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Vol.390 2021.02.09

タイム誌による初めての「Kid of the Year(キッド・オブ・ザ・イヤー)」に選出

ギタンジャリ・ラオ(Gitanjali Rao)さん
得意な科学と技術を使って
人を笑顔にしたい

2020年12月、ギタンジャリ・ラオさん(15歳)がタイム誌による初めての「Kid of the Year(キッド・オブ・ザ・イヤー)」に選出されました。11歳の時には、水中に含まれる鉛探知機を開発、その後も、オピオイド(鎮痛剤)への依存症状を早期に診断する「エピオーネ」というデバイスの作成、ネットいじめを防止するために人工知能(AI)を活用したアプリ「Kindly(カインドリー)」の開発と、様々な社会問題に取り組み続けています。今回の「Kid of the Year」受賞の報告を受けた北米公文によるインスタライブでの取材から、若き科学者の想いをお伝えします。

目次

質問①:「Kid of the Year」に選ばれた理由はたくさんあるかと思いますが、あなたの発明についてお伺いします。具体的なことに入る前にお聞きしたいのですが、あなたがこのような制作や発明を始めたきっかけは何ですか。

ギタンジャリさん:小さいころから科学や科学の概念が大好きでしたが、その応用に着目したことはありませんでした。そして、人を笑顔にしたいとずっと思っていました。それで、科学の概念と人を笑顔にしたいという想いを組み合わせたのです。私が得意な科学や技術を使い、社会で見られるグローバル問題に取り組むようになったのです。 これが私の人生を本当に変えてしまったと思います。自分の好きなことが毎日できるので、個人としてもですが、科学研究者や起業家としてなど、自分自身で付けたすべての肩書きを持つ人として成長できるのが楽しいです。

質問②:人を助けるための発明の一つが「Kindly」ですが、それについて教えていただけますか。

ギタンジャリさん:Kindlyはサイバーいじめを早い段階で検出し、防止できるサービスで、人工知能や機械学習アルゴリズムの最近の開発に基づいたものです。新しいミーム(文字を付け加えた画像)、絵文字、笑顔文字(スマイリー)のトレンドを見ていますが、Kindlyはそれらから自分で学習することができます。継続的に進化するサービスをもとに構築されているので、今日世間にあるものや従来のアプローチのものとは全く異なります。また、Kindlyはいじめを罰しようとするのではなく、使っている単語を再考させ、別の言葉に置き換えることを提案するものです。

質問③:もう1つの発明では、「アメリカで最も優れた若き科学者」の称号を得られました。ミシガン州フリント市の水道危機の影響を受けているとのことですが、そのことについてお話いただけますか。

ギタンジャリさん:私の開発した「Tethys(テティス)」は、既存のツールよりも、飲み水に含まれる鉛をより速く、より安価に検出できるもので、カーボンナノチューブセンサーの最新技術に基づいたものです。Tethysのカートリッジを飲みたい水に浸し、もしその水に鉛が入っていると、ナノチューブ内の塩化物イオンと結合して鉛塩化物分子を形成し、それが電流の流れに対する抵抗力を増加させ、導電性を低下させます。その結果が、私が作成した携帯電話のアプリで読み上げられるのです。これを思いついたのは、4年前のミシガン州フリント市の水道危機がきっかけでした。私のような年齢の多くの子どもたちが毎日、毒を飲んでいるというのを知って恐怖を感じました。精神能力や重要な臓器、さらには正常な成長にも、生涯にわたるダメージを引き起こしたのですが、日常生活で水を使っているというだけでそうなったのは受け入れがたいことでした。それで、知識の欠如や汚染を避けるため、この検出装置を作りました。

質問④:発明で多くの人を助け、啓発したわけですが、著作活動もされています。新しい本を出版するとのことですが、そのきっかけになったことなど、本について少しお話いただけますか。

『A Young Innovator’s Guide to STEM, 5 Steps to Problem Solving for Students, Educators, and Parents,

