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Vol.241 2018.01.09

時代を超えて学び方のヒントを探る

「読み」「書き」を通して身につけた
「やり抜く力」

KUMONは1986年から子ども文化の研究のために子どもに関連した浮世絵や史料を収集し、研究を進め、当時の子どもの様子から現在に生かせるヒントを探っています。今回は、手習いを描いた浮世絵から「学び」について考えてみました。

目次

当時の「学び」の場面から「やり抜く力」をつけるヒントが見えてくる・・・?

江戸時代に庶民の子どもの学びの場であった寺子屋での学び方は「真似(まね)る」こと。まさに「学び(真似び)」でした。師匠は、寺子(※寺子屋に通う生徒のこと)の学力や個性に応じて手本を与え、寺子は師匠の「読み方」「書き方」の手本どおりに再現できるまで、何度も「素読」や「書写」をくり返し、清書(せいしょ)、小浚(こさらい)、大浚(おおさらい)などの試験を受け、席書(成果発表)の晴れの日に披露しました。この真似び(学び)の過程は厳しく、寺子たちがそれをやり抜けたのは、師匠の寺子への愛情と寺子の師匠への信頼と尊敬の念があったからだったのかもしれません。

下の絵は、寺子屋(手習塾·手習所)での新年の稽古始めの様子を描いています。女師匠も助手も寺子も晴れ着姿。新しい入門者と師匠が縁固めをする場面も見られます。寺子屋では一人ひとり違った手本を使い、それぞれが手習いに励んでいる様子がうかがえます。

風流てらこ吉書はじめけいこの図 歌川豊国 文化2年頃(1805)
風流てらこ吉書はじめけいこの図 歌川豊国 文化2年頃(1805)
浮世五色合 黒 歌川国貞 弘化元年(1844)
 浮世五色合 黒 歌川国貞 弘化元年(1844)

右は、母が子に「書き」の手ほどきをしている家庭学習の一場面です。手本を写している草双紙(練習帳)は何度も墨と筆で書き重ねられて真っ黒。優しく手ほどきする母を信頼し振り向く娘が見事に描かれています。「物学びの始まりは黒双紙の筆跡」を絵にしたものであり、くり返し「書く」ことの重要性を伝えています。

浮世絵に描かれた江戸時代の学びの場面を見ていると、寺子屋でも家庭でも個人別の学び方が徹底されていたことがわかります。また、傍らには日々の成長を温かく見守る大人たちの眼差しがあります。子どもたちはこの温かい環境の下で「読み」「書き」の課題をくり返し、「読めた!」「書けた!」という小さな手ごたえを感じながら、確実に「やり抜く力」をつけていったものと思われます。

関連リンク KUMONレポート-子ども文化史料編 くもん子ども浮世絵ミュージアム ※WEBサイト「くもん子ども浮世絵ミュージアム」では、KUMONが所蔵する子ども浮世絵約1,800作品の画像を公開しています。日常生活や季節の行事の中で遊ぶ子どもの姿や、子どもをめぐる愛情豊かな場面、甲斐甲斐しく子どもの世話をする母親の姿など、子どもたちが家族や地域の大人たちに大切に育てられ、成長していった様子が生き生きと描かれた作品を自由に閲覧することができます。上記関連リンクからぜひご覧ください。

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