KUMONトピックス
Feature Report - 進化し続ける活動
カテゴリーを表示

KUMONグループの活動  2022/12/27更新

Vol.465

初夢を運ぶ 子ども宝船
 ~くもん子ども浮世絵コレクションより~  

縁起をかついで 幸せを願う
よい初夢は 宝船が運んでくる

いよいよ今年も残すところあとわずか。年末は年賀状の作成から大掃除、新年飾りやおせち料理の準備などで大忙しですね。そして新たな年を迎えた正月は、今も昔も一年の中でも最も大切にされてきた季節。そのため、日本には年末年始に行われる様々な風習が存在します。

そこで今回は、公文教育研究会が所蔵する子ども浮世絵コレクションの中から「しめ縄子供宝船」(三代歌川広重画、明治21年/1906年)を取り上げ、浮世絵を読み解きながら「初夢」にまつわる風習についてご紹介します。

縁起物があふれる、子ども宝船

正月2日の夜に見る夢を「初夢」といいます。初夢はその年の吉凶を占うもの。今も昔も「よい初夢」を見ることができるのかどうかは、人々にとっての一大事です。
そこで昔からよい初夢を見るために行われてきたのが「枕の下に宝船の絵を敷いて寝る」という風習でした。

「宝船うり」の姿(『絵本風俗往来』より)「宝船うり」の姿
(『絵本風俗往来』より)

江戸の庶民の日常生活や風習を記録した史料『江戸府内 絵本風俗往来』には「初夢」という項目があり、2日の昼過ぎから「お宝お宝ェー、宝船宝船」という呼び声を上げて宝船の絵を売り歩く「宝船売り」のことが記されています。
「宝船を売る」ことは「幸福を得(う)る」ことにつながる縁起事。そのため商店の若旦那が宝船の絵を売り歩くこともあったそうです。
どんな時でも洒落っ気と縁起担ぎを忘れない江戸っ子らしいエピソードですね。

それでは今回の浮世絵「しめ縄子供宝船」(三代歌川広重画、明治21年/1906年)を詳しく見ていきましょう。
宝船売りが売り歩いた宝船の絵は、紙に墨一色で摺られた簡素なものだったようですが、こちらは大判3枚続(約38×78センチ)の大画面。明治時代ならではのカラフルな浮世絵です。

初夢を運ぶ 子ども宝船

しめ縄でつくられた宝船に乗るのは、幸せを運ぶ七福神。しかも「子宝」とも呼ばれる子どもたちが扮した七福神となれば、おめでたいこと限りなしです。
子どもたちの手には、羽子板や鯛車、小槌など、子どもの幸せと健康を願うおもちゃがたくさん握られています。そして船の上には、松飾りに赤サンゴ、海老や鶴に鯛車と、縁起物があふれんばかり。
正に縁起物の大展覧会。見ているだけで幸せがやってきそうです。

終わることのない歌に願いをかけて
宝船のおもちゃで遊ぶ子ども「見立 福人子宝冨根(宝船)」(三代歌川豊国、弘化頃)部分宝船のおもちゃで遊ぶ子ども
「見立 福人子宝冨根(宝船)」
(三代歌川豊国、弘化頃)部分

さて、この絵の上部には歌が書かれています。読んでみましょう。

永き日の 春のあそひの みなみたて なみのりふねの 子供よきかな

文字通りに意味をとれば、この絵に描かれたもの(さまざまな見立てが込められた正月遊びと一緒に船に乗っている子どもたち)を表現した歌です。
しかし、この歌には本歌(ほんか/元となった歌)があります。それがこちら。

長き夜の 遠の睡りの 皆目醒め 波乗り船の 音の良きかな

こちらは昔から宝船の絵とセットで親しまれてきた定番の歌なのですが、この歌にはちょっとした秘密が隠されています。秘密を解くカギは「言葉遊び」。
この歌の読みを仮名で書いてみると、その秘密がわかります。

ながきよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな

いかがでしょうか?
正解は「前から読んでも後ろから読んでも同じ」でした。
このような文を回文(かいぶん)といいます。回文は「前からも後ろからも読める=終わりがない、永遠と続く」ということで、やはり縁起物なのでした。

今回は「初夢」にまつわる風習や縁起担ぎについてご紹介しましたが、このように江戸の人たちは縁起を担ぐのが大好きでした。
そんな江戸の人たちの気持ちに、現代の私たちが一番近づくことができるのが年末年始かもしれません。
年越しそばや除夜の鐘、初詣におせち料理、松飾りに鏡餅、お年玉に双六遊びなどなど。
現代の年末年始にも、江戸の人々も願をかけていた縁起物や縁起事がたくさんあります。
みなさんも楽しい縁起物をたくさん準備して、よい新年をお迎えください。

