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KUMONグループの活動  2015/03/10更新

Vol.078

戦場カメラマン 渡部陽一が見た世界  

戦場カメラマン渡部陽一が見た世界
「なぜ戦争が起きるの?」「なぜ学校に行くの?」
子どもたち自身が「平和」や「学ぶとは何か」を
考えるための3巻シリーズ

2015年。輝かしく平和な世界を切望しながらスタートした21世紀も、もう15年目。しかし、世界各地で起こる戦争・紛争・テロは20世紀より発生頻度が高いというデータもあります。平和を希求するには、その現実を知ることも大切。今回は、最新刊『戦場カメラマン渡部陽一が見た世界』を読んだ子どもたちの感想や意見をご紹介します。

約130の国と地域をおとずれた渡部さんだからこその、意味深いコトバと写真

フォトジャーナリスト 渡部陽一さん

渡部さんはこれまで約130の国と地域をおとずれています。硝煙がたちこめる瓦礫の山と化した街はもとより、銃弾がとびかう戦闘に遭遇し死線をかいくぐるような体験が何度もあったといいます。その体験を世界平和のために活かしたいと、渡部さんはたくさんの講演をしています。その講演で、子どもたちは必ず口々に質問します。「なぜ戦争が起きるの?」「なぜ学校に行くの?」と。

これらの質問に、渡部さんはどう答えようかと考えました。そして、戦場の悲惨な写真を見せるよりも、同年代の子どもたちが戦場でどんな生活をしているのか、日本とどんなところが違うのか、また何が同じなのかを見せるほうがよいと考えたのです。実際、子どもたちに聞いてみると、そのほうが関心が高いこともわかりました。

こうして、著作の企画がはじまった2014年春ごろから、渡部さんの講演を聞いた小・中学生のアンケートを分析。子どもたちの関心が高い3つのテーマ「学校」「家族」「友だち」の3部作とすることが決まりました。大人が考えたのではなく、子どもたちの視点に立って企画された3巻シリーズといってもよいと思います。

第1巻「学校」では、子どもたちが受ける教育や学校の様子を。第2巻「家族」では、日本とは異なる習慣や文化のなかで生きる家族を。そして第3巻「友だち」では、渡部さんが出会った子どもたちの遊び、友だち同士のかかわり、戦場ならではの交流の様子などを。それらを、写真はもちろん、渡部さん自身が綴った解説文で紹介しています。解説文は、簡潔でよみやすい表現ながら、どれも意味深い内容となっています。約130の国と地域をおとずれたことに裏打ちされた“重み”といってよいのかもしれません。

さて、この3部作を読んで、子どもたちはどう感じ、何を思ったのでしょうか。

「日本よりも友だちとのキズナが強いように感じました」(中1・男子)


第1巻「学校」 子どもたちが受ける教育や学校の様子を、18の国と地域から紹介しています。


第2巻「家族」 日本とは異なる習慣や文化のなかで生きる家族を、13の国と地域から紹介しています。

第3巻「友だち」 渡部さんが出会った子どもたちの遊び、友だち同士のかかわり、戦場ならではの交流の様子などを、15の国と地域から紹介しています。

 東京都下のある公文式教室にうかがい、この3部作の感想を生徒さんたち10人(男子3人・女子7人)に聞いてみました。感想文にまとめてきてくれた生徒さんもいるので、あわせてご紹介します。

※感想文は原文のまま(漢字・ひらがな表記を含む)ご紹介しています。
 <・・・>内は、3巻シリーズの各巻番号と写真の掲載ページです。スペースの関係もあり、写真は今回ご紹介していません。

「たてものすらない学校におどろきました」(小3・女子)
「いろんなことが日本とちがうのに、びっくりした。インドの子が、足にロープをむすばれている写真<2.家族、p.24>にいちばんびっくりした」。小学3年の女の子には、驚きの連続だったようです。その彼女が書いてくれた感想文です。

