人々の暮らしをうつし出す「ままごと」
子どものころ「ままごと」をやって遊んだという方は多いのではないでしょうか?「ままごと」は言うまでもなく台所道具や草花を使って炊事のまねをする遊びです。お母さん役やお父さん役、子ども役…普段から見ている家族の姿を子どもたちが自分なりに表現するのが楽しい遊びですね。
この遊びは思いのほか、古くから行われていたようで、江戸時代には紙、土、木などでさまざまな台所道具が作られていました。明治になると、ブリキなどの金属や陶磁器も加わり、ままごとセットが売り出されていたといいます。今では素材も変化し、実際に使える台所道具もリアルで、最新家電も再現されているものもあるようです。
梅雨時でもありますし、お家でお子さんと「ままごと」遊びをしてみると、お子さんの将来像が垣間見えるかもしれませんよ。
また、リモートワークなどお家でお仕事の方も多い昨今、以前よりも家事に取り組む機会が増えている方も多いのではないでしょうか。料理や洗濯、掃除…新たにチャレンジすることで見えてくるものもあるかもしれません。きっとわが家の新しい生活様式が生まれますよ。
さて、今回はそんな「ままごと」の様子が描かれた浮世絵をご紹介します。浮世絵師 宮川春汀の「小供風俗 ままごと」に残された明治時代の家庭の「ままごと」の様子をぜひご覧ください。
『小供風俗 ままごと』 宮川春汀 明治29(1896)年ここではお母さん役の子が玩具のまな板で野菜代わりの草をきざみ、そばにはかわいいかまどや七輪、急須などが置いてあります。立っている子は、膳にご馳走をのせて運んでいます。室内でままごとをしていますが、庭の柳の下には、梅雨時が似合う紫陽花(アジサイ)が満開で、その周りには黒アゲハも舞っています。
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