星野 俊也(ほしの としや)
群馬県出身。上智大学在学中に米国オールド・ドミニオン大学に留学、模擬国連の活動に感銘を受けて日本に持ち帰る。東京大学大学院総合文化研究科に在籍中、在米日本大使館専門調査員に就任。プリンストン大学客員研究員、日本国際問題研究所主任研究員などを経て大阪大学大学院国際公共政策研究科教授に就く。大阪大学では副学長も務める。国際連合日本政府代表部には公使参事官(2006年から08年)及び大使・次席常駐代表(2017年~2020年)として2回在勤。2023年1月からは国連システム合同監査団(JIU)監査官に就任。専門は、国際政治学、国連外交、地球規模課題、持続可能な開発、SDGs/ESG、平和構築、人間の安全保障。
公文教育研究会 会談参加メンバー(敬称略)
事業開発本部 渡邉
東京WEST事務局 荒居
法人事業部 村橋
求められるのは「変化」ではなく、大胆な「変革」
村橋:
KUMONももちろんそうですが、新型コロナウイルスの流行によって、人々の価値観や世の中の様式がずいぶん変化したと思います。
ただ個人的には、日本は世界に比べてまだ変わりきれていないとも感じます。先生はコロナ禍の現状やSDGsの進捗にどのような印象をお持ちでしょうか。
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星野:
変わらなきゃいけないっていうのは、本当にその通りだと思います。
SDGsで再認識したいポイントとして、2015年の決議は”Transforming our world”(=私たちの世界を変革する)というタイトルの決議だったこと。変革という言葉を使って、これは単なるチェンジじゃない、根本的に、コペルニクス的な、天地がひっくり返るぐらいの変革をしなければいけないってことなのです。
もちろんコロナ自体は大きな危機だったと思いますが、コロナがきっかけになって、今まで足踏みをしていたような変革がこの機会に生まれていることも事実です。例えば、授業のオンライン化がそうですね。デジタル化がそれなりに進んでいったというのも大きな変化のひとつではあったかな、と思います。ですが、村橋さんがおっしゃったように、まだ変わりきれたとは言い切れません。
実はSDGsにおいて企業の役割はすごく大きいと考えています。
経済規模のトップ100の主体をリスト化すると、最初の10番目ぐらいまではいわゆる経済大国でしょう。ところがそれ以下になるとだんだんとグローバル企業の名前が出てくるようになります。ですから、SDGsの実践における企業の役割というのは非常に大きくて、その意味でKUMONによるSDGsの取り組みは嬉しく思いますし、これからもどんどん発展させていく必要があります。
特にSDGsの目標4、教育はそれ自体が重要であるとともに、ほかのすべてのゴールにも影響するような、分野横断的なゴールだと思います。そこに直接関わっているKUMONの取り組みはますます重要になってくると思います。
今が歴史の大きな転換点にあるんだという認識を、どれだけ私たちが共有できるかが問われています。それはどういう転換点かっていうと、持続可能な未来の方に舵を切れるか、それとも持続不能な未来の破局に向かってしまうかというくらい大きな転換点です。