![]() 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 宍戸亮子さん |
―― 「世界寺子屋運動」についてきかせてください。
「世界寺子屋運動」は、発展途上国における教育支援を行う活動です。現在は、アフガニスタン、カンボジア、ネパールの3か国で行っています。ここでいう寺子屋とは、「コミュニティ・ラーニングセンター」という施設。戦争や貧困などさまざまな事情で学校に通えない子どもたち、同じく教育を受ける機会がなかった大人までを受け入れて、読み書き計算といった基本的な学力はもちろん、職業技術訓練も行える、すべての年代の人たちが学べる場となっています。
―― 現在はどのようなお仕事をされているのですか?
「世界寺子屋運動」は日本からの一方的な支援ではなく、その国に住む方々が自分たちで運営していくための施設と仕組みを作ることが目的です。ですから私たちには、彼らが自立して持続的に活動できるように、現地スタッフと一体となって運営をサポートする役割があります。
私はいまカンボジアの担当をしていますが、現地の活動のモニタリングのほか、学校での国際理解教育の場などを通じて、日本国内で「世界寺子屋運動」を知ってもらったり、募金をしてくれた方々にいろいろな形で報告したりしています。
―― 国際的な仕事への関心は小さいころからあったのですか?
世界の話題を取り上げるクイズ番組や動物番組を見るのが小さいころから好きだったので、その影響があったかもしれません。大学生のときにアメリカのシアトルにホームステイをしました。その後留学とインターンを経験するなかで、ますます海外での仕事に関心が高まりました。
―― 公文式学習での思い出についてきかせてください。
同じ年代の友だちの影響や周囲の評判もあって、幼稚園の頃から通い始めました。よかったことは、自分のペースと自分に合った学習量だったこと。ハードルを自分で決められるので、やらされ感がなく学習を進められました。
そして地道な努力や苦労したことは、やがて自分の力になることを実感しました。楽をして結論にたどりついたものは、一過性の知識になりがちですが、こつこつと積み上げたものは本物の力になると思います。
―― 公文式学習での経験が現在のお仕事での取り組みに通じていると感じることはありますか?
公文式の学習もそうですが、小さなことの積み重ねが大きなことを成し遂げる力になる、ということでしょうか。
たとえば日本ユネスコ協会連盟では毎年、「書きそんじハガキキャンペーン」という企画を実施しています。あて名を間違えてしまったり、使わないで余ってしまったハガキや未使用の切手をご寄附いただくと、52円のものだと約45円の募金になります。昨年は126万枚のご寄附をいただきました。
一人あたりはほんの数枚かもしれませんが、合計すると何千万円という大きなお金が「世界寺子屋運動」への募金になったのです。一人ひとりの小さな力が大きな国際貢献につながるので、ぜひこのキャンペーンにも関心をもっていただきたいです。
―― いま、公文式学習で学んでいる子どもたちへのメッセージをお願いします。
「世界寺子屋運動」を通じて、どんな国や環境に生まれても、自分の能力を最大限発揮して、社会の力になりたいという思いを持っている子どもたちがたくさんいることを知りました。自分の夢や将来に向かって、大きなことを成し遂げるには、まずは一歩を踏み出して、そして積み重ねることが大切です。自分の経験は嘘をつかないので、ぜひこつこつと納得いくところまで努力をしてほしいですね。公文式学習の経験は、勉強だけじゃなくて、強い気持ちを育てる上でも大事な糧になりますから。
カンボジアでの寺子屋運動の様子