江戸時代の「七夕」は、今の暦では8月
![]() 天保14年~弘化3年(1843-1846)頃 |
もうすぐ七夕ですね。
7月7日の七夕は3月3日の桃の節句や5月5日の端午の節句と並ぶ、五節句の一つです。旧暦を用いていた江戸時代の7月7日は、2021年のカレンダーでは8月14日にあたります。令和となった現在、仙台を始め各地で七夕祭りが8月に行われるのは旧暦に倣っているためです。温暖化の影響がないころの旧暦7月(現在の8月)は秋の涼しさすら感じられたことと思います。
七夕といえば、織姫(織女)と彦星(牽牛)が年に一度会うことが出来るストーリーが有名ですが、当時の寺子屋では歌を書いた短冊を笹竹に飾り、書道や裁縫の上達を願う一年の内でも特に大切な行事として行われていました。
さて、今回は、武者絵で知られる歌川国芳が七夕の季節を描いた「五節句 文月」という作品を紹介します。この作品は五節句の揃物の中の一枚で、季節に合わせた美人画仕立てになっており、柳下亭種員の和歌が添えてあります。
物干し台に登った振袖姿の娘が、風に吹かれるままに彦星の現われるのを待つような風情で描かれており、振袖も帯も裾(すそ)も風になびいています。
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振袖は格子と五崩しを巧みに組み合わせた美しい柄で、大胆に唐花を散らした帯とよく似合っていますね。
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七夕笹と短冊 |
背後の庭には七夕笹の先端がのぞいているのが見えます。笹の葉が黒く見えるのは夕暮れのためで、色とりどりの短冊のみが輝いています。間もなく天空の天の川に織姫と彦星が姿を現わすのを心待ちにしているようです。
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