ギタンジャリさん:『A Young Innovator’s Guide to STEM, 5 Steps to Problem Solving for Students, Educators, and Parents,(若いイノベーターのSTEMガイド 生徒・教育者・保護者のための問題解決の5ステップ)』※という本で、イノベーションの旅を引き起こし、生徒を含め誰もがイノベーターとなり学び、成長し続けたいという人になれるようにサポートする、最新のヒントやツールを提供しています。それ以外にも、生徒がイノベーションの記録を始める、一種のジャンプスタートとなるよう、ワークスペースや双方向の活動も含まれています。実社会の問題解決やイノベーションを私たちのカリキュラムに組み込むべきだと常々思っているので、教育者がイノベーションプロセスに入るために活用できるレッスンプランもあります。自分にとってうまくいったことの一部を、本という形で皆さんと共有するというのが、この本の目的です。

※日本語版は、くもん出版より2021年9月発売予定です。

質問⑤:イノベーションといえば、あなたはご自身の発明や本を通じて、人を教育する人生を送っていて、ワークショップでは3万人の生徒に教えてきたわけですが、この経験はどうでしたか。3万人というのはすごいですよね!この経験がご自身にとって、どういうものなのかお話しいただけますか。

ギタンジャリさん:自分の知識を共有できるというのはワクワクするものがありますね。世界を変えたいというイノベーターや起業家、若手研究者はもっとたくさんいるはずなのですが、彼らはどこから始めればよいのかがわかりません。だから、私のワークショップは、人々にその出発点を与えているのだと思っています。ワークショップに参加したすべての人から、自分のものにできるアイデアやプロセスが出てきました。チャットでそれを見るのはとても楽しいことです。私たちがやらなければならないのは、より多くの生徒が私のように自分の情熱を探求し、やりたいことを探求できるよう触発することです。ワークショップを通じて、生徒たちがイノベーションの第一歩を踏み出すためのロールモデルに私がなれればと思っています。

質問⑥:あなたが実は6年間公文生だったことを知らない人もいらっしゃるかもしれません。そこでお聞きしたいのですが、あなたは公文でどのようなスキルを伸ばして、ご自身の情熱を探求することができたと思いますか。

ギタンジャリさん:たくさんあります。公文は私が成長するための強力な基盤を築いてくれたと思いますが、最も大きい2つは、自制心とコミットメントです。この2つは、私が公文をやっている間も終わってからも学びました。コミットメントでいうと、公文をやり始めて最初はずっと続けたいと思っていたのですが、途中でわり算のひっ算になると苦手になりました。今もそうです。自分自身を頑張らせる時間が必要でしたし、もしやれたら自分を誉めようとしていたのですが、そうしていると、何かをやり遂げることは、自分のためになることなのだと思えるようになりました。

質問⑦:教室スタッフとして通っていた公文の教室に戻られたそうですが、いかがでしたか。

ギタンジャリさん:新型コロナウイルスのために長い間戻れていませんが、夏の間や年の初めに公文の教室スタッフになれて、とても楽しかったです。プリントを採点したり、生徒を助けたり、キャンディを渡したり、自分も半分食べたりしました。その教室ではいつも新しいことを学べたし、私は、公文が自分に与えてくれた時間や努力に対してお返ししたいと単純に思って、ボランティアスタッフとして働きたかったのです。教室の生徒たちも強い思いがあります。彼らと一緒に学ぶのは大好きですし、私が6年前にしていたことを、いま彼らがしているのを見るのはとても楽しいです。そのときは難しくて仕方がなかったことが、いまではなんともなくなっていますが、あの席で苦手だったわり算のひっ算をしていたときの感じを思い出します。

質問⑧:公文生や、公文生でなくても、何か大きなことを達成しようと苦労している人たちに対して、何かアドバイスはありますか。

ギタンジャリさん:公文生には、毎日のプリントを終えようということです。ずっと座って何かを終わらせるというのはとても大変なことですが、とても役に立ちます。小さいときにはわかりませんでしたが、公文のおかげで、高校でたくさんのことを得ています。わり算のひっ算の応用についても、小さかったときには毎日やっていてもわかりませんでしたが、去年三角法をやって、もう一度わり算のひっ算を学習し直さなければならなかったときに、何をやっているのかがはっきりわかりました。公文の教材を進んでいくと、このように小さなことが違いを生み出すのです。もし公文の学習に集中できるのであれば、あなたが好きなことにも集中して取り組めます。
学校の勉強をしている間も、公文の学習をしている間も、あなたの好きなことをして、自分が思っている以上に大きな夢を持ってください。なぜなら、あなたにはそれができるからです。まず大きな夢を持って、それから現実のことを考えてください。あなた自身以外には、あなたを止める人は誰もいないのです。

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