「夢」「学び」を支えるKUMONの「いま」を伝えます

記事検索
Vol.404 2021.06.01

浮世絵に描かれた江戸時代の暮らし「行水」

水無月の「行水」
~浮世絵から見える旧暦6月の暮らし~

KUMONでは1986年から子ども文化研究のために浮世絵を中心とした文化史料を収集・研究してきました。今回は江戸時代の生活の様子が描かれた浮世絵を紹介します。浮世絵から垣間見える江戸時代の人々の暮らしを一緒に想像してみましょう。

目次

人々の暮らしをうつし出す水無月の「行水」

そろそろジメジメとした梅雨の季節に入りますね。
旧暦の6月(水無月)は現代のカレンダー上では7月で、今年は7月10日から始まります。当時は今のような温暖化はありませんでしたが、この時期は雨も多く蒸し暑い日が続き、疫病や毒虫が増えるため、多くの人々を悩ませていました。そこで、何とかこの時期を無事に過ごし、稔りの秋を迎えられることを祈願するために、各地の神社で夏祭りが行われていました。とりわけ、6月晦日には神道儀式である大祓(おおはらえ)の儀式が行われていたため、今でも神社の恒例式として6月30日には夏越の祓である大祓や夏越祭が催されています。

kumonの浮世絵風流十二月ノ内 水無月  歌川国貞/三代歌川豊国 天保(1830~1844年)頃

さて、今回紹介するのは歌川国貞(三代歌川豊国)の風流十二月のシリーズから「風流十二月ノ内 水無月」です。
蒸し暑い日が続く中、夏祭りに出かけるために汗を流しているのでしょうか。母の手を借りながら娘が庭先のたらいで行水をしています。たらいの脇には、手桶と柄杓(ひしゃく)も見えます。

kumonの浮世絵銀のかんざしの瓢箪と馬

娘の洗顔に手を貸している母の銀のかんざしには、瓢箪(ひょうたん)と馬が飾られているようです。

kumonの浮世絵回り灯篭や提灯、ほたる籠

左上のこま絵には、回り灯篭や提灯、ほたる籠が配されていて、回り灯篭には正面上部にお祓いをする神主とちょうちんが描かれ、下部の御輿(みこし)の行列が次々と現われる仕掛けのようです。そして、ほたる籠には二匹の蛍がほんのり輝いています。

この浮世絵は当時の夏の一コマ「行水」を伝える一枚ですが、行水とは縁が薄い物を描き添えるだけで、単なる行水にストーリーを感じさせる浮世絵師の巧みな技もお楽しみください。

関連リンク くもん子ども浮世絵ミュージアム

    この記事を知人に薦める可能性は、
    どれくらいありますか?

    12345678910

    点数

    【任意】

    その点数の理由を教えていただけませんか?


    このアンケートは匿名で行われます。このアンケートにより個人情報を取得することはありません。

    関連記事

    バックナンバー

    © 2001 Kumon Institute of Education Co., Ltd. All Rights Reserved.