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KUMONグループの活動  2014/06/03更新

Vol.039 高等専修学校でのKUMON-豊野高等専修学校  

“一校一家”の心で、
生徒たちの学びを支えたい
公文式学習で学力だけでなく、自己肯定感を育んでほしい

「高等専修学校」と聞いて、すぐにピンとくる方は学校教育制度に詳しい方でしょう。「高等学校」と同等の「学校」ですが、ここ2~3年、多様化する教育ニーズに対応できる学校として注目度が大きくアップしています。今回は、長野市にある豊野高等専修学校からのレポートです。

一校一家、大きな家族のような学校をめざして

山岸校長先生
山岸校長先生

JR長野駅から電車で十数分、北アルプスがきれいに映える豊野駅前に豊野高等専修学校(以下「豊野高校」)はあります。ログハウス風の校舎がなんともいえない和み感を醸しだしています。全校生徒は、1・2・3学年合わせて96人。訪問前、「学年によっても違いますが、生徒の半数くらいが小中学生時代に不登校だった子です。発達障害がある子もいます」との情報を学校側から聞いていましたが、授業を見学し、休み時間の生徒さんたちの様子を見ても、よく見る学校の風景でした。なかには、授業中なのに机に突っ伏していたり、所在なさげに中空を見ていたりする生徒さんもいますが、それも学校ではよくあるシーンのひとつと感じました。

豊野高校の前身は昭和22年に創設された家政女学校で、長く服飾・家政を中心とした教育を実践してきました。昭和51年に高等専修学校となり、さらに一昨年(平成24年)、男女共学にし、それまでの服飾・家政に加え、デザイン・工芸・介護・情報(コンピュータ関連の知識と技術)などの専門科目も設け、校名も現在のものに改めています。

高等専修学校とは?
昭和51年に定められた制度(学校教育法)による、一般の「高等学校」と同等の「学校」で、全国に500校ほどあります。その教育目的は「職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図る」で、「手に職がつけられる高校」と考えてもよいかもしれません。その教育分野は広く、情報・電子・土木・建築・農業・畜産・造園・看護・栄養・調理・介護・福祉・経理・服飾など多岐にわたり、それぞれの学校が特色ある教育をしています。卒業資格は「高等学校」と同等で、大学進学もできます(指定校)。近年、不登校児や発達障害児へのきめ細かな職業教育を通して、将来的な自立支援をする学校が増えていることで、社会的にも注目度が高まってきています。

 

豊野高校の山岸校長先生にうかがいました。「全校生徒が96人という小さな学校である強みを活かし、“一校一家”の気持ちで、大きな家族のような学校をめざしています。ですので、教師全員が全生徒を、その生い立ちや個性も含めて知っています。お聞きおよびのように、入学してくる子たちには、小中学生時代に不登校だった子が少なくありません。なかには発達障害のある子もいます。そんな子たちを見ていて思うのは、不登校、あるいは不適応をかかえている、というのは彼ら彼女らの責任なのだろうかということです。きちんと話してみると、いい子たちです。コミュニケーションを心から求めている子たち、それも、本気になって相手をしてくれる大人たちを必要としている子たちです。周りにいる、われわれ大人たちが見方を変え、ひとりひとりのいいところを評価するようにしていけば、みな伸びていけると思うのです」。

モノづくりによる自立をしてほしい、そして自己肯定感を育んでほしい

三上先生。
三上先生。
公文式の指導担当責任者であり、数学教師でもある

現在、豊野高校では全学年の生徒さんが、高校数学の授業以外に、週2時限(1時限50分)の数学の授業を公文式学習(算数・数学教材)に充てています。この取り組みは、昨年(2013年)の秋からスタートしています。山岸校長は、その経緯をこう話してくださいました。

「当校は高等専修学校という特色を活かして、“モノづくりによる自立”をめざしています。具体的には和裁や洋裁、コンピュータ技術などによる自立です。その実現のためには、それぞれの技術の習得が必要ですし、その習得を支える基礎的な学力が必要です。しかし、入学してくる子たちの学力には大きな開きがあります。それぞれの子たちの学力の違いには、一斉授業ではなかなか対応できません。学習習慣そのものが身についていない子もいます。この子たちにどんな学習方法やシステムが合うのだろうかと、職員全員で考え、試行錯誤もありました。そして、たどりついたのが公文式です。もちろん、導入を決めるまでにはいろいろ調べました。公文式について賛否両論が書かれた本や資料も読みました。実際に導入している施設での実情も聞きました。結果として、うちの学校の生徒たちには公文式が合っていると思ったのです」。

