「子どもがチャレンジできる環境作り」をするのが大人のチャレンジ
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そんな私の経験を踏まえて子どもたちに伝えたいのは、そのときどきで夢中になれることを一生懸命やってみようということです。あれこれやるのも必要ですが、1回、とことん夢中になってみることをお勧めします。私は高校時代の書道の先生からきっかけをいただき、書道をがむしゃらにやっていて、そこから書の深い世界に入り込むことができました。勉強でも部活でも趣味でも何でもいいと思います。興味をもったことに深入りしてみると、表層的な部分ではないものが見えてきます。どんな分野でも、ほじらないと見えないものがあると思います。
少子化のなか、保護者はひとり一人を大切に育てていると思いますが、子どもの可能性を広げてあげるには、冒険させてみることも大事だと思います。子どもがチャレンジできるような環境作りをするのは、親のチャレンジといえるでしょう。そして、親は「やらせる」のではなく、一緒にやってみてはどうでしょうか。
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私自身の今後については、「新しいもの」を作ってみたいという野望はあります。書道は古典をベースにしていますが、それを超えたものとはどういうものか、それがある種の前衛だと思うので、そういう作品作りをしてみたいですね。命が命をつくっていく、そんな「人間くさい生命観」が感じられるような書が書けたらと思っています。
そして何より、書写教育を充実させるのが私の夢です。いままでやってきた書写教育のあり方をもっと深め、子どもたちが文字を書くことに興味をもつような指導法や、整って書くための方法を究明したいですね。「字は読めればいい」だけではありません。そうした意識改革も、広く推進していきたいと思っています。
※左の書は本記事のために宮澤先生がお書きくださったものです。一つの方向に正直に進む意がこめられています。
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山梨大学教育学部・大学院教育学研究科