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Vol.040 2017.01.27

ハッピークリエイター
たかいよしかずさん

<後編>

「想像力」「創造力」
2つの「そうぞうりょく」が
生きていく力になる

ハッピークリエイター

たかいよしかず (たかいよしかず)

大阪府出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。現在株式会社京田クリエーション代表取締役。明治「マーブル チョコレート」キャラクターの「マーブルわんちゃん」、兵庫県西宮市観光キャラクター「みやたん」などキャラクターデザインの他、「怪談レストラン」シリーズ(童心社)のイラスト、「おはなし・くろくま」「わくわく・くろくま」シリーズ(くもん出版)など数多くの絵本も手掛ける。

Baby Kumonのキャラクター「くろくまくん」の生みの親であるたかいよしかずさん。昆虫や怪獣に魅せられた少年は、いかにして世の中を明るく照らすような作品を生み出す「ハッピークリエイター」となったのでしょうか。つねに前向きに楽しいことを追求し、新しいことにチャレンジし続けるたかいさんの原動力を探ります。

目次

絵本を通して子どもたちに伝えたいこと

ハッピークリエイター たかいよしかずさん

芸大受験のための絵画教室の先生には、本当にお世話になりました。何とか合格して、報告に行った僕に先生はこう言ったんです。「あんたな、入学金は親に出してもらうかもしれへんけど、授業料は自分で稼ぎなさい」って。「うちの旦那が市場でお店をやってるから、あんたそこで雇ってもらったる」って言うんですね。

そんな感じで2年間、そのお店で働きました。朝の4時半に起きて5時からお店に立って8時までアルバイトしていました。でも今考えたら、「なんで僕にやらせたんやろなぁ」と思います。絵画教室には自分以外にもたくさん生徒がいて、そのなかでなぜ僕に声かけたんやろって。ところでこの先生、人に僕を紹介するとき、「この子は表に10円って書いてあって、ひっくり返しても10円って書いてあるような子なんです」って。つまり「裏表がない」と。たぶんそれは僕の個性だから?大事にしていかなあかんなーて思ってます。

「裏表がない」性格だからか、会いたいと思う人にはすぐ会いに行くし、やりたいと思ったらすぐ行動します。僕、中学生のときの夢は漫画家だったんですが、高校で「アニメーター」という職業があることを初めて知ったんですね。アニメーターって面白そうだなと思って、大学2回生のときに、東京のアニメプロダクションに手紙を書いて、スタジオを見学させてもらいに行ったんです。そのときにプロダクションの原画担当の方が紙の束を持ってきてくれて、僕の目の前でパラパラパラっと見せてくれたんですね。「これで、映像にして2~3秒くらいかな」って。衝撃を受けました。その時の僕は、「あっ無理、こんなに根気続かへーん」と思い、行動をしたもののそのときはあっさりあきらめました。

「教育」も興味のある分野のひとつでした。僕、教員免許を取ったんですよ。ただ、2週間の教育実習を通じて思ったのは、自分の専門教科が2割、あとの8割は生徒たちに生活指導ができる人でないと先生にはなれないな、ということ。自分がその役割を担うのは難しいと感じました。ただ、子どもたちに伝えたいことは何かしらあるような気がしていました。だから僕は将来、絵本作家になることでそれを果たそうと決意しました。絵本を通じて子どもたちに思いを伝えたいって。

そのときから20年ほどかかりましたが、絵本を世に出すことができました。それから10年が経った昨年、『ともだちのつくりかた』(大日本図書)いう絵本を出したんです。以前、中学生の男の子が友人に殺されたというニュースを見て、「ありえへん」と思いました。なんでこんなことが起こったんやろって。そのときに考えたんです。「親は選べへんけど、友だちは選べる」って。いい友だちにめぐり逢えたら、こんな悲しい事件は起こらへんかったやろと。それは、きっと大学4回生のときに僕が子どもたちに伝えたかった何かのうちの1つでもあると思うんですよ。

たかいさんから子どもたちへのメッセージ

2つの「そうぞうりょく」を身につける

ハッピークリエイター たかいよしかずさん

僕は本当に勉強が嫌いでした。押し付けられている感じがどうしても嫌だったんでしょうね。でも、興味があることに関しては一生懸命やってきました。それは、僕のなかでは「勉強」じゃなくて「学び」と呼んでいます。その「学び」の部分で、僕が社会に対して何かお手伝いできることがあればいいなって。

僕の仕事はやっぱり「お客さん」に支えられている。たとえば小学校に講演に行くじゃないですか。すると先生が子どもたちの感想を送ってくれるんです。とても嬉しいです。「いま自分はクラブに入っているけど、自分より上手い子がいて諦めていました。だけど、今日のお話を聞いて、もう少しガンバってみようと思いました」とか。1人でいいんです。1人でも自分の話を前向きに捉える人がいてくれたら、話をしてよかったなと思いますね。そして、そういう人がいるから僕はハッピークリエイターとしての活動を続けられる。

子どもたちに話をするとき、黒板に「そうぞうりょく」とひらがなで書くんですよ。そしてその下に漢字で「想像力」「創造力」と2つ添える。「このふたつはどちらも『そうぞうりょく』と読みます。上の方は頭で考え、イメージを描くこと。下の方は実際に手を動かして作ってみること。この『そうぞうりょく』があれば、あなたたちはどんな仕事でもやっていける。この力を高めることができれば、みんなどこでも生きていける」と伝えています。考える力と実行力。それがすべての源だと思うから。

たかいさんのこれからの夢とは?

人と比べて生まれるものもある

ハッピークリエイター たかいよしかずさん

大学生だった頃、色々なギャラリーをまわっていました。会社に入ってからも、暇さえあればギャラリーに出かけて、「ああ、この人の作品好きやなあ」って勝手にこの人ライバルって思ったりして。「人と比べたらアカンよ」って意見もありますが、僕は人と比べる、競争するのは大事やと思っています。人と比べて、自分の立ち位置がどこにあるのかっていうのを自覚しないとアカンと思うんですね。そうしないと、新しいものは生まれないと思う。

それはセンスを磨くってことでもあるんじゃないかな。どうしたらセンスが磨けるかっていうと、やっぱりいいものを見ないといけない。僕は展覧会も行きますし、映画を年間50本、映画館で観ようって決めているんです。そのときにね、作品だけじゃなくて、それを観てるお客さんの反応も見るんです。どういうところで泣いたり、笑ったりしているのか。それはすごく自分のモノづくりの参考になるんです。

僕はこれからもハッピークリエイターとして、イラストはもちろん、アニメも作りたいし映画も作りたい。そしていつかは自分の美術館も建てたい。やりたいことはとめどなく溢れてきます。たぶん根底にあるのは、親に怒られても止められなかった少年の頃の好奇心。僕ね、自分で本当に頑固で素直だと思うんです。ただ、意固地とは違う。意固地は、間違っていることがわかっても自分の意思を曲げないけど、頑固は間違っていることがわかったら変えますもん。そういう柔軟さは大事にしたいですね。人が喜んでくれることが自分の嬉しいことと思って、日々仕事ができるようにガンバリたいと思います。

関連リンク 京田クリエーション


ハッピークリエイター たかいよしかずさん  

後編のインタビューから

-たかいさんの肩書き「ハッピークリエイター」とは?
-たかいさんが絵を描くことを続けてこられた理由
-たかいさんの幼少期とは?

 

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