川島隆太教授のもと“裏付け”があったからこその安心感
「脳の健康教室」は、東北大学の川島隆太教授をリーダーとする研究者たちと社会福祉法人道海永寿会、公文教育研究会による共同研究の結果により誕生したプログラムを活用して、地域のシニア世代のための「脳の健康づくり」を行う教室です。介護予防事業に力を入れている千葉県白井市では「白井脳いきいき教室」と呼ばれ、認知症予防だけでなく、人を元気にする場となっています。
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「白井脳いきいき教室」の運営を担うのは長年、地域福祉活動を行っているNPO法人白井市ボランティア連絡協議会。2006年7月に同協議会の自主事業としてスタートし、2009年から白井市の委託事業となっています。教室を開講した当時のことについて、ボランティア連絡協議会の鶴岡会長はこう振り返ります。
「東北大学の川島先生たちの研究によって、読み書き・計算、コミュニケーションが脳機能の維持・改善に効果があるという裏付けを示せたことが本当に大きかったですね。私たちにとってとても心強かったですし、みなさんにも安心して提供することができました」
教室成功のカギは受講者とサポーターの相互作用
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週に1回、白井市保健福祉センターで開催される「白井脳いきいき教室」。受講者は最初に市が考案した介護予防体操「梨トレ体操」を行い、体と心をほぐした後にボランティアの教室サポーター1名と受講者2名が一組になって、読み書き・計算のプリント学習とすうじ盤に取り掛かります。その後はサポーターと受講者の3人で読み書き教材などを題材として楽しくコミュニケーションをするという30分間が基本のプログラム。前後の時間には、懇談コーナーで受講者同士が趣味の作品作りを披露したり、他の活動へお誘いしたりと仲間づくりの場となっています。
学習者が「いきいき」と教室に通われている様子は、見た目の変化にも表れています。最初は自宅にいる時と同じようなラフな服装だった方も、2回目、3回目と通ううちに、どんどんオシャレになっていき、より一層、表情が明るくなっていくのだそうです。
一方、教室サポーターを務めるボランティアスタッフ31名にとっても社会参加の貴重な場となっていると前述の鶴岡会長は語ります。
「この教室でのボランティアをきっかけに、市民大学を受講したり、介護予防推進のグループを立ち上げて、各地で開催されるサロンで講師役をしたりと、ご活躍の場を広げている方が少なくありません。受講者の方々を支援しているだけでなく、私たちも学ぶことが多いんです」