中学1年生は小学校での「差」を埋める大事な時期
子どもたちそれぞれに合わせてのスタートが「救済」に
![]() 久住校長 |
まず初めに、公文式を導入した経緯と現在の目的、実際に導入してみての子どもたちの様子について、久住祐嗣郎校長先生、進路指導部長の石橋義人先生、今年度から公文式学習の指導責任者を務める大石怜先生にうかがいました。
―― 現在は1年生全員に「英語」が導入されていますが、どのようなことが狙いとなっているのでしょうか?
久住校長: 本校は宣教師が設立した学校で、現在では海外に系列校が小学校、中学校、高校、大学あわせて約6000校あります。そのために日本の三育高校を卒業後、欧米の系列大学に進学する生徒が毎年1割ほどいます。それもあって、もともと英語教育には力を入れてきました。その中で、系列の各小学校で行われている英語教育にはやはり差がありますので、それを埋めることを目的として公文式学習を導入しました。公文式ではそれぞれ子どもたちがどこまでできていて、どこでつまずいているのか、それに合わせてスタートすることができるという点に良さを感じています。
―― 公文式学習の印象はどのように感じられていますでしょうか?
久住校長: 私が公文式学習の担当を務めた際、公文の方から言われたのは「大きな丸をつけてください」ということでした。ですので、公文と言えば「大きな丸」というのが最初の印象で、そのほかにも子どもたちにやる気を起こさせるための工夫が凝らされているなと感じました。
石橋先生: 私は自分自身が合理的に勉強するタイプで、実は最初は公文式学習に対しては「まどろっこしいな」という印象がありました。でも、実際に自分自身が公文の担当をすることなりまして、学期ごとに目標枚数を掲げたり、子どもたちの頑張りに応じて「頑張り賞」を与えるなど工夫してみたところ、子どもたちが意欲的に取り組むようになったんですね。今ではとてもいい学習方法だと思っています。
それぞれの「つまづき」を見過ごさない
「やる気のスイッチ」の後押しに
![]() 石橋先生 |
―― 実際に導入しているうえでの手ごたえをお聞かせください。
久住校長: 全寮制の本校では、金曜日と土曜日以外の週5日は、放課後の活動を終えて夕食後、夜7時15分~9時の時間帯は寮での学習時間となっています。それを継続することで「学習習慣」を身につけさせることが狙いなわけですが、その中で週に3回30分ずつ行っている公文式学習が果たす役割というのは大きいと感じています。
―― 具体的に公文式学習が果たす役割について、どう感じられていますか?
石橋先生: まずは先述したように、個人差を埋めることができるという点が挙げられると思います。また、1年生全員に義務化することで、最初は苦痛に感じる子もいるかもしれませんが、継続することによって「自学自習」の力が身に付くことは、これまでの子どもたちの様子から感じています。
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大石先生: 担当になってまだ数か月なので、まだ把握できていない部分も多いですが、それでも公文式学習の様子を見ていると、その日の担当の先生が各生徒に対して1対1でコミュニケーションをとりながら対応しているので、教員と生徒との密な関係ができていいなぁと感じています。
―― 公文式の学習効果を感じられたエピソードはありますか?
石橋先生: これは1年生ではないのですが、英語が苦手な中学3年生の生徒がいまして、どうしようかと考えた際、公文式学習を提案したことがありました。実際、公文式学習をやり始めると、少しずつ英語を理解するようになりまして、テストで2学期には80点以上をとれるようになりました。もともとその子にあった「できるようになりたい」という気持ちが、公文式学習によって育まれ、また何が自分はできて、何ができないかが明確にわかったということが大きかったのだと思います。
久住校長: 子どもたちはみんな「できるようになりたい」という気持ちはあると思うんですね。そのやる気のスイッチが入った時に、「じゃあ、これをやってみようか」というその子にちょうど合った教材を渡せるという意味合いは非常に大きいと感じています。
―― 今後も公文式学習を続けていこうと考えられている一番の理由は何でしょうか?
久住校長: 学習というのは継続していく中での積み重ねが重要だと思います。ですから、どこかでつまずいてしまった子どもたちに対しては、彼らを救出する手段が必要なわけです。それを授業のワークでそのまま進もうとしてもなかなか難しい。でも公文式では、自分ができるところまで戻って、つまずいたところを乗り越えることが可能です。子どもたちのつまずきを見過ごさないためにも、今後も公文式学習を続けていこうと考えています。