいうちから毎朝礼拝を行い、讃美歌を歌い、聖書を手にし、キリスト教の教えを生活、体験から学んでいます。クリスチャンになることを目的としているというよりも、キリスト教の教えから人生観や人間観を学ぶことを大切に考えています。キリスト教を日常の生活から学ぶことと同じように「体験重視」が本校の教育の特徴です。英語の授業でも教科としての英語を教えるという点に留まるのではなく「英語を通じて言葉の学び方を教えている」というスタンスを持っていることが特徴的です。それ自体が目的ではなく、英語を始めとして、どの教科でも根底では「体験」から学び、そこからさらに発展させる芽を育むということを重視しています。

小1から毎日英語を学習…外国語の学び方が自然と身につく

次に英語科教諭の阿部志乃先生が同校の英語教育の様子を話してくださいました。

— 小学校での英語教育はどのように行われているのでしょうか。

横須賀学院小学校の取り組み

阿部先生:2015年より小学1年生から全学年で週3時間英語を学習しています。1、2年生は20分授業を週4日と、45分授業を週1日とすることで毎日必ず英語に触れています。英語を20分学習した後は同じ「言葉の学び」として国語を学習しています。3年生からは45分授業を週3回実施しています。

コミュニケーションをとるときに言葉に頼りすぎないのは小学生の特徴だと思いますが、彼らのプライオリティはコミュニケーションを構築することで、言語を使いこなすことではありません。ジェスチャーや絵を描くといったサバイバル能力を使います。しかし、言葉を使わないと正確に伝わらない状況に気が付いたとき、自分から「先生、これは英語でなんていうの? 書き方は?」と聞いてきてくれます。小学生のころから、今までのコミュニケーション手段では通用しないという経験があることから、将来にわたって目的をもって言葉を学べると考えています。

小学校では試験の点数や級の目標は設定していません。外国語で書かれていること、話されることに怖気づくことなく、小学校を卒業した後、6年間教えてきた私たちがいなくても彼らなりの学びを続けることができる「方略」をもつこと、それを目指して英語を教えています。外国語、外国の文化、人とのコミュニケーションについて英語を使って学ぶことで、将来もほかの言語を学ぶことができるスキルが身に付くと考えています。

英語に力を入れている同校がTOEFL Primary®を選択したのは

小学生から中学生へつながる英語教育

2018年度まで併設の中高一貫校に籍を置かれていた小出校長ご自身が、中学校での英語教育の効果から、小学校でもTOEFL Primary®の導入を推進されました。

— 小学校でもTOEFL Primary®を勧めた経緯を教えてください。

小出校長:中学校ではホームステイプログラムの前後に外部テストを受験して効果測定をするなど、複数の外部テストをニーズに合わせて活用してきました。さまざまな外部テストを英語教育に取り入れる中でTOEFL Primaryも導入し1年が過ぎます。最初は難しく戸惑っていた生徒もいましたが、同時期に始めたタブレットを使った一対一のオンライン英会話学習との相乗効果で、生徒自身から「自分の今の英語力を知りたい」という意欲が出てきました。我が校では「6・3・3制」ではなく「4・4・2・2制」の12年一貫教育を実施しているので、小学生からTOEFL Primaryを活用することで小学生から中学生への英語教育の接続をスムーズにできると考え、小学校の英語の先生方に勧めました。

スコアから児童ひとりひとりのマイルストーンが見えてくる

英語科の先生方はどのように感じられたのでしょうか。阿部志乃先生とジョジェット ・ウィルソン先生にお話を伺いました。

— TOEFL Primary®導入の決め手となったポイントは?

英語科教諭 阿部志乃先生英語科教諭 阿部志乃先生

阿部先生:私たち英語科の教員間では、小学生の段階で英語力をペーパーテストで測定する、点数を出す、といったことにとても抵抗があり当初は反対でした。小さな児童にはマークシートも難しく負荷がかかってしまいますし、合否判定が否だったときの心のダメージはとても大きいものになってしまいます。しかし、TOEFL Primaryには合否がなく、スコアで個別のマイルストーンが見えてくる。児童ひとりひとりのポートフォリオとして中学生、高校生になっても振り返ることができるツールであることから、導入を決めました。

— 小学5、6年生でテストを実施したそうですね。結果はいかがでしたか。

英語科教諭 ジョジェット ・ウィルソン先生英語科教諭 ジョジェット ・ウィルソン先生

ウィルソン先生:英語の授業では市販のテキストブックを使っておらず、毎年毎年、児童に適切な教材を私たち教員が制作しています。テキストブックに児童を合わせるのではなく、児童に合わせたカリキュラムを考えてきましたが、TOEFL Primaryのスコアからは、これまでの授業では見えてこなかった発見がありました。
 また、児童は限られた時間を使うタイムマネジメントの大切さや、早く終わったときはなぜ早く終わったのかを考え、見直し、皆が終わるまでは静かに待つという姿勢や忍耐力、マークシートの付け方、リスニングでは録音された音声を聴く経験など、授業では教えてこなかった多くのことを学ぶことができたと思います。

— TOEFL Primary®の活用についてアドバイスをお願いします。

ウィルソン先生:TOEFL Primaryの導入は、児童ひとりひとりの今後の見通しを考えるポジティブな経験になりましたが、授業そのものがTOEFL Primary対策にならないよう、教師がスコアの使い方を考えると良いと思います。授業では見えていなかったところをあぶり出してくれるツールとして役立てていけると思います。

阿部先生:保護者の皆様にはTOEFL Primaryのスコアでスキルを判断しないように伝え、授業だけでは判断できない技能を測り、ひとりひとりのスタート地点を決めることを考えるツールとして捉えていただくように伝えました。一教員だけでは児童の能力を測りきることはできません。自分たちだけの判断に頼らず外部テストを使うことで、教員も児童もスコアをもとに共通の意識をもって課題を共有し、学ぶことができると思います。

小学校での英語の教科化に備え、日本全国の小学校、ご家庭でさまざまな準備が進んでいると思います。TOEFL Primary®を受験した横須賀学院小学校の児童たちはわからないところは無回答のままだったといいます。もし正解になったとしてもそれは本当の意味で正解ではない、と自分で判断したのです。TOEFL Primary®は、客観的に自分の英語力を測る機会として活用されています。

関連リンク 世界に飛び出す「はじめの一歩!」―TOEFL Primary®動画レポート|KUMON now! TOEFL®の小中学生版、TOEFL Primary®に挑戦しよう!|KUMON now! 1日まるごと英語でモチベーションアップ―TOEFL®とTGGがコラボ動画レポート|KUMON now! GC&Tウェブサイト(TOEFL Primary®日本公式ホームページ)

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