2014年度の主なトピックス アルツハイマー協会世界大会などで学術発表
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アルツハイマー国際大会で発表の デボラ社長(当時) |
世界一の認知症大国であるアメリカでは認知症に関する様々な国際大会が開催されていますが、その中でも主要な2つの大会で、EJでの学習療法の効果検証の発表が、川島教授とEJのデボラ社長(当時)によって行われました。5月にアメリカ領プエルトリコで開催された「第29回 アルツハイマー協会 国際大会(ADI)」と、11月にはアメリカの老齢学会で古い歴史がある「Gerontological Society America (GSA)」の国際大会です。両大会に共通することですが、学習療法は他の非薬物療法の発表にはない、脳科学に裏付けされた理論、誰でもイメージができる具体性のある手法、驚異的な結果などから、会場は驚きと感嘆の声に包まれました。
大きな影響力をもつ「アメリカ老年学会誌」に即時掲載
老齢医学に関する権威あるジャーナルであるJAMDA(Journal of the American Medical Directors Association)にEJでの効果検証の結果を川島教授が投稿されたところ、編集者から「favorably reviewed by our editorial team」(好意的に吟味した)という言葉を添えて、2015年1月号に即時掲載したいとの連絡があったそうです。それも投稿ではなく、論文として掲載したいとのことでした。通常は審査を通過しても掲載までに数ヵ月要するそうですので、学習療法の効果検証がいかに驚きを与えているかを表しているのではないかと思います。
映画『僕がジョンと呼ばれるまで』がアカデミー賞にエントリー
海外の国際映画祭の中で、最も権威があり、かつエントリー(応募)の壁が厚いアカデミー賞に、「Do you know what my name is?」(『僕がジョンと呼ばれるまで』の原題)が日本の長編ドキュメンタリー映画史上で初めてエントリーされ、12月にロサンゼルス、ニューヨークで劇場公開されました。そして、この映画について、アメリカ国内の有力紙や映画業界紙で映画の内容が紹介されるなど、大きな話題になりました。
アメリカ全土に広がりつつあります 6州14施設に導入
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全米に拡がる学習療法 |
学習療法は「SAIDO-Learning(*)」という名称で、アメリカでは先駆者であるEJ によってアメリカ全土に広がりはじめています。2015年2月時点で6州(オハイオ州、イリノイ州、ワシントン州、フロリダ州、コロラド州、カリフォルニア州)で14施設にまで広がっています。いくつかの導入施設では、今年の11月1日に幕張で開催される「学習療法実践研究シンポジウム」での発表にむけて、すでに準備を始めています。
*SAIDO-Learning:アメリカでの「学習療法」の登録商標。
Smart aging intervention do learningを意味している
オハイオ州 シンシナティの新規導入施設訪問記
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オハイオ州シンシナティの 有料老人ホーム・Marjorie P. Lee |
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Marjorie P. Leeでの学習療法の様子 |
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目標も記入されている日報 |
北米での学習療法はKUMONとライセンス契約を結んだEJにより2014年から全米に広がっています。北米で2番目となる導入施設を訪問した際の様子を紹介します。
創始者の思いを実現するために学習療法を導入
クリーブランドから高速道路で5時間をかけてシンシナティの有料老人ホーム・Marjorie P. Lee を訪問。最初にEJのデボラ社長(当時)と志をともにし、「パーソン・センタードケア」に取り組んでこられ、学習療法導入の推進者であるジル施設長より、施設紹介と学習療法の導入の目的について説明していただきました。Marjorie P. Leeは、ジル施設長をはじめ職員の皆様が創設者の思いをとても大事にし、施設運営や施設ケアを実践されていて、施設の理念と私たちが大切にしている学習療法の目的や価値観がきちんと結びついている施設です。
学習者の変化を積極的にみつけよう
その後、学習場面を見学させていただきましたが、学習サポーターの方々は学習支援の方法や手順の基本型を守って学習支援されており、またほとんどの学習者が週5回の学習をされているなど、基本を大切にして学習療法の目的や価値観がきちんと結びついている施設となっています。
何よりもMarjorie P. Leeのすばらしいところは、学習者の変化を積極的にみつけようとする姿勢・取り組みです。多面的に学習療法の成果を検証しようとする姿勢や学習者の様子を撮影して小さな変化に気づこうとする姿勢は、学習者とスタッフの大きな変化につながるだろうと直感しました。学習サポーターの方々の学習者の変化に感動する“ 心”もMarjorie P. Leeのすばらしいところです。感動する心が、気づき力を育てるともいえるでしょう。昼食をとりながらのミーティングでスタッフのみなさんが、学習者の変化から得られた感動を他の職員と共有しようとされている姿にはとても感銘を受けました。