※記事内で掲載している画像は全て公文教育研究会所蔵の史料です。

 

関連リンク
くもん子ども浮世絵ミュージアム
公文教育研究会 子ども文化史料 閲覧データベース(立命館大学アート・リサーチセンター内)
浮世絵に描かれた江戸時代のくらし|KUMON now!
KUMONレポート ~KUMONの子ども文化史料~|KUMON now!
つくってみよう!遊べる浮世絵|KUMON now!

関連記事

KUMONグループの活動  2015/01/06更新

Vol.069 KUMONの子ども文化活動-お正月の子ども浮世絵

子ども浮世絵のなかに描かれたお正月百聞は一見に如かず.江戸時代の羽根つきや双六などの遊び、そして学びの場

KUMONグループの活動  2014/05/27更新

Vol.038 KUMONの子ども文化活動-江戸時代子ども遊び大辞典

浮世絵で ”子どもの遊び文化”を継承する

KUMONグループの活動  2013/10/01更新

Vol.005 くもん子ども浮世絵ミュージアム

浮世絵という貴重な文化史料から子育てや子ども文化をあらためて学ぶ

2015/12/18更新

Vol.027 武蔵大学人文学部教授
小山ブリジット先生

間違いや失敗を恐れずに 好奇心や疑問をもって 心から「好き!」なことを見つけよう

KUMONグループの活動  2016/01/11更新

Vol.128 浮世絵に描かれた元服の儀(成人式)

子が親元を巣立つとき ~金太郎の成人式~

バックナンバー

KUMONグループの活動  2023/01/31更新

Vol.469 地域医療従事者を目指す公文国際学園卒業生

KUMONで学んだことは 長時間机に向かえる力と 自分で計画を立てて取り組む力

KUMONグループの活動  2023/01/24更新

Vol.468 公文書写―「書く」と「描く」

「好き」と思うこと、 自分のペースで楽しむ ~居心地のよい空間~

KUMONグループの活動  2023/01/17更新

Vol.467 Baby Kumon 10年の歩み

~これまで語られることのなかった Baby Kumon担当者たちの想い~

KUMONグループの活動  2023/01/10更新

Vol.466 KUMONの各事業トピックス2022

公文の理念に向かって ~各事業が目指すこと &2022年トピックス~

KUMONグループの活動  2022/12/27更新

Vol.465 初夢を運ぶ 子ども宝船
 ~くもん子ども浮世絵コレクションより~

縁起をかついで 幸せを願う よい初夢は 宝船が運んでくる

KUMONトピックス カテゴリー別インデックス
記事アクセスランキング
おすすめ記事 Recommended Articles
OB・OGインタビュー
Catch the Dream 夢をかなえる力
NEW
Vol.092 後編
丸紅インドネシア代表
笠井 信司さん
経験に無駄は何ひとつとしてなく 将来に必ず生きる “Discipline”を身につけよう
Vol.092 前編
丸紅インドネシア代表
笠井 信司さん
経験に無駄は何ひとつとしてなく 将来に必ず生きる “Discipline”を身につけよう
Vol.091
千房株式会社 代表取締役社長
中井貫ニさん
「全人格格闘技」 目の前のことに全力を尽くして 「ありがとう」の感謝の心で生きていこう
Vol.090
スキージャンパー
渡邉陽さん
「やり抜く力」を身につけて 楽しみながらあきらめずに続けよう
スペシャルインタビュー
Academic Milestones 学びを究める力
NEW
Vol.073 前編
特別対談 棋士 藤井 聡太さん
終わりのない将棋の極みへ 可能性のある限り 一歩ずつ上を目指していきたい
Vol.072
名古屋大学博物館 機能形態学者
藤原 慎一先生
さまざまな知識が ひも付いたときが研究の醍醐味 そのために学びをどんどん拡げよう
Vol.071
メディアと広報研究所 主宰
尾関 謙一郎さん
多角的な見方を磨き、 自分だけの価値を見つけよう
Vol.070
特別対談 未来を生きる子どもたちのために③
学び合いが創り出す KUMONならではのホスピタリティ
KUMON now! フェイスブックページ
KUMON now!に「いいね」して、子育てに役立つ情報を受け取ろう!