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KUMONグループの活動  2017/06/27更新

Vol.215 児童養護施設でのKUMON-飛鳥学院  

将来の自立に向けて、
もっと自分の可能性
引き出してほしい

「児童養護施設は衣食住足りているだけでよいのだろうか?」「親御さんたちに代わって子どもたちを育てるという大きな使命を担っているからこそ、“一流の子育て”を目指すべきではないだろうか?」。今回ご紹介する児童養護施設・飛鳥学院の河村院長は、日々そう自問自答していると言います。では、河村院長の考える“一流の子育て”とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

「施設に入ってくる
“学力が低い”といわれる子どもたち。
その責任は大人にあるのだと思います」


河村院長

児童養護施設・飛鳥学院は、奈良盆地のほぼ中央に位置する奈良県桜井市にあります。近鉄桜井駅またはJR桜井駅から歩いて10分ほどの住宅地の一角に位置し、子どもたちが暮らす建物はすべて木造で、包みこまれるような不思議な温もりを感じます。飛鳥学院のもともとのはじまりは、現在の河村院長のお爺様が戦災孤児たちを保護したことだといいます。河村院長に、児童養護施設の役割や大切にしていることなどからうかがってみました。

「児童養護施設の役割は、わたしの祖父が戦災孤児を保護したことでもわかるように、以前は親御さんのいない子どもたちをお預かりするのが主でした。けれど、21世紀になる前後くらいからでしょうか、被虐待の子どもたちの入所が増えはじめ、現在は6~7割がネグレクト(育児放棄)を含む、被虐待の子どもたちです。これは全国的なデータでも同様です。そういった背景もあり、施設にいわゆる心理職の職員が常駐するようになり、子どもたちの心のケアも充実してきました。もちろん、わたしたちの施設でも大切にしていることのひとつです」。

「では、何のための心のケアかというと、これもやはり、未来の進学や働くことへの準備であり、サポートだと思います。高校3年の3月を過ぎれば、子どもたちは施設を巣立っていかなくてはなりません。そのあと進学するのか、就職するのかはそれぞれですが、どう自立していくのかを見据えて、いま何をすればよいのかを考えたいですね。そう考えたとき、わたしたち施設の職員が子どもたちにすることはたくさんあります。ありすぎるほどです。なかでも、とても大切というか不可欠なのは、学力、あるいは学ぶ力。そして、“自分もやればできるんだ!”という自信です。自尊感情、自己肯定感と言い換えてもよいかもしれません」。

「学力があるかどうかは、子どもたちのメンタル面にも大きな影響があると感じています。2年ほど前ですが、こんなことがありました。小1の後半でここに入ってきた男の子なのですが、授業参観の日に学校に行ってみると、机に突っ伏しているんです。ちょうどその日はテストの日だったのですが、彼はひらがなも数字も読み書きできなかったので、テストそのものが受けられないのです。何をどうすればよいのかもわからないので、机に突っ伏すしかなかったのでしょうね。これは、大人の責任だと痛感しました。能力が低いのではなく、学習する機会がなかったために読み書きができないだけなんです。でも、学校には5~6時間はいるわけですから、授業がわからないと、ほんとうに辛いだろうと思います」。


小学生は、学校から帰ってくるとすぐ、この学習室で公文のプリントに取り組む。玄関から学習室までの廊下を、パタパタと走ってくる子どもたちの足音が「くもんスタート!」の合図。小学生は火水金の3時半~5時の週3回学習。幼児は、保育園への登園前の8~9時の1時間(月~金)、自分の部屋(居室)でプリントをする。

「彼はいま小3になり、算数A教材のたし算を嬉々としてやっています。情緒も安定してきて、表情もとても明るくなりました。授業にもなんとかついていけているようで、学校が楽しいみたいです。こうした変化はとても嬉しいですね。以前の彼は自尊感情が低かったのですが、いまは“オレもやればできるやん!”といった気持ちが芽生えてきているのがわかります。それに最近わかったんですが、彼は数の感覚というか概念がかなり入ってきていて、例えば職員の手伝いでテープを切ったりするとき、“10cm切って”“1m切って”と言うと、メジャーの目盛を見ながら、頼んだ長さにスッと切ってくれるんです。計算はふつうくらいですが、長さや量の数値をパッとつかむのには長けているのかもしれません。だから、“大工の棟梁のところに弟子入りして、大工になったらどうだ”って言っているんです(笑)」。

河村院長だけでなく、ほかの職員の方たちのお話でも、学力がついていくことで、笑顔が増える、怒らなくなる、行動が落ち着いてくるなどの変化は、多くの子どもたちに共通していることのようです。

【児童養護施設】
児童養護施設の役割は「保護者のない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童(特に必要な場合は乳児を含む)を社会的に養護する」ことです。現在、全国に600か所ほどあり約3万人の子どもたちが生活し、近隣の学校に通っています。また、児童養護施設へ入所する子どもたちのおおよそ6~7割が虐待を経験しているという調査結果もあります。(厚生労働省ホームページより)
*児童養護施設を含め、社会的養護を必要とする子どもたちが生活している施設の詳細は下記からご覧ください。

▼ 厚生労働省、社会的養護の施設等について http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/01.html

河村院長が考える“一流の子育て”とは?

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