![]() 富士通株式会社 次世代テクニカルコンピューティング開発本部 LSI開発統括部 第一技術部 部長 吉田利雄 さん |
―― 今のお仕事についてきかせてください。
現在は、富士通の次世代コンピュータ開発の部署で、おもにスーパーコンピュータのCPU(中央演算処理装置)の回路設計をしています。
―― 今のお仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか。
じつは入社した当時は、コンピュータの知識はほとんどありませんでした。入社してから1年ほどはコンピュータの基本について猛勉強をして、その後社内でCPU開発のための新しいプロジェクトが動き出すことになり、それに手を挙げて関わることになりました。
―― スーパーコンピュータとはどのようなものなのでしょうか?
私は2000年からスーパーコンピュータ向けのCPU開発に関わっていますが、2007年にはスーパーコンピュータ「京」のCPU開発に関わりました。「京」は、2011年6月に世界のスーパーコンピュータランキングで第一位を獲得しました。
スーパーコンピュータの役割は、膨大な費用と莫大な時間が必要な実験などを、シミュレーションによって解決する上で大変重要なもので、さまざまな分野における最先端研究での貢献が期待されています。

―― 仕事を通じての喜びやこれからの夢についてきかせてください。
何よりモノを作り出す実感が大きいこと、そして自分が考え抜いたイメージを設計図に描いて、まだ形のなかったものを形にしていく過程に喜びを感じます。
今は自分が関わるスーパーコンピュータを通して、これまで人間が解けなかった生命科学や医療の課題、気象、または地震や津波などによる防災・減災などを、一分一秒でも早く解き明かすことで、社会に貢献していきたいですね。
―― 子どものころや公文式の学習の思い出は?
公文式教室に通い始めた時はどの課題もばらばらなことをやっている感覚でしたが、続けることであるときコツをつかんで、急に解けるようになったときにとても楽しくなった経験があります。今思うと、子どもがまるで自転車に初めて乗ることができるようになった瞬間のように、見える世界が変わるような感覚だったかもしれませんね。
―― 公文で学んだことが今に通じていることはありますか?
苦労しながら少しずつ積み重ねてきたことが、その後どこかで必ず役に立つという経験をたくさんしたことですかね。今仕事で苦労していることもそのうちパッと晴れるような瞬間がきっと来て、それが自分にとっての糧になるだろうと信じてやっています。公文での経験が今につながっているような気がします。
―― 今学んでいる子どもたちへのメッセージをお願いします。
自分で考えて、その結果できたという達成感を得て、それを積み重ねていく。まさに、こうした「自学自習」が大切です。その習慣は大人になってからも重要なので、早くから身につけたほうがいいと思います。
私は現在、すでにスーパーコンピュータ「京」の後継の開発を終え、さらにその次のものに着手をしています。資源の少ない日本ですが、自分たちの技術力によって「世界一」を目指すことで、子どもたちが憧れをもってその道を目指すきっかけになったらとても嬉しいです。

提供:理化学研究所
関連リンク 富士通株式会社 富士通キッズ 未来を切りひらくスーパーコンピュータ 富士通キッズ スーパーコンピュータ「京(けい)」開発物語 未来への挑戦
※インタビューにご登場いただいた吉田さんがマンガの主人公の一人として描かれていますので、ぜひご覧ください。
独立行政法人理化学研究所