“努力する人” “がんばる人”だからこそ、周りから必要とされ、手を差しのべてもらえる
前編では、パンドラの就労支援の取り組みと、その一環として公文式を導入した理由や実際の学習、指導の様子などについて坂口所長やスタッフの方々に語っていただきました。次に、認定NPO法人パンドラの会(パンドラの経営母体)の代表理事、岡部さんのお話を聞いてみましょう。
![]() 岡部代表理事 |
「どの就労移行支援施設にも共通していることだと思うのですが、これから初めて就職するという方もいらっしゃれば、会社をリタイアして再就職をめざす方もいます。リタイアの理由は、周囲の理解不足、仕事や職場の人との相性など、じつにさまざまだと思います。
しかし、ご本人に課題があるケースも少なくないと感じています。その課題を、ご本人とともに見つけ、所長の坂口をはじめとしたスタッフで解決に向けての支援プログラムを考え、実践していく。そうすると、ご本人が変わるんですね。周囲に対しての見方や考え方も変わります」
さらに、岡部さんはこう続けます。
「例えばですね、自分では努力しないで、できないのを仕方のないこととあきらめてしまう方もいます。こういう方に、ただ“努力しなさい”“がんばりなさい”と言っても、なかなか状態は変わらないことが多いです。それもそのはずで、人は認められて、ほめられて喜びを感じ、がんばってみようという気持ちが生まれると思うからです。
これは、仕事も公文も同じですよね。だから、このパンドラでそういう体験をたくさんして、努力できる人、がんばれる人になってほしいのです。努力する人だからこそ、周りから必要とされるし、手を差しのべてもらえると思います。このことは、障害のあるなしは関係ないはずです。そうして、障害者と健常者が同じ立場になったとき、はじめて互いを認め合い、本当に理解しあえるようになるのではないでしょうか」
パンドラで大切にされていることは、普通に仕事に就くとき、仕事を続けるときのポイントと同じですね。パンドラのスタッフのみなさんは、“障害”というものを、あまり意識しないで話され、利用者さん方に接していらっしゃると感じましたが、その理由は岡部さんのお話を聞いて納得できました。