プログラムが充実している全寮制の守口研修センター
「外国人技能実習制度」をご存じでしょうか。これは、外国からやってきた実習生が、最長3年間企業に勤めながら、日本の産業や職業の技術・知識を修得する制度です。2016年には対象の職種に「介護」「家事」が加わることが検討されるなど、ますます実習生の増加が見込まれています。それにともない、守口研修センターのような、日本語の習得をはかる研修施設の需要も高まっています。
大阪府守口市にある守口研修センターでは、実習生が受け入れ先の企業で円滑に実務に取り組めるよう、プログラムを充実させています。日本語の習得だけでなく、生活習慣やマナー研修などのコンテンツも整備。全寮制による24時間体制で、実習生をきめ細かく指導しています。
さっそく、同施設の高橋センター長にお話をうかがっていきましょう。
受け入れ時期はさまざま 少人数クラスでも必然的に生じる日本語能力差の課題を解決してくれた公文式
日本語学習に公文式を導入されているそうですが、その理由は何でしょうか?
「外国人技能実習生の日本語レベルは一様ではありません。たとえ3名程度の少人数であっても入国ごとにクラス編成をして指導してきましたが、教える側からするとすぐに個々人の日本語能力差の壁に突き当たりました。文法積み上げ式のカリキュラムでは、おしなべて生徒を伸ばし、学習に集中させるように指導したくても、その限界を感じていました。これは私たちにとっても大きな壁(課題)でした。
そんな時、日本語能力差に対応できる公文式に巡り合いました。個人別に学習する公文式の日本語教材を導入することによって、一人ひとりのレベルにあわせて学習ができるため、ようやくこの課題を解決することができました。
また1ヵ月という短期の講習で実習生の受け入れ先企業様に納得していただくためには、「話す」「聞く」を中心にすえた「日本語会話」に結びつけるトレーニングも欠かせません。
公文式による「基礎力を養う講習」をカリキュラムに導入することができ、公文式と日本語会話のクラスを両輪にした授業運営が実現しました。これにより、実習生の日本語能力は一層の伸びをみせています。公文式の日本語教材の個人別学習と、日本語会話の全体授業の組み合わせが、とてもうまく回っています」。
実習生個々の特性を企業にフィードバックできるように
実際、実習生にはどのような変化がありましたか?
「あるあがり症の中国人実習生がいたのですが、公文式の日本語教材を一生懸命音読しながら取り組むことにより、自信に満ちあふれた表情で“日本語が上手くなった”と言ってくれました。日本語会話のクラスだけでは、落ちこぼれてしまっていたかもしれない実習生が、上達を実感してくれてうれしかったですね」。
スタッフ側にも変化がありました。
「公文式の日本語教材を導入することによって、担当日本語講師、生活指導員のみならず、他のスタッフも、実習生一人ひとりの状況が把握できるようになり、実習生個人の特性や性格、仕事に対する向き・不向きが報告できるようになりました。このフィードバックは監理団体(企業)からも満足度が高いですね」。
技能実習生の日本語能力向上を目標に指導体制の工夫を図る
実習生の能力向上に並々ならぬ熱意を注いでいる高橋センター長。工夫されている点をおうかがいしました。
「まずは教材のテキスト化です。音読チェック前に、文章にある特定の「品詞」にマーカーを引かせる等、「振り返り」を意識した「学習をムダにしない工夫」をさせ、自分のための参考書になるよう指導しています。また、音読チェックも重要です。正しく適正なスピードで音読することはもちろん、内容を日本語で口述・表現させ、理解度のチェックをしています。
当センターでは、3年間の実習期間中に日本語能力試験N3あるいはN2までとってほしいと考えており、そのための学習の習慣づけ、モチベーションアップを図っています。
公文式も講習期間の1ヵ月で600枚(3教材)進むことを目指しており、そのための指導体制を進化させてきました。採点人員や音読確認をする講師の充実が鍵となってくるため、採点には、精神障害者の就業訓練センターや地域の大学生アルバイトを活用するなどして工夫しています。また、レイアウトを、同じ方向を向いたスクール形式から、レベルごとの島形式に配置変えしたところ、個々の指導が行き届きやすくなりました。
日本語に限らず、他の研修も、受け入れる日本の会社側が何を求めているかを考え、ビジネスマナーや会社に入ることの心構え(“報・連・相”など)もしっかり身につけてほしいと、講習内容をコンテンツ化しています。今後も、よりよい研修プログラム整備に日々努力していきたいと考えています」。
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