基礎的な内容からの学習スタート
清林館高等学校(愛知県津島市)で課外学習として公文式学習がスタートしたのは2012年9月。学校側と公文との度重なる打ち合わせ、公文国際学園(中高一貫校・横浜市)での公文式導入の見学会などを経てのスタートでした。導入当初は数学だけでしたが、現在は英語、国語も加わっています。
対象となったのは、同校進学総合コースの1年生のうち、選抜プログラムクラスの39人。導入目的は、このクラスの生徒たちに「しっかりとした基礎学力と学ぶ姿勢をつけ、将来の可能性をもっと広げてほしい」というものでした。清林館高校の椙村(すぎむら)校長は、当時のことをこう話してくださいます。
「導入に関して事前に説明を受けたり、公文国際学園の見学もして理解はしていたのですが、実際に学力診断テストをしてスタートする教材が決まったとき、大丈夫だろうか…と心配になりました。“らくらくできる出発点”“ちょうどの学習”とはいえ、高校1年生で算数の四則計算から学習を始める子も少なくなく、ちょっとショックを受けました。生徒や保護者に理解してもらえるだろうか……という心配もありましたね」。
数か月もしないうちに目覚ましい学習効果が
しかし、それは杞憂でした。生徒たちにも一時的な戸惑いはあったものの、清林館高校の導入担当の先生方と公文側からの、一人ひとりへの指導計画の説明などもあり、授業終了後の公文式学習は、どの生徒も集中し、とても良い状態でスタートしました。
学習効果は数か月もしないうちに現れてきたといいます。数学の教科担当でもあり導入の担当でもある田中先生から、椙村校長にこんな報告があったのです。「生徒たちからの質問が減りました。以前は、一から十まで教えてほしいという生徒が多かったのですが、公文を始めてからは、わからない問題はまず自分でしっかり考えて、わからないところだけを聞きにくるようになりました」。この報告を受けた椙村校長は「これは生徒たちに自律した学習姿勢が芽生えつつある証」と、導入の効果を実感されたそうです。
そして、自律した学習姿勢は数学以外の授業でも見られるようになったといいます。同じく導入担当の山田先生(理科の教科担当)は、「どの教科でも授業中の集中力がとても高くなり、意欲的だし、ノートもしっかりとる子が増えましたね」と話してくださいます。そして、このことは清林館高校の多くの先生方が感じていることでもあります。
模試で偏差値が大幅アップした生徒も
こうした目に見える生徒の変化・成長は、公文式学習の教材進度にも現れ、この10月末時点では、クラスの半数以上がJ教材(高1相当)以上を学習するまでになりました。「公文の学習で苦手だった数学が“ふつう”になり、テストのときでも解答を見直す余裕ができました」という生徒は何人もいて、なかには数学の模試で高得点をだし、偏差値が50台後半から71へと大幅にアップした生徒も。本人も「あきらめないで、わかるまで粘り強く考えることができるようになり、頭の切り替えも速くなりました」とコメントしています。
「導入をスタートしてから1年と数か月が経ちましたが、順風満帆だったとはいえません。採点のことや不調になった生徒の進度調整などをはじめ、さまざまな問題や課題がでてきて、導入担当の先生方を中心に、公文さんのサポートもいただき、生徒たちの顔を見ながらひとつひとつ解決してきたというのが実情です。けれども、よかったと感じるのは、そういうなかから教員側の変化も見て取れるようになったことです。生徒一人ひとりに、より応じた対応を行うようになりました」と椙村校長。
また、今後のことについてはこう語ってくださいました。
「導入の手応えはしっかり感じていますが、導入を始めたクラスの子たちはまだ高校2年生。進学実績がでるまでにはまだ1年以上あります。そういう意味では、不安半分、期待半分ですが、志望大学や難関大学に入る子は増えると思います。もちろん、難関大学への進学がすべてではありませんが、難関大学へ進むことで、その子の自信や可能性をより大きくすることは間違いないと考えています。そのために、公文式学習が支えになればと思っていますし、なにより、公文公会長が考えた学習を通しての人格形成と、本校のめざす人格形成の考えとがぴったり重なりあうのです。子どもたちには、自分の将来をしっかり見据えながら、成長していってほしいですね」(椙村校長)
関連リンク 清林館高等学校