外国語版くもんのドリル「Kumon Workbook」の歴史
Kumon Workbookの供給国 |
左:日本版 右:英語版 |
くもん出版は、国内で公文式教室に通えない方々や入会する前に公文式にふれたい方のために書店や通販を通じて販売する「くもんのドリル」を1977年から発行してきました。基本的なスキルや学習の基礎、学ぶ力を養うこのドリルを広く世界の子どもたちにも提供するために、外国語版の制作に取り組み、2004年に「Kumon Workbook」を発行。その第一弾は、幼児を対象にした「英語版幼児ドリル」(8種類)でした。アメリカ大手書店チェーン「Barnes & Noble」で販売を開始したところ、24か国の出版社から出版交渉の問い合わせが入るなど、大きな反響を得たため、本格的な海外販売をスタートさせました。現在では、学習者の対象は幼児から中学2年生まで広げ、ドリルの種類も大幅に拡充。シリーズ全体で170種類を提供しています。
その後、英語版から多言語への対応を進め、スペイン語やロシア語、タイ語、中国語など、9つの言語に翻訳したバージョンを順次発行。現在は北米、南米、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニアの世界57か国・地域で販売されています。
多言語化にあたっては、各国の文化・風習の違いに対応した変更が必要でした。例えば、スイカの外周をなぞって「丸」を描く課題では、欧米のスイカは丸ではなくラグビーボールのような楕円形のため、英語版ではオレンジやグレープフルーツを採用しました。
なぜ、教育システムの違う海外でも対応できるの?
「Kumon Workbook」が教育システムやカリキュラムが異なる海外でも受け入れられている理由は、その特長にあります。
一つは、「Kumon Workbook」が各国の教育システムや学習指導要領に対応しているわけではなく、子どもたちに必要なスキルと学習課題を厳選しているということ。文字や言葉、数などの基本的な力や、切る・折る・貼るといった作業力をつける幼児向けの「ベーシック」、幼児・小学生向けの「算数」や「英語」、中学生向けの「数学」など6分野を展開し、シリーズを通じて基本から高度な内容まで、一人ひとりに合ったレベルの一冊を選ぶことができるようになっています。公文式のプログラムと同じように、内容を絞り込んでいるからこそ、海外でも多くの方に学んでもらえるのです。
次に、公文式の学習の考え方である「スモールステップ」をベースとした内容になっていることも理由の一つ。1冊に多くのテーマを盛り込まず、アルファベット、かけ算など、小さなテーマに絞って問題を掲載し、少しずつレベルアップしていける問題構成にしています。そのため、子どもたちはスキルの上達を感じながら達成感を得て、学ぶ喜びを実感できるのです。
最後に、子どもの目線に立ち、楽しく学べる内容になっている点が挙げられます。開発にあたっては子どもたちへのモニター調査を行い、内容に反映しています。例えば、点と点をつなぐ課題で手が止まってしまう子をみて、薄いなぞり書きの線を入れたり、書く順番に矢印を設けるなど、難易度、作業量ともに取り組みやすくする細かな気配りを行っています。
また、学習を見守る際の留意点や具体的な言葉かけなどを記載した「学習のアドバイス」(To parents)を掲載し、子どもたちが保護者とコミュニケーションを交えながら、楽しく学習を進められるよう工夫がされています。
「学習のアドバイス」(To parents) |
これらの工夫は日本・海外に限らず、子どもたちが楽しく学べるようにという願いに基づいています。くもん出版の担当者は「これからも、子どもたちが少しずつ無理なくステップアップし、楽しく学びながら達成感や自信をもって学習ができるような商品づくりを心掛けていきたい」と語ります。
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