手本を見る頻度と位置が重要
公文エルアイエル(代表取締役社長 山本憲治)は、公文式の特長を書写の分野に生かした「公文書写教室」を全国に展開しています。公文書写教材は「書き込み式」で、手本を見ながら学習を進め、日常生活に生かせる書写力が身につくように制作しています。
一般的に文字を学習する際には、手本を見て書く「臨書」と言われる方法を重ねて、技術を身につけていきます。「臨書」とは、手本を傍らに置いて見ながら、字形や筆使い、字配りや全体を真似て書く最も多く用いられる方法です。
手本文字を忠実に真似ることが、文字の上達につながると考えられています。
書写学習経験の初心者・中級者・上級者それぞれの視点から分かった手本を見る「目の動き」の違いについてご報告いたします。
公文エルアイエルでは、視線が計測できる機械を使用して、公文書写教材の手本文字を見ながら紙に書き写し、それを視覚的に表す実験を行いました。モデルはいずれも成人で、書写書道の経験のない初心者、経験5年の中級者、経験10年以上の上級者です。手本文字の中の「●」は手本を見る頻度と位置を表しています。また「●」の大きさは見ている時間です。
この実験により、二つの観点でその違いを確認することができました。一つ目は手本を見る頻度、二つ目は手本を見る位置です。
「上下」
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「王手」
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① 手本を見る頻度
初心者が手本を見る頻度に比べ、上級者はその2倍以上手本文字を見ていることが分かります。
初心者は一度文字全体を見て、頭にインプットしたものを紙に書く傾向にありますが、それでは手本文
字のような文字を書くことはなかなかできません。上級者のように一画一画を何度も見ることが大切だと言えます。
② 手本を見る位置
初心者が手本を見る場合は、手本文字以外の名前や余白などにも目がいっています。また、書き始めの位置を見ることは多いですが、特に書き終わりの位置まで確認されていません。中級者になると、見る位置は、手本文字をなぞっているものの、書き終わりを見ていない画もあります。上級者は、手本文字の画の書き始めから書き終わりまで忠実に見ているだけでなく、下の文字を見ながら書く際には、上に書いた文字も見て、中心や配置も意識していることが分かります。
◆手本を見る観点を意識することで整った文字が書けるようになる
~手本文字を見る観点~ 線や点が |
手本文字をただ漠然と見て書いても、
なかなかそれに近づくことはできません。
手本文字を見る観点を意識することで、書の経験が
十分でなくても、整った文字を書く近道になります。
「文字や文章を美しく整えて書く」というこだわりは、
相手への礼節を重んじる日本ならではの文化と言えます。
このすばらしい伝統文化が長く受け継がれていくことを
願っています。
【株式会社公文エルアイエル 概要】
代表取締役社長: | 山本 憲治 |
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設立: | 1996年9月 |
本社: | 〒532-8511 大阪市淀川区西中島5-6-6 公文教育会館6F |
事業内容: | 生涯学習をテーマとした書写教室の全国展開 ・ペン習字・かきかた・筆ペン・毛筆教材の研究開発・制作、指導法の研究 ・ペン習字・かきかた・筆ペン・毛筆教室の設置、指導管理 ・生涯学習に関する調査・研究 |
公文教育研究会 TEL 03-6836-0030