いつもきけんととなりあわせという所や、たてものすらない学校におどろきました。通学が5kmという子もいることを知って、学校があるしあわせをあらためて思いました。

「自分と同じ年の女の子が大きな銃をもっている写真がかなしかった」
(小4・女子)

「家に電気がない、水道がない、戦争でお父さんもお母さんもいない。仕事をしている小さな子もいる。国がちがうだけで、こんなにちがうんだとおどろきました。かなしい気持ちになったのは、自分と同じくらいの女の子が大きな銃をもっている写真<2.家族、p.27>を見たとき。なぜ?、と思いました」。そう話してくれた彼女の感想文です。一生懸命書いたそうです。

私がふだんくらしているふつうの事が、このような国では、ふつうではないのが、とてもふしぎに思いました。私と同じ年の子が、戦争がおこっている国で、家族のために仕事に出ていると書いてありました。同じ人間なのに、こんなに分かれていると、とてもふくざつな気持ちになります。今までなにも考えないですごしていたけど、考えてみるととても大変なことだと思いました。イラクやアフガニスタンなどは、お母さんやお父さんがいない子がいっぱいいて、ごはんがおなかいっぱいに食べられないと書いてありました。私はいつも「もっと食べたい」といっていますが、イラクやアフガニスタンに住んでいる人たちから見れば、いっぱい食べているんだと思いました。このげんじょうをもっと大ぜいの人にしってもらいたいと思いました。そして、この場所が一日でも早く平和になって、私たちと同じように、イラクやアフガニスタンの人もくらせたらいいなと思いました。

「世界中の子どもたちの心はつながっているんだと思います」(小4・女子)
「この本を見て、かなしい気持ちになりました。でも、4人の男の子がひとつのお皿から食べものを分けあって食べている写真<3.友だち、p.18>を見て、日本では1人に1皿なのにたいへんと思ったけれど、すごくうれしくなりました」。こう話す彼女は、感想文にこんなことを書いています。

私は、どんなにすんでいる場所がちがっても、世界中の子どもたちの心はつながっているんだと思います。なぜかというと、遊んでいるときや友だちといっしょにいるときは、どの国の子どもも楽しいなと思ったり笑ったりして、みんな同じだからです。

「こんなキケンな生活の毎日なのに、笑えるってすごい」(小5・女子)
「国がちがうと、すごくいろんなことがちがうんだとわかりました。戦車にこしかけたり、銃をもった兵士と話したりと、キケンななかで生活している子たちがたくさんいることをはじめて知りました。でも、そんなキケンな生活なのに、笑っている子もいて、すごいと思いました」。子どもたちの笑顔がとても印象にのこったという彼女の、いちばんお気に入りの写真は、撮影者である渡部さんに握手をもとめてきたアフガニスタンの少年の笑顔<3.友だち、p.25>だそうです。

「安全ということが、とても大切だとわかりました」(小5・女子)
「木の板が教科書になっている写真<1.学校、p.23>を見てびっくりしました。なにか大むかしのことみたいでした」。こう話してくれる彼女が通う学校では、年1回「平和集会」と題した会が催され、さまざまな人が語り部として話をしてくださるそうです。「平和集会で“学校に行きたくても学校に行けない子がたくさんいる国がある”と聞いたのですが、そのときはよくわかりませんでした。でも、渡部さんの本を読んで、そういうことなんだとわかりました。わたしたちがふつうに学校に行けるのは、日本がとても安全だからですね。安全の大切さがよくわかりました」。そうですね、なくなってみてはじめて、その大切を強く感じるものはいろいろありますね。

「たすけをもとめている女の子の写真を見て、なにかをしてあげたいと思いました」(小6・女子)
「世界では、いろんなことがおこっているのだと思いました。でも、戦争をしている国でも、たくさんの子どもがいて、みんなたいへんなんだと思いました。すごく気になったのは、かなしそうな顔でたすけをもとめている女の子の写真<1.学校、p.9>でした。この写真を見て、なにかしてあげたいと思いました」。そして、彼女の感想文です。

