日本語のレベルがばらばらでもOK
だから取り入れた公文式
東京中華学校の日本語補習授業は、週に2回、放課後に1時間行われています。しかし、生徒は小学生から高校生までと年齢層も幅広く、日本語レベルもばらばら。クラスを受け持つ高橋先生は、まさに「てんてこまい」。レベルの異なる生徒に教える難しさを感じていたそうです。昨年の1月から公文式日本語を導入した結果、子どもたちの表情も意欲も、それまでとは見違えるほど変わったそうです。
―― これまでの日本語補習クラスの様子を教えてください。
![]() 日本語補習クラス担当 高橋先生 |
伊藤: 私がこの学校に赴任したのが13年前です。その頃、転入生は中学生と高校生を合わせて20人弱でしたが、全員、午後の授業は日本語教師が行う日本語のクラスに出ていたんですね。しかも専門の日本語教師が数人いましたので、クラスを初級と中級に分けることができて、かなり手厚い日本語教育ができていたんです。当時は、市販の日本語学習書を使って授業をしていました。
高橋: 私がクラスを受け持つようになった6、7年前からは7時限目の取り出し(補習が必要な生徒だけを選んで、別の教室で日本語を教えること)と放課後の2時間、週2回の補習授業という形になりました。そのころ、転入生は減ってきていて、しかも親御さんの転勤などの一時滞在がほとんどでした。ですから、不十分ながらも私一人で対応していたのですが、その後、クラス授業を重視するという学校の方針で取り出しは無しになり、週2回放課後1時間のみに減りました。ここ3、4年は中学・高校の転入生が増えてきて、さすがに一人では見きれなくなってきました。他の先生の応援を得て、初級と中級に分けて対応した年もありました。しかし、2年前に20人ほどの転入生を一度に任されたときは本当に困りました。その頃、学校の中高部では日本語での授業が増えてきていましたし、レベルも進むスピードも全く異なる生徒に対して週2時間の補習では正直対応しきれず悩んでおりました。
―― そのころ、教材はどうされていたのでしょうか?
![]() 国語担当 伊藤先生 |
高橋: 私は、長く日本語教師をやってきていましたので、それまで日本語学校の授業で使用してきた教材を活用して、自分でも作ったりしていたんです。ところが、小学生から高校生までどの子に合わせても、簡単になりすぎたり、難しくなりすぎたりして、週2時間のクラスとしてうまくいきませんでした。
―― 公文式日本語を取り入れようと思った理由は何だったのでしょうか?
高橋: 私自身が最も悩んでいたのは、それぞれの子どもたちに合わせた授業ができないということでした。その点、公文式は、その子のレベルに合わせて、しかも進み具合もそれぞれの子どもの能力に合わせて学習することができます。そうした公文式のやり方は知っていましたし、公文式には中国語で学べる日本語の教材もあるということも知っていました。そこで、公文式を取り入れてみようと思ったんです。