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Vol.459 2022.10.28

英語で社会の課題解決策を考えよう

地球社会に貢献する有能な人材育てる
Kumon English Immersion Activities

KUMONには、「われわれは 個々の人間に与えられている可能性を発見し その能力を最大限に伸ばすことにより 健全にして有能な人材の育成をはかり 地球社会に貢献する」という企業理念があります。この理念のもと、子どもたちが将来、地球社会に貢献できる人材になってほしいと願い、「社会課題への視野」「恐れずに挑戦する姿勢」「人と人の繋がりを通じた刺激」を獲得することを目的としてKumon English Immersion Activities (KEIA)の活動を展開しています。2001年から始まったKEIAの一つ「English Immersion Camp(EIC)」が、今年から「Global Immersion Camp(GIC)」と名称を改めました。これまでの英語へのチャレンジ、英語をツールとして捉えることに留まらず、さらに視野を広げ、世界について学び、自分自身のことについて一緒に考える機会としてほしい、そんな思いを込めてGICをスタートさせました。目指すことを達成するために、今回は、世界各地で活躍しているJICAから滋賀デスク(滋賀県国際協力推進員)桂武邦さんのご協力のもと、国際社会の「水」事情について考えるプログラムを実施しました。GIC後、ご自身の体験談や感想、また英語を学ぶすべての人にメッセージをいただきました。

目次

桂さんプロフィール
桂岳邦さん

2015 年から 2 年間、青年海外協力隊に参加。エチオピアの首都アディスアベバの公立小学校に理科教師として派遣される。実験器具の不足などの多くの課題に直面しながらも、ペットボトルを使って顕微鏡を作ったり、ストローで静電気実験を行ったりするなど、現地で手に入るものを用いて新しい器具を開発することで、現地教師とともに実験の普及活動を行う。活動終了後は、モロッコに 1 年間滞在し、フランス語を勉強。日本への帰国後、外務省や JICA にて国際協力促進業務に従事。2022 年 11 月からアフリカのガボンへ渡る予定。

エチオピアでの経験が、人の成長に関わり続けたいという想いに
桂岳邦さん

私はもともと大学院に進み天文学を学んでいました。しかし、旅行で訪れた開発途上国の様子を見て、「自分も何か、世界に貢献できることをしてみたい」という想いが強くなりました。未知のことを探るドキドキワクワクが好きで天文学を学んでいましたが、その一方で、学校に行けない多くの子どもにもこのドキドキワクワクを体感してほしいとも考え出していました。
その後、日本で働いているときに、何かできることは無いものかと探していて出会ったものが、青年海外協力隊の募集だったのです。急な人生の路線変更でしたが、青年海外協力隊の理科教育隊員として、エチオピアにわたりました。今振り返れば、方向転換を応援してくれる両親や周りの人たちがいてくれたからこそ、私はその時々の好きなことに没頭できたのだと感じています。

エチオピアでは、実験道具が不足する中、創意工夫をしながら、現地の教師の皆さんと協力して子どもたちへ実験の楽しさを伝える活動をしていました。その中で出会った子どもたちには、とても高いポテンシャルも感じました。設備や環境も十分ではない中でしたが、失敗を恐れずにやってみる頑張り屋さんが多かったです。中でも、人と人の距離が近いエチオピアではコミュニケーション能力が高く、お互いを助け合う気持ちも強くて、日本人である私にもはじめから優しく接してくれました。その中で一度、活動を心配した生徒が慣れない英語で書いた励ましの手紙をくれたことがあり、とても感動しました。そういった交流が深まるにつれ、「未知のことを解き明かすドキドキワクワクを子どもたちに知ってほしい」「伝えたい」という想いが強くなっていきました。

GICに参加して感じた「全員が当事者意識」
桂岳邦さん

今回のプログラムに初めて関わるにあたり、 事前の打ち合わせの時に「 KEIA 活動は、“英語はコミュニケーションツールのひとつである”“間違いを恐れず使ってみることで自信がつく”ということを、子どもたちに実感してもらうことが目的であり、世界中の国々や地域から参加してくれるリーダーたちと接する中で視野を広げ、多様性を感じてほしいとの願いが込められている」という説明を聞いて、私の経験とも重なる部分があり、共感できました。

ただ、対象は小学生ということもあり、日本語でも難しいのに本当に小学生が自分の思いを英語でみんなに伝えることができるのだろうかと心配していました。しかし、プログラムが始まってみれば、どの子どもたちも自分の気持ちをしっかりと英語で伝えている様子を見て、たくましくもあり、頼もしく感じました。リーダーが子どもたちに寄り添い、対応に心を砕いていたことも良かったと思います。
オンラインでもしっかりと信頼関係を築き、何の違和感を抱くこともなく普通に英語で話している子どもたちの姿がありました。子どもたちが話すことを急かしたり、途中でさえぎったりせず、優しく待つリーダーの姿に、子どもたちもプレッシャーを感じることなく、自信を持って発表できることに繋がったのではないでしょうか。 さらに驚いたのは、1人の子ばかりが発言をしているということはあまりなく、みんなそれぞれが発言していたことです。大人でもオンライン会議で発言するタイミングって難しいですよね。全員がプログラムに自分の考えを持って臨み、当事者としての意識で堂々と発言していたことは、本当に素晴らしいことだと思いました。

