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プレスリリース

~公文浮世絵コレクション画集~『江戸子ども百景』(河出書房新社)刊行

2008年6月3日 (火)

子ども浮世絵

公文教育研究会は子どもが描かれた浮世絵を3000点余り所蔵しています。その中から江戸の子どもの遊びや学びの情景が描かれた浮世絵125点を集めた画集『江戸子ども百景』が河出書房新社より刊行されました。


向嶋弘法大師境内之図(歌川貞虎)子ども同士が川遊び、相撲、せみとりなどして川沿いで遊ぶ様子を描いた図

向嶋弘法大師境内之図(歌川貞虎)
子ども同士が川遊び、相撲、せみとりなどして川沿いで遊ぶ様子を描いた図

街角で元気に群れ遊ぶ子どもの姿がめっきり少なくなった現代ですが、浮世絵に描かれた江戸の子どもたちは、仲間同士群れ、自然の中でいきいきと遊んでいます。その様子は、幕末・明治に日本を訪れた外国人が「子どもの楽園」「子どもの天国」と賞したほどでした。

浮世絵に描かれた江戸の豊かな子ども文化と幸せそうな子どもの姿を通して、現代の子どもが育つ社会環境や教育、そして子育てについて考えるきっかけとしていただける一冊です。



「公文浮世絵コレクション 江戸子ども百景」


<書籍>

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監修:小林 忠/編:中城 正堯

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発行:河出書房新社

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判型:A4変形/96ページ

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定価:2,940円(本体2,800円)

<本書構成>

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第一章 子どもづくし

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第二章 五節供・年中行事

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第三章 子ども遊び

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第四章 手習・けいこ事

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第五章 金太郎や桃太郎

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第六章 明治の遊び



幅広いジャンルの執筆陣による解説も魅力です



<日本美術史>
小林 忠(学習院大学教授・国際浮世絵学会理事長)…「子どもたちの楽園」

<歴史学>
黒田 日出男(立正大学教授)…「江戸の子どもの遊びは無尽蔵」

<実験歴史学>
鎌田 道隆(奈良大学学長)…「よみがえる江戸の子ども遊び」

<西洋美術史>
森 洋子(明治大学名誉教授)…「ブリューゲルの子ども、浮世絵の子ども」

<往来物研究>
小泉 吉永(法政大学講師)…「心つないだ寺子屋教育」

<民俗学>
中城 正堯(江戸子ども文化研究会主宰)…「江戸子育て習俗をさぐる」



本書から伝わってくる江戸子ども文化とは~外国人に「子ども天国」と賞された江戸社会~



江戸時代、当時日本を訪れた外国人が「こども天国」と賞するほど、子どもは「子宝」といわれ家族のみならず社会全体で、大切に見守られ育てられていました。




1.季節と共に自然の中でいきいきと遊ぶ子どもだち

風流十二月 四月(石川豊雅)
風流十二月 四月(石川豊雅)

凧揚げ、川遊び、虫取り、神楽あそび…etc。子どもたちは四季に合わせ、自然の中で仲間たちが集まって様々な遊びに興じました。また雛祭りや七夕、端午の節供など季節の年中行事も楽しみました。

右図は毎月の子ども遊びを描いたシリーズの八月で、八月十五夜のお月見と、いもむしころころの遊びが描かれています。季節の行事を楽しみつつ子どもたちが集団でダイナミックに遊んでいる様子が窺えます。




2.種類豊富な遊びやおもちゃ

からくり玩具、水鉄砲、張子、ままごと道具、回り灯篭…etc。精巧に作られた様々な玩具が商品として流通。あたたかい眼差しを子どもにむけていた親は、子どもたちが楽しく遊べ、賢く育つよう願ってそうした玩具を買い与えました。




3.習い事にはげむ子どもたち

広重戯画 寺子屋遊び(歌川広重)
広重戯画 寺子屋遊び(歌川広重)

江戸の子どもたちは、現代の子どもたちに負けず劣らず、踊りやお琴から剣術まで、さまざまな習い事に励んでいました。中でも庶民も多くが寺子屋に通い、読み書き計算を習得したことは特筆すべき点です。右図は広重の「寺子屋遊び」。寺子屋の師弟関係を戯画にしたもので、積み上げた机の上に立った子が、手習手本を白い装束代わりに、「お化けだぞう!」とおどし、師匠が腰を抜かしています。やさしい師匠も雷師匠もいましたが師匠と弟子の師弟関係は生涯を通じて大変強く結ばれていました。




4.地域ぐるみで行われた子育て

寺子屋の師匠もその一人ですが、地域の有力者が拾い親や名付け親になり、地域の子どもの成長を見守る風習など地域共同体の子育て支援体制が存在していました。



公文浮世絵コレクションとは



江戸砂子子供遊 早稲田蛍がり(歌川芳幾)
江戸砂子子供遊 早稲田蛍がり
(歌川芳幾)

KUMONでは江戸子ども文化研究のために、子どもが描かれた浮世絵等の収集と研究を1986年より続けてまいりました。資料の総点数は現在、浮世絵を中心に3,000点あまり。「子ども」にテーマを絞ったコレクションは世界でも類を見ない、極めてユニークなものです。絵画史料でもある浮世絵からは文献では知り得ない、江戸の子どもたちの生活や子育て観が伝わってきます。いきいきと遊ぶ子どもの姿や濃密な母子関係、庶民のための教育機関であった寺子屋や子どもたちの学びの様子。そして子宝思想と呼ばれる子どもを大切に育てる江戸の社会のあり方は、現代の教育や子育てを考える上でも大変参考になるものです。KUMONではこの子ども浮世絵を通じて得た研究成果を、社会に向けてお伝えする活動もしています。向けてお伝えする活動もしています。

本書に先立ち、公文浮世絵コレクション第1弾『母子絵百景』*1(河出書房新社 既刊)も刊行されています。母と子の情愛あふれる場面を主題とした「母子絵」ばかり108点を集めた本書もあわせてご一読くださいませ。



関連WEBサイト

<河出書房新社サイト>
『子ども絵百景』
*1『母子絵百景』
<KUMONサイト>
子どもは宝 -親子の絆、地域の絆-
子ども浮世絵ギャラリー



ニュースリリースに関するお問い合わせ先
公文教育研究会 TEL 03-3234-4401

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