私は毎日学校にかよっていますが、世界には学校に行きたくても行けないという子どもたちがたくさんいることを知りました。また、災害でも多くの人が家などを失い、ひなん所でも毎日の生活で精いっぱいで、子どもたちが学校へ行けなくなってしまうということもかわいそうだとかんじました。

「ひとりだとたいへんだけど、友だちがいればのりこえらることもある」
(小6・女子)

「戦争がある国でもサッカーをしている子たちを見て、楽しそうにやってるなと思いました。ひとつのお皿みたいなものから、みんなで仲良く分けあって食べている写真もいいと思いました。だから、ひとりだとたいへんなことでも、友だちがいれば、友だちといっしょなら、のりこえられることってあるんじゃないかと思いました」。3巻のなかで『3.友だち』にいちばん興味をもった彼女は、仲良しの子がたくさんいるとのこと。友だち、大切ですよね。

「戦場という緊迫した場所だからこそ生まれるキズナもあるんだと思いました」(中1・男子)
「近くにふつうに戦車があったり、銃をもった兵士がいるんですよね。でも、そういう場所でも笑っている子がたくさんいる。少ない食べものを分けあっている。戦場という緊迫した場所だから生まれるキズナもあるんだと思いました。日本よりも友だちとのキズナが強いように感じました」。彼の感想と使う語彙を聞いて、自分の耳を疑いました。中学1年生の感想とは思えなかったのです。続けて彼は、こうも話してくれました。「この写真<3.友だち、p.26、銃をもった兵士に話しかける少年とそれに笑って応える兵士>はとくにそうですが、警戒して緊張ばかりの戦場でも、子どもは場を和ませる存在なのかとも思いました」。う~ん、なるほど。納得です。補足ですが、彼は小さなころからたくさんの本を読んでいるそうです。

「学ぼうと思えば、どこでも学べるんですね」(中1・男子)
「この本を見ていちばんびっくりしたのは、もともとトイレだったところや車を入れるガレージで勉強している子たちがいること<1.学校、p.14・15>。日本では信じられない。学ぼうと思えば、場所はどこでもいいんですね。教科書を大事そうにもっている写真<1.学校、p.19>にもびっくりした。ぼくは、教科書をこんなに大事そうにもったことはない。ちょっと恥ずかしいかも…」。本のすみずみまで、よく見ていることが伝わってくる感想でした。

「どんなにたいへんでも貧しくても、希望と笑顔があるのがいい」
(中1・男子)

「3冊を読んでいちばん心に残ったのは、赤ちゃんを抱いたお母さんのやさしそうな笑顔<2.家族、p.40>です。ほかの2冊にも、笑っている子どもたちがたくさん写っていた。銃でうちあったり、逃げまどったりする戦場でも、兵士たちも大人たちも、子どもといるときには笑顔になるのだと思いました。戦争でどんなにたいへんでも貧しくても、おとなにも子どもにも希望と笑顔があるのがいいと思います」。彼が感想を話し終わらないうちに、「中学1年生なの? ほんとに?」とたずねてしまいました。たいへん失礼しました! 聞けば、月に何十冊も本を読む読書家。やはり、読みとる力も表現力も秀逸です。加えて、部活は野球部でがんばっているそうです。

生徒さんたちの感想はいかがでしたでしょうか。子どもたちは子どもたちなりに、いろんなことを感じ、深い思いを巡らせているのですね。

「なぜ戦争が起きるの?」「なぜ学校に行くの?」。子どもたちからこう問われたとき、多くの大人は答えに窮してしまうのかもしれません。しかし、その答えをさがすよりは、世界からどうすれば戦争がなくなるかを考え、どんな小さなことでもよいので、それを行動に移すほうが大切なのではないでしょうか。この3巻が、その「行動」のひとつとなることをわたしたちは願っています。

関連リンク
渡部陽一オフィシャルサイトくもん出版:戦場カメラマン渡部陽一が見た世界(全3巻)フォトジャーナリスト・渡部陽一さん|OB・OGインタビュー

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