※2022GICはオンラインにて8/7-8/11に実施されました。GICレポートはこちらのURLからご覧ください。
https://kumon-eia.com/report/others/gic2022-report/

これからの日本の子どもたちにとって必要な力と英語の大切さ

エチオピアの経験でものすごく実感したことは、「相手を分かろうとする力」がとても大事だということです。全く文化の違うエチオピアでの交流で、お互いに分かり合うためにはどうしたらいいのかということに最も多くの時間を費やしました。

ただし、これは海外だけでなく日本の場合も同様に大事だと思います。例えば、「なんだか隣の人が悲しそうだな」と思う。それが仲の良い友だちでも、何を考えているのかは正直分からない方が多いと思います。そこで、「他人だから」とやり過ごすのではなく、まずは声をかけてみる。解決できるかはわからないけれど相手のことを分かろうとする気持ちが大切。分かりあうためには話しかけないと何も始まらないし、相手の気持ちを知ることもできない。エチオピアやモロッコなどのアフリカに行ってみて、「分からない…」と恐怖に感じるのではなく、どんどん話しかけ、新しい考えを吸収していくことで、世界が広がり、おもしろくなることに気づきました。国内外に関わらず、いろんなことに挑戦して、いろんな経験をしてください。分からない不安をどんどん分かる喜びに変えていって欲しいなと思います。

次に「頼る力」です。解決したいのだけれど、自分の持っているスキルや情報だけでは足りない時、誰かからヒントやアイデアをもらったり、実際に力を借りたりするということです。一人では難しいかもしれないけど、一緒にやってほしいことを誰かにお願いする力=頼る力が、すごく大切だと思います。今はネット検索などをすればある程度の答えは出てくるので、自分でやろうと思えばなんとなく出来てしまうこともあるでしょう。ただ、自分の中だけで完結できる小さな問題ばかりではなく、現実の世界で起きている多くの問題は1人で解決することができません。その時に「一緒にやろう」とか、「ちょっとこれお願い」とか、そういう頼り方ができる力は本当に必要だなと思いました。

私はエチオピアで、周りの人にものすごく助けられましたし、迷惑ではないかしらと思いながらお願いしたら、相手も喜んで応えてくれるので、お願いして良かったなと思う時が何度もありました。それまでは私自身もなかなか他人に頼ることができず、自分でやる方が楽だと思っていました。しかし、何かお願いをしたり、頼ってみたりすると、自分だけでやるよりも最後は必ず良い結果になり、問題も実は結構簡単に解決することに気が付けました。また、英語が話せると、世界の人と話せるようになり、学ぶ機会がどんどん増えます。自分が知らないことを知るチャンスが多ければ多いほど、視野が広がり、仕事の可能性が広がることにも繋がります。例えば、職業は学校の先生で、普段あまり英語を必要としなかったとしても、英語を話せると、町で出会った外国人の人たちや留学生の方々ともコミュニケーションを取ることができますよね。そうしたコミュニケーションから、新しい学びや授業へのヒントにつながることも多くあるのではないでしょうか。

英語とは異なる言語を学びたいと思ったときにも、英語はとても役立ちます。エチオピアではアムハラ語という言葉が話されています。青年海外協力隊として派遣される前、まずは英語を学び、そしてエチオピアに派遣後、英語を使ってアムハラ語を学びました。日本語がペラペラに話せるエチオピア人はとても珍しいですが、英語を話せるエチオピア人はたくさんおられました。このように英語は、違う言語を話す人同士を繋ぐためにも、重要かつ効果的なツールであると言えると思います。

英語を学ぶ子どもたちにメッセージ
桂岳邦さん

失敗してもいいので、どんどん英語を使ってほしいなと思います。「英語は手段であって目的でない」ってよく聞くと思うのですが、本当にその通りで、誰かとコミュニケーションをとるために話す。その話す言葉が英語であって、それが完璧な英語じゃなくても構いません。

エチオピアでもう一つ、印象的な子どもたちとの経験があります。とある学校へ行ったときに、私の前に可愛らしい女の子が駆け寄ってきました。彼女はにこやかに「ティーチャー!マイネーム!」と声をかけてくれたのです。私はてっきり自己紹介してくれると思って、うんうんと頷いて話してくれるのを待っていました。でも、「マイネーム!マイネーム!ティーチャー!マイネーム!」と繰り返して私の顔を指さしてくれます。そこで気づいたんです。「あ!僕の名前を教えてくれと言っているのか」と。そうして、改めて自分の名前を彼女に紹介して、挨拶をかわしました。満足げな笑顔で頷いてくれました。

ここからわかったことは、「相手とコミュニケーションをとりたい。話したい」という気持ちがあれば、間違った言い方だとしても伝わるものだということです。少しずつ伝わって、コミュニケーションが深まれば、正しい英語もだんだん使えるようになるものです。だからこそ、間違えることをためらわず、どんどん英語を使って、知らない人や世界中の人とコミュニケーションをとってみてください。それがどんどんどんどん世界を知るきっかけに繋がります。英語を使って色々な物事の理解を深めてほしいと思います。私は、次の目標として、フランス語をしっかりと話せるようになりたいなと思っています。

関連リンク KUMON English Immersion Activities 独立行政法人国際協力機構(JICA)

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