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Vol.188 2016.12.27

留学したKUMONのOB・OGたち(2)

留学を成功させるために必要な力とは
自分の強みって何だろう!?〜

世の中のグローバル化が進む中、留学に注目が集まっています。わが子にしっかり世界を見てほしい、将来グローバルな視点をもって活躍をしてほしいと思う一方、「全く異なる環境での留学にわが子は耐えられるのか」と心配な気持ちになる親御さんもいるのではないでしょうか。どんな力があれば、留学を人生の糧として飛躍のきっかけにすることができるのでしょう。海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を利用して留学した公文のOB・OGに聞いてみました。

目次

     *「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」は、官民協働で推し進める海外留学支援制度です。主に大学生と高校生を対象としており、公文も支援をしております。プログラム詳細については、記事末尾の関連リンクをご参照ください。

    【参加者プロフィール(五十音順)】
    ・重宗さん:大学院博士1年生。ロボット工学の研究者になるために、専門分野に秀でているイタリアに8か月留学。公文歴は幼稚園~小学校卒業まで。
    田口さん:大学4年生。秋田出身。秋田の物産の輸出促進と観光促進のためにできることをしたいとアメリカに9か月留学。秋田友好親善大使。公文歴は幼稚園~高2。
    寺下さん:大学4年生。企業の国際化に関して興味がありイギリスに8か月留学。公文歴は小1~中3。
    二牟禮(ふたむれ)さん:大学院修士2年生。人体運動学を学ぶため、カナダに6か月留学。公文歴は保育園~中3。
    冬木さん:大学4年生。世界の製薬研究の現状を見るためにスイスに10か月留学。とやまふるさと大使。公文歴は小2~中3。
    八島さん:大学院修士1年生。海外文化を体験するためと、コンピューターサイエンスを本場で学ぶため、アメリカに9か月留学。公文歴は小5~高3。

    英語に自信があっても全く通用しなかった!?
    留学初期の苦労とは

    留学したKUMONのOB・OG

    座談会ではまず、1人ずつ留学の概要と留学で学んだことなどを数分でプレゼンテーションしていただきました。それぞれパワーポイントを駆使したり、時折ユーモアを交えながら、留学の経験をシェアしてくれました。行った国は違っても、苦労したことにはいくつか共通点があったようです。 

    司会: みなさん、「トビタテJAPAN!日本代表プログラム」で留学をされていたわけですが、半年から1年という留学は、数週間の短期留学とは違う辛さがあったのではないしょうか。

    留学したKUMONのOB・OG 寺下さん
    寺下さん

    寺下さん: それまで最長で1か月海外に行っていたこともあり、長期でも大丈夫だと思っていましたが、無意識のうちに神経がすり減っていたようで、3~4か月たったころ、授業が終わるとすぐ帰ってベッドで寝てしまうことがよくありました。

    司会: 何に神経がすり減ったのでしょうか。

    寺下さん: すべてのインプット、アウトプットが英語であることもそうですが、特に専門以外の講義の英語がなかなか理解できず辛かったですね。あとは、さまざまな人種、日本に興味がない人とどう関係性を築いていくかということに疲れたのだと思います。まさに留学でしかできない経験でしたね。

    八島さん: 自分も、日本で学んでいた専門とは異なるコンピューターサイエンスという分野をほぼゼロから学んだので、知らない単語が多く、最初は大変でした。独特なアクセントのある英語を話す教授もいて、聞き取るのに苦労した時期もありました。

    留学したKUMONのOB・OG 二牟禮さん
    二牟禮さん

    二牟禮さん: 私も、日本では「研究や進捗発表は主に英語を使用」という研究室にいたので、ある程度英語力に自信があったのですが、実際には自分の英語が使いものにならないということがわかりました。

    司会: それはどうしてでしょう?

    二牟禮さん: 日本にいる研究室の外国人は、日本人を理解しようと頑張っている人たち。日本人の私たちに合わせてくれていたんですね。

    苦労を乗り越えられたのはなぜ?

