地域に根差し、地域で求められる医療を提供する「家庭医」を目指して
「家庭医」という言葉は日本では聞き慣れないかもしれませんが、イギリスやアメリカでは、General Practitioner、Family Physicianと呼ばれ、いわゆる家族のかかりつけ医として広く認知されているそうです。地域の方々が抱える健康に関する心配や問題についての相談を受け、診察し、必要な処置や薬の処方、治療などを行います。専門科の受診が必要と判断すれば、その患者さんに適した専門的な病院を紹介します。診療するのは、赤ちゃんからお年寄りまで。年齢や性別、病気の種類などに関わらず、「その地域の人々に求められる医療を提供していくこと」が求められる医師なのです。
現在研修医2年目の金久保さんは、「家庭医」になることを目指し、今は毎月異なる診療科を回って、実際の診療に携わっています。
金久保祐介さんのあゆみ
・小学2年生のとき、公文式教室で英語を学び始める
・小学6年生のとき、KUMONのイングリッシュ・イマージョン・キャンプに参加する
・高校2年生で公文式英語を修了
・東京大学教養学部理科三類に入学
・医師国家試験に合格
・2015年4月から千葉県亀田総合病院にて、家庭医を目指して研修中
Q. 医者を目指すようになったきっかけを教えてください。
A. そもそも僕が医者を目指したのは、自分自身が小さい頃から喘息持ちで、出身地である茨城の診療所にお世話になったことが原点としてあります。夜中や明け方、休日でも構わず喘息の発作は起こります。そのたびに母が先生に連絡をして、診てもらっていました。「お世話になった恩返しをしたい、そのために医者になりたい」という気持ちは小学校低学年の頃にはすでに自分の中にはっきりとありました。
Q. 公文にはいつから通われていましたか?やっていてよかったことは何ですか?
A. 僕が公文に通い始めたのは小学2年生の頃。当時小学6年生だった姉が、中学入学に向けて公文で英語を学び始めたんです。僕はお姉ちゃん子で、“お姉ちゃんと一緒に”という気持ちで公文に入会しました。教科も姉と同じ英語(笑)。
そんなふうに通い始めた公文ですが、僕の夢の第一歩の後押しをしてくれたのが、公文の先生です。小学6年生のとき、公文の先生に「医者になるにはどうしたらいいか」と相談したんです。当時、僕の通っていた小学校から私立の中学を受験した前例はないような状況でしたが、公文の先生は「勉強ができる環境に進んだ方がいい」とアドバイスをくれました。そこから私立中学受験に向けて準備をし、何とか合格することができました。公文をやってよかったことは?と聞かれたら、「公文の先生と出会えたこと」と答えますね。公文の先生からはたくさんのことを学びましたが、特に「自分で考えることがいかに大事か」ということを、教室でのやりとりを通じて教えていただいたと感じています。
KUMONイングリッシュ・イマージョン・ キャンプにて(下側左から2番目が金久保さん) |
A. 小学6年生のとき、これも公文の先生の紹介で、毎年夏に公文が開催しているイングリッシュ・イマージョン・キャンプ*に参加しました。これは小学生が世界各国出身のキャンプリーダーたちと英語でコミュニケーションをしながら、生活を共にし、異文化理解を深めるキャンプなのですが、とにかく引っ込み思案だった僕は、初めて長期間一人で親元を離れるという寂しさもあって、キャンプではしょっちゅう泣いていました。それでも、海外からの留学生でもあるキャンプリーダーたちがサポートしてくれて、キャンプ期間を乗り切りました。その時に学んだことは「コミュニケーションをとろうとすれば、耳を傾けてもらえる」、そして「がんばれば何とか英語でコミュニケーションがとれる」ということでした。
*KUMONイングリッシュ・イマージョン・キャンプについては、記事末尾の関連リンクをご参照ください。
このキャンプを経て、英語を学ぶモチベーションは確実に上がりました。その後、英検を受験するなど、少しずつ積極的にチャレンジするようになっていきました。進学した中学・高校は自宅から片道2時間かかるため、教室に通うのも大変でしたが、最終的には高校2年生の頃までお世話になり、英語教材を修了しました。
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A. 医療の世界の最新の情報は英語でしか手に入らないことも多いため、調べものの際は日常的に英語を使っています。また、今所属している病院には米国から来られている先生がいらっしゃるのですが、英語で行われるカンファレンスの書記役などは積極的に買って出るようにしています。英語を読んだり聞いたりすることに対する抵抗感がないのは、公文で英語を学び、イングリッシュ・イマージョン・キャンプに参加したおかげだと思います。
また、キャンプで学んだ「コミュニケーションをとろうとする姿勢が大切」ということは、今自分が置かれている環境でもとても大切だと感じます。というのも、研修中の今、僕は毎月新しい科に行き、初めて会う方々と一緒に仕事をしています。ここでは積極的にコミュニケーションをとっていかないと仕事が成り立ちません。自分がどういう人間で、どういうことを考えているのかを理解してもらい、同時に相手のことも知る。そのためにコミュニケーションは欠かせません。初めて出会う人たち、ましてや海外からの留学生キャンプリーダーたちと英語で過ごすキャンプを何とか乗り切った経験が、僕を今、支えてくれているのかもしれません。
A. 例えば「病気を治す」ことができたらそれは素晴らしいことですが、治らなくとも「上手に病気と付き合いながら家族と楽しく暮らす」お手伝いをしたり、「健康な人が健康なまま生きる」ために予防的な介入をしたりすることには価値があると思うんですね。それは、「周りの人たちがハッピーに暮らせることに貢献したい」という、僕自身の夢にもリンクしています。仕事を通じてその夢を実現するためにも、日々「笑顔で仕事をすること」を心がけています。自分自身がイキイキと仕事をし、医療にかかわるすべての職種が一緒になって診療を行っていけば、患者さんのハッピーにもつながる。そういう医療を提供できるような家庭医になりたいと思います。