Unlocking the potential within you ―― 学び続ける人のそばに

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Vol.114 2025.12.03

新聞社勤務
藤原 星菜さん

<後編>

英語で世界を感じた日から
社会課題に挑む企画づくりへ

新聞社勤務

藤原 星菜 (ふじわら せいな)

栃木県出身。1歳から公文式で算数・数学、英語・国語を学び、英語は最終教材まで修了。小学4年生でEnglish Immersion Camp(EIC)に参加し、異文化交流の楽しさと英語でつながる力を体感。大学では国際関係を専攻し、ロンドン大学へ留学。現在は新聞社の企画部門で、サステナビリティや多様性など社会課題をテーマに、シンポジウムや紙面企画をプロデュースしている。

新聞社の企画部門で、サステナビリティや多様性などの社会課題をテーマに発信を続ける藤原星菜さん。小学4年生のときに参加したEnglish Immersion Camp(EIC)で感じた“世界とつながる喜び”が、いまの仕事の原点になっています。公文式で育まれた「自分のペースで学ぶ力」と「人の違いを受け入れるまなざし」が、社会を動かす企画へとつながっています。

目次

    今に生きるKUMONでの経験
    伝える力・包み込む力

    インドネシアスタディツアーにて、高速道路下にあるストリートチルドレンの学校を訪問。その後も交流を続けている。

    GICに参加してから数年後、私はボランティアスタッフとして再びGICに戻りました。大学生になり、今度は「迎える側」として子どもたちの挑戦を支える立場になったのです。

    初めての参加者は緊張して、英語を話せずにうつむいてしまうことがあります。そんなときは、私が最初に拍手して、エールを送り、笑って見せるようにしていました。「間違えても大丈夫」「一緒に楽しもう」という空気をつくること。それが何より大切だと思っていました。スタッフやリーダー自身が楽しむことで、子どもたちも自然と笑顔になる、それは私が参加者だった頃、リーダーたちから教わったことでした。

    GICやKUMONのプログラムを通じて私が学んだのは、人の可能性を信じる姿勢です。英語を話す力や点数よりも、“その人がどんな気持ちで挑戦しているか”に目を向けること。たとえ言葉が通じなくても、拍手や笑顔で伝えられる励ましがある。私はその経験を通じて、コミュニケーションの本質を少しずつ理解していったように思います。

    藤原 星菜
    今でも世界中で
    つながっている大切なEICの仲間と

    この“相手を包み込む力”は、今の仕事でも大事にしています。新聞社の企画部門では、行政、企業、NPO、大学など、さまざまな立場の人たちが一緒に議論する場をつくります。考え方が違う人たちの間に立ち、全員が安心して意見を交わせる空気をつくる、それが私の役割です。GICで感じた「インクルージョン(=包括)」の精神が、私の中に根を下ろしているのだと思います。

    また、公文式で培った自分のペースで進む力も、社会に出てから大きな支えになりました。長期的な視点で取り組む仕事では、すぐに成果が見えないことも多い。それでも、昨日より少し前へ進めていればいい。そんなふうに考えられるのは、公文式で学んだ「積み重ねる力」があるからです。

    社会課題を扱う仕事は、時に重く、簡単に答えの出ないテーマばかりです。それでも、人と人をつなぎ、誰かの心が少しでも動く瞬間があれば、その努力は無駄ではない。そう信じられるのは、学びの原点に挑戦を肯定してくれる場があったからだと思います。

    世界と学び合える“輪”を広げたい

    世界の現状を肌で感じたOne Young World サミットにて、
    クルド人のリーダーと対話

    社会人になった今も、私の中にはGICで感じた「世界とつながる喜び」がずっと生きています。当時のように、国や立場を越えて互いに学び合える場を、社会人になってからも持てたら…、そう思うようになりました。

    大人になると、日々の仕事が中心なり、自分の外の世界に出る機会が減ってしまいます。でも、ほんの少し視点を変えるだけで、学びのキッカケはどこにでもある。年齢や職業に関係なく、多様な人たちが気軽に集い、語り合い、考え合えるような場をつくることが、今の私の夢です。