    苦労を乗り越えられたのは「どんな状況でも楽しめる力」と「覚悟」があったから

    留学したKUMONのOB・OG 冬木さん
    冬木さん

    冬木さん: 僕は学部3年生で留学し、留学先では研究室に入りました。周りが博士課程や修士課程の人たちばかりの中で、最初は強がって「大丈夫、できるよ」と言っていましたが、自分の知識レベルではとうてい追いつけなくて、途中からどうしようかという状況に。周りに素直に助けを求めたら、手を差しのべてくれて、その後は順調に研究を進められました。

    重宗さん: 僕は今回の留学が初めての海外の一人暮らしでした。本当に生きていくって大変だなあとつくづく感じました。留学中、自分の価値観を見直すことができたり、さまざまな困難を自分の力で解決できたりしたことが自信になりました。

    留学したKUMONのOB・OG 重宗さん
    重宗さん


    二牟禮さん: 日本にいたときは、困ったときはすぐに悩みが打ち明けられますが、留学中はちょっとしたことも相談するのがむずかしくて辛かったですね。

    司会: なるほど。生活面ではどうでしたか。

    寺下さん: 寮の引越しの手続きがいつまでたってもできず、日本とはまったく違う感覚にやきもきしました。

    八島さん: 引っ越した先々でトイレが詰まったり、シェアハウスの雰囲気がよくなくて家に帰りたくなかったり……と大変な目にたくさん遇いました。

    留学したKUMONのOB・OG 八島さん
    八島さん


    重宗さん: ルームメイトには、僕も悩まされました。毎夜パーティーされちゃって。

    司会: それほど大変だったのに、乗り越えることができたのはみなさんのどんな力だったのでしょうか?

    田口さん: ここにいられる期間は短いのだから、ここでしかできないことをやろうと無駄なことはどんどん排除して、やるべきことに集中しました。

    八島さん: アメリカに行くのは自分の夢だったので、夢が叶ったからには頑張ろう、チャレンジをしよう、何もせず家ばかりで過ごすのはやめようと外に出ているうちに、友達ができてだんだん生活が楽しくなっていきました。僕は音楽、特にへヴィメタルが趣味。コアな趣味があると友達ができます!あとは、どんな状況でも楽しむ力があると、乗り越えられるのかな。

    重宗さん: 勉強以外の部分で助けられるという面、ありますね。公文で先取り学習をしていたおかげで、子どもの時から学校の勉強でいっぱいいっぱいにならずに、スポーツや音楽などに時間を割ける余裕ができました。結果的には学習以外の能力も向上して、自分を助ける力になったと思います。

    自分の強み、留学前から意識していた?新たに気づいた?

    皆さん、自分の力で留学中の大変さを乗り越えたようです。特に自身を支えたのは、一人ひとりが持つ「強み」だったのではないでしょうか。座談会では、皆さんの「強み」についても聞いてみました。

    司会: 皆さんは、留学前から自身の強みとして意識していたことを留学で再確認したのでしょうか、それとも留学によって新たな自分の強みに気づいたのでしょうか。

    留学したKUMONのOB・OG 田口さん
    田口さん

    田口さん: 私は留学で新たな自分の強みに気づきました。私は昔から、“周りに助けを求めることは、人に迷惑をかけること”だと思っていました。けれども留学で、自分だけではどうにもならない状況に陥ったときに、周りに助けを求めたんです。その結果、まわりを巻き込むことで、ひとりでがんばるよりずっと大きなことができることを知りました。場合によっては自分自身がリーダーシップを発揮することもできるようになりました。周りに協力を求めなければならない環境に身を置いたことで、自分の強みに気づくことができました。

    重宗さん: 僕も、知らない自分に気づけたという部分があります。僕は、日本では時々踏み込みすぎて「馴れ馴れしい」と言われてしまうことがありました。でも、海外では「積極的に話しかけるし、歯に衣きせず言いたいこというね、フレンドリーだ」とポジティブに言われたんです。

    司会: 人との距離感のとり方で自分らしさに気づいたというのは、新鮮な発見ですね。それでは、もともと自分の強みを意識していた方はいかがでしょうか。

    寺下さん: 僕は、「コミュニケーション能力が高いこと」が自分の強みだと考えていました。留学前にも国際会議などに出る機会があり、英語をそれほど話せないながらも、なんとかコミュニケーションをとって意思の疎通ができていました。留学中にも、チーム間の衝突を避けて、調整役として議論を引っ張ることができたり、旅行中に多国籍の人たちとすぐにうちとけるなど、その力を発揮して充実した留学生活を送ることができました。

