実際に東北に行って、状況を知りたい
東北トリップは、「被災地の現状を知り、現地の方とふれ合うことで、自分たちにできることを考え行動していけること」を目的として、2012年にスタートしました。参加者は、「震災が起きたときに思ったことなど、現地の人でないとわからないことを知りたい」(小4)、「前回も参加したが、1年たってどれだけ復興しているのかを自分の目で確認したい。また、東北の人たちのために自分に何ができるかを考えたい」(中1)など、それぞれの想いを胸に参加。今回は岩手県宮古市から宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区までを移動しながら、岩手県山田町、大槌町、釜石市、宮城県気仙沼市などを訪問しました。
忘れてはいけない「大切なこと」
語り部ガイドのお話をキャンプリーダーに 英語で伝える子どもたち |
滞在した5日間を通して、それぞれの地で地元の方と交流をし、語り部ガイドの方のお話をうかがいながら町の様子を見ました。東日本大震災では、当たり前のようにあった生活や街、多くの人の命が奪われてしまいました。実際に自分の身近にあった存在が一気に失われてしまう体験をされた、大槌町の語り部ガイドさんから投げかけられた「大切なことってなんですか?」という言葉は、子どもたちの心に強く残ったようです。
*大切なことは身近にあって、いつもあるからそれが大切だと忘れてしまうのかもしれない。(中1)
*5年たった今でも仮設住宅に住んでいる人がたくさんいる。友達と遊びたいけど場所がない。当たり前のことを取り戻すことが、とても大変だと知りました。「当たり前」は本当はとても大切なことだと思いました。(小6)
*答えが思いつきませんでした。うまく説明できません。これから考え続けます。(小4、中3)
また、「『避難しましょう!』『もっと安全な所へ行きましょう!』と声を上げられる人になってください」という山田町のボランティアガイドさんのメッセージからも、子どもたちは、普段の生活の中でも忘れてはいけない大切なことをたくさん学んだようです。
*生きたくても生きられなかった人がいる。命を粗末にしてはいけないと思いました。(中1)
*「みんながいるから安心」「専門家が言うから絶対大丈夫」ではないと知りました。(中1)
*「被災した建物は震災遺構として残すのか、残さないのか」正解がない、意見が一致しなくても決めないといけないことがある。反対意見の人にも思いがある。自分の生活でも起こることだと思いました。(中2)
学びからの一歩へ
自分たちの目で東北を見て、また、東北で暮らす人々の想いを実際に聞いて、参加者たちはさまざまなことを学び、多くのことを感じたようです。以下、参加したメンバーの感想の一部を紹介します。
*震災の恐ろしさを感じたので、もっと地震や津波について学びたいと思いました。(中1)
*もっと英語を勉強して、たくさんの人に伝えられるようになりたいです。(中1)
*今回の経験を家族や友だちに伝えたいと思います。また、東北のために自分に何ができるのかを考えたいです。(中3)
*東北トリップは、私の人生を変える経験となりました。被災地の方々のお話は、これまで自分が考えたこともないような内容で、自分とは異なる観点を知るきっかけになりました。(インドネシア出身のキャンプリーダー)
*被災地の状況を自分自身の目で確認できたことが何より有意義でした。「日本のような裕福な国なら復興も早いだろう」という自分のステレオタイプが間違っていたことに気づくことができました。(ネパール出身のキャンプリーダー)
関連リンク English Immersion Camp公式サイト 子どもたちやさまざまな国の学生による東北トリップ開催|プレスリリース