    仕事の中でもその思いを形にしたいと考えています。新聞社という立場で、社会課題をテーマにしたシンポジウムやフォーラムを企画し、そこに集う人々が新しい一歩を踏み出す。そんな行動のきっかけを生み出すのが役割だと思っています。

    イベントが終わったあと、参加者の方が「今日の話を職場で共有します」と言ってくださることがあります。そうした小さな連鎖が社会を少しずつ変えていくのだと思います。私がGICで体験した“心が動く瞬間”を、今度は自分が届ける側になって実現していきたいのです。

    個人としても、国際的なコミュニティづくりに関わっています。次世代のリーダーたちが世界の課題解決に向けて議論する「One Young World(ワン・ヤング・ワールド)」サミットに日本代表として参加してから10年以上、同世代の仲間と共に、国や文化を越えて考えを共有し続けています。彼らと話していると、立場は違っても根底にある願いは同じだと感じます。誰もが自分の居場所を見つけ、学び合える社会をつくりたい。それは私自身のテーマでもあります。

    学びは学校の中だけにあるものではなく、人と出会う場所すべてにある。そして、教育は、考えることを育てる考育でもあり、共に学ぶ共育だと考えています。だからこそ、どんな年齢になっても世界について、そして、人について“学び続ける姿勢を持ちたい”でありたいと思います。実は今も公文式のフランス語教材で学習を続けています。進みはゆっくりですが、『星の王子さま』を原文で読むのが小さな夢です。言葉を学ぶことは、新しい世界の扉を開くこと。英語が私に世界への入口をくれたように、フランス語もきっと、また違う世界へ導いてくれるはずです。

    GICの最終日、みんなで肩を組んで歌った「We Are The World」のメロディーが、今でも心の中で響いてます。あのとき感じた“つながりの輪”を、今度は自分の手で広げていきたい。世界を変えるような大きなことではなくても、人と人とが理解し合う小さな瞬間を増やしていく。それが、私が描く未来のかたちです。

    小さな学びが、未来を変える

    藤原 星菜

    振り返ってみると、私の人生の転機はいつも“学び”の中にありました。公文式教室で世界を感じたこと。GIC で異なる文化や価値観に出会い、英語を通じて人と心を通わせたこと。どの経験も、小さな積み重ねから始まったものでした。あのとき、一枚のプリントを解いたり、知らない言葉を声に出して音読したりした瞬間の延長線上に、今の自分がいます。

    私は英語の最終教材まで学びましたが、決して英語が得意な子ではありませんでした。教材の中には難しくて時間がかかったものもあります。それでも、「プリント一枚でもいい、もう少しやってみよう」と思えたのは、自分のペースで進める公文式の仕組みと、支えてくれた先生たちの存在があったからです。

    学びは、誰かと競うためのものではなく、自分を少しずつ成長させる時間。焦らず、自分のリズムで積み重ねていけば、必ず世界が広がっていく、そのことを、私は身をもって感じてきました。社会人になった今も、その姿勢は変わりません。日々の仕事で、思うように成果が出ないときもあります。でも、今日の一歩が明日の糧になる、と信じて目の前の課題に向き合っています。

    どんな分野であっても、“学び続ける力”があれば、未来を切り開くことができると思います。学ぶことを止めない人は、いつまでも成長できる。これは公文式での経験から得た確信です。今の子どもたち、そして保護者の方に伝えたいのは、「学びの中にこそ、未来を変える力がある」ということです。

    • 難民・移民の子供向けの学習支援についてサミットで発言
    • GICスタッフとして参加した当時のキャンプリーダーと

    教材の一つひとつ、「出会う」言葉の一つひとつが、いつか必ず人生のどこかでつながります。世界に一歩を踏み出すために必要なのは、英語力や知識だけではありません。大切なのは、“わからないことを考え続ける力”と、“人とつながる心なのではないでしょうか”。学びの種は、どんなに小さくても確かに芽を出します。

    いつか次の世代が自分の世界を広げようとするとき、その背中をそっと押せる存在でありたいですね。小さな学びが、未来を変える力になることを信じながら。

    前編を読む

     


     

     

    前編のインタビューから

    -社会課題を可視化する企画づくり
    -多様性に「出会った」教室で感じた世界の広がり
    -EICへの参加英語で世界と「出会った」夏

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