さらに、山岸校長はこう続けます。「自立のためには、職業の技術を習得することは不可欠ですが、それ以上に大切なのは、自己肯定感ではないかと考えています。“オレって、けっこうできることが多いかも!”“ワタシは世の中から必要とされているんだ!”といった気持ちがあれば、技術を学ぶのも意欲的になるでしょうし、将来職に就いて働きだしても、少々のことではへこたれないと思います。この自己肯定感を、モノづくりの教育を通して育ててほしいと強く思っています。公文式に決めたのも同じで、すべての教材を100点にしながら先へ進んでいく、ほめて伸ばすというところも、この子たちにとても合っていると感じたからです。学業の面でほめられる経験が少なかった子たちだからこそ、それが濃いコミュニケーションになり、自信につながると思います」。

凛とした教室の空気から、生徒たちの成長を感じる

気持ちが和むログハウス風の校舎
気持ちが和むログハウス風の校舎

さて、公文式を学習して、生徒さんたちはどう変わったのでしょうか。公文式学習の指導責任者であり、数学の教師でもある三上先生にお聞きしました。「スラスラできるところからスタートするとはいえ、小学生レベルの計算問題をしてくれるだろうかという心配がありました。しかし生徒たちの反応は逆だったのです。ほとんどの子があんなに集中してやるとは予想外でした。公文の時間はいい意味でピンと張りつめた空気になります。生徒たちも“時間がたつのを忘れるくらい”“こんなに集中してがんばったのは初めてかも”と話す子もいて、前向きにとらえてくれています」。

もちろん、全員の生徒さんがはじめからきっちり公文の学習をスタートできたわけではありません。学習そのものを拒否する子、鉛筆は持つもののボンヤリとしている子、教室に入ろうとしない子もいたそうです。しかし、周りの生徒さんたちが集中して教材に向かうのを見るうち、しだいに集中して学習できるようになっていきました。また、穏やかな表情ながら、何かをつかみとりたいという確固たる意志を、その瞳にみなぎらせて教室に入ってくる生徒さんも一人、また一人と現れてきたといいます。

三上先生はこんなことも話してくださいました。「学力がつくという前に、学ぶ意欲や姿勢、それと自信も育っていると感じています。例題を見て、自分の力で100点をとりながら、先に進んでいけるのがいいのでしょうね。うちの学校の多くの子は、公文に出会うまで、100点をとった体験はほとんどないのかもしれませんから。自信がついた波及効果のひとつと思えることがあります。僕は高校数学を教えているのですが、数学の授業がとてもやりやすくなりました。たとえば以前は、途中式の計算でつまずき、“なぜ、こんな小中学生レベルの計算ができないんだろう…”と自信をなくしてしまう子がいて、クラスの雰囲気も沈みがちだったのですが、今はそういうことはほとんどなくなりました。計算力もつきましたけど、自信がついたことがなによりです」。

生徒さんたちにもインタビューしてみました。将来は声優か栄養士になりたいと話す、高2の女子生徒さん。「スラスラ楽しくできるのがいい。達成感がある。苦手意識があった分数や小数点が入った計算もミスせずに速くできるのもうれしい」。もうおひとりは、看護師志望の高3の女子生徒さん。「時間を忘れてしまうくらい楽しい。公文をやって、基礎が本当に大切だとよくわかったし、高校数学の授業もよくわかるようになりました。卒業まであと1年ないので、少し焦りはあるけれど、目標に向かってがんばりたいです」。この生徒さんたち、中学時代は不登校で、ほとんど学校には行ったことがないとのこと。驚きました。インタビューで見せてくれた笑顔からは、そんな過去は微塵も感じられなかったのです。まさに輝く笑顔のおふたりでした。

ふたたび山岸校長です。「昨年の秋に導入を決め、公文式をカリキュラムに組み入れたのは12月からです。まだ半年しかたっていないのですが、職員室で先生方が話すのを聞いてみても、そして私が生徒たちと直接話してみても、生徒たちは確かに変わってきています。学習姿勢が見違えるほど良くなった、集中して学習することに心地よさを感じている子も多い、教科にかかわらず授業の雰囲気が良くなった、自分に自信をもったことで生徒たちの表情が豊かになったなど、いろいろな変化と成長を見せてくれています。小さな学校で、もともと生徒たちとわれわれ教師の距離は近いのですが、公文をスタートしてからというもの、先生方が生徒に声をかけるのがいっそう増えたことで、互いに親近感がより強くなり、学校全体が格段に落ち着いてきた印象があります。一校一家の心で、生徒たちの学びを、そして将来の自立をわれわれがしっかり支えていきたいですね」。

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