    八島さん: 僕は、「辛い時にも、その中で楽しさを見つけることができる」のが強みかな。地元のパーティーに行ったり、ひたすら散歩をして、安いスーパーを探したりとか。厳しい状況だからといって引きこもらず、外に目を向けて行動し続けました。

    留学したKUMONのOB・OG

    冬木さん: 自分は「タフさ」が強み。もともと日本にいた時から、周りの人に「なんでそんなにいろいろ大変なことするの?」と言われるほど詰め込んじゃうタイプ。留学中は、授業も研究も大変、だけどボランティアもしたい、イベントにも参加したい……どうしよう!という場面はありましたけれど、考えてみたら日本にいたときからそうやってあれこれやっていた(笑)。体を壊さない程度にいろんなことに必死に取り組める強さがあり、その力で留学中にも積極的に行動できました。

    二牟禮さん: 私は「行動力」かな。留学前から何か難しいことにぶち当たっても、解決するためには何が最善かと考えて、どうしたらいいか?を書き出して一つずつ取り組んでいました。一瞬でもためらう隙を自分に与えずに行動に移します。難しいことでも必ず解決策があると考え、行動できるのは自分の強みだと留学で再確認しました。

    「留学」と「公文」の共通点とは?

    「留学」と「公文」の共通点とは?

    留学したKUMONのOB・OG

    みなさんそれぞれ、留学でご自身の強みを発見したり、再確認したりされたようです。最後に、小さい頃から公文を学んでいたみなさんに「留学」と「公文」の共通するキーワードを教えてもらいました。

    八島さん: 「知らない世界へ行くこと」。海外に行く留学は言葉どおりですが、公文も学校で習っていない新しい問題に出会うこと、ここに価値があると思います。新しい分野に自分から行けるというところが共通しているように思います。

    冬木さん: 「追求」。どこまで自分が戦えるか追求するという点が、公文にも留学にも共通していると感じますね。

    田口さん: 「主体性」。何をするのも自分が決めるということが共通していると思います。公文は小さい頃から、「自分のやりたいタイミング」で「自分のかけたい時間」をかけて、間違えたところを「自分で見極めて」訂正しますよね。すべて主体性を高めるためのトレーニングだったと思います。その訓練が留学で役立ちました。

    寺下さん: 「座学を超えた学びの機会」。公文は、プリントに向かってやる勉強ではあるけれど、ただ問題を解いて賢くなっていくだけではありません。わからない問題に対しては、たとえいくら時間がかかっても「この問題を解くにはどうすればいいのか」「なぜ、今の自分の考え方だと解けないのか」をとことん自分と向き合いながら考え抜きます。私はそこに公文で学ぶ意義があると考えています。そして問題が解けた瞬間だけでなく、そこで葛藤した経験が必ず他の場面でいきてくると思います。私の場合は、サッカーや大学での勉強に役立ちました。留学ももちろん勉強メインですが、それ以外の「人との関わり」や「異文化体験」に学びや成長の機会があったと思います。

    二牟禮さん: 「粘り強さ、継続する力」がものをいうという点でしょうか。実は私は小学生の頃は、あまり粘り強い性格ではありませんでした。3歳くらいから公文をずっとやっていて、行き詰まった時に少し休ませてもらったこともありました。離れてみて、やっぱり自分にとって必要だと思ったときにまた始めて。そんな紆余曲折もありましたが、次第にどんな難問でも粘り強く考え、時間を置いたり別のアプローチで考えたりすれば必ず解決策があるとわかり、粘り強い性格になっていきました。留学では、相手と粘り強くコミュニケーションを重ねる必要がある場面も多く、「粘り強さ」で乗り切ることができました。

    重宗さん: 「最高にパーソナライズされた学びの場」。人生自体、いかようにも自分が好きなようにできるということを、公文や留学で学べたと思っています。

    留学で力を発揮することができた皆さん。小さい時からの毎日の積み重ねで、知らず知らずのうちに勉強以外の面でもさまざまな能力をつけていたのですね。

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