「学習療法」により、年間約20万円の介護費用削減効果
~学習療法・脳の健康教室の社会的・費用対便益調査より~
その後も弊社独自に2016年6月末まで調査を継続し、慶應義塾大学の研究者に調査を依頼したところ、高齢者向けに効果的なケアやサービスを提供することによって、社会的・費用対便益があることが明らかになった。
【調査で明らかになった社会的・費用対便益】(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室 専任講師 佐渡充洋氏)
1. 医学観点からの検証結果
2.社会学観点からの検証結果(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任講師 伊藤 健 氏)
今回の調査では、「学習療法」実施施設で1年間、健常高齢者向けの認知症予防プログラム「脳の健康教室」で半年間、脳機能等の客観的指標測定とアンケートによる主観的評価の分析を実施。
【今後の展望について】
2015年7月から始まった調査は、経済産業省の委託事業として2015年度内に終えなければならないという制約があったため、パイロット調査として実施。
その後も2016年6月まで独自に調査を行ったところ、「学習療法」「脳の健康教室」をきっかけに効果的なケア・サービスを実践すると、予想以上の社会的・費用対便益が明らかになった。
今後は、今回実施できなかったランダマイズド調査、評価者のブラインド化による厳密な評価や、認知症予防領域での評価を、2年後には実施したいと考えている。
【ご参考】
◎学習療法
2001年、東北大学・川島隆太教授、福岡県の社会福祉法人・道海永寿会、KUMONによる共同研究で、認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証された非薬物療法。
2016年7月現在、日本国内約1,600の高齢者施設で導入されている。
また、2014年から、アメリカでの展開を開始。2016年7月現在、アメリカの10州26施設で約270名の認知症高齢者が学習療法を行っている。
◎脳の健康教室
学習療法を応用して開発した認知症予防サービスプログラム。
2015年度41都道府県 約240市区町村 約470教室で開講。
主に自治体、NPO法人などが主催者となり、実際の教室運営は、地域のボランティアなどが担っている。
◎学習療法センター(代表:大竹洋司)
2004年7月設立。公文教育研究会の事業部門の1つとして、「学習療法」と「脳の健康教室」の2つの事業を展開している。
◎SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)とは
2010年にイギリスで開発された、新しい官民連携の社会的投資モデル。
https://www.fasid.or.jp/_files/activities/BBL207_Part1_PPT_SIB_140704.pdf
(参考資料:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 伊藤健 特任講師)