華やかな展覧会の裏で
マルチタスクが求められる学芸員の日常

京都市内の美術館で学芸員として働き始めて、もうすぐ1年が経とうとしています。昨年までは、学芸員補助として勤務しつつ、大学院で学んでいました。私が担当しているのは近代日本画。美術館が所蔵する作品の美しさや素晴らしさを、いかにしてより多くの人たちに伝え、そして未来へと伝えていくかを模索すること。それが私のミッションです。
学芸員と聞くと、展覧会の企画運営や展示室でのギャラリートーク(作品解説)といった、華やかな仕事をイメージされるかもしれません。しかし実際は裏方の仕事がメイン。ベースにあるのは、地道な「調査研究」です。
例えば、ある作品の制作年がわからないとき、私たち学芸員は当時の美術雑誌や新聞記事を確認し、画家の手記などあらゆる資料を血眼になって調べます。そして、「この日の新聞に図版が載っているということは、この時期の作品だ!」とパズルのピースを埋めていきながら、作品にまつわる情報をどんどん深掘りしていくんです。
学芸員は「研究者」でありながら「事務方」でもあり、「広報担当者」でもあります。作品の点検から修復作業の依頼、京都市に提出する書類の作成まで、マルチタスクをこなす毎日です。この1年はそれらを切り替えて進めていくことに、正直苦戦しました。同時に頭の中の最前線には、来月始まる企画展のこと、半年後の常設展のこと、来年度の予算計画のことなどが、常にズラリと並んでいます。
それでも「美術品に触れない人生なんて無理だ」と思えるほど作品に心を奪われてきた私にとって、学芸員という仕事は、間近で作品と向き合えるかけがえのない仕事です。大学院時代、美術館でのアルバイトや、美術品の修復現場をお手伝いしてもらった時、いつもは鑑賞者からガラスケースで隔たれている作品を間近で見て、触れる経験をしました。その瞬間、本物の作品が放つエネルギーに圧倒され、虜になってしまって。それまでは考えたこともなかった、学芸員の道を志すことにしたんです。
ただ、ほかの学芸員を目指す人たちの多くは、学部生の間に資格を取っている状況。かなり遅れをとったスタートだったので、修士課程の授業を履修しつつ、学芸員資格の取得にも励むという大忙しの日々でした。それでも諦めずに挑戦して夢を叶えられたこと、そして今の仕事に食らいついていけるのは、幼い頃に公文式で身につけた3つの力のおかげだと思っています。
悔し涙でシワシワになったプリントが、
「諦めない心」を育ててくれた

私が公文式教室に通い始めたと記憶しているのは、年長の頃。実は父方の祖母がくもんの先生をしていたので、物心つく前から家には公文式教材が溢れていて、遊びの延長で「線つなぎ」のプリント(編注:運筆教材のこと)をしていたみたいです。なので、公文式を始めた時期は正確にはわかりません。
遊びと勉強の境目がないまま、気づけばプリントを解くのが当たり前の生活でした。そんな私に、ひとつの壁がやってきました。算数で「5桁÷3桁」のような複雑な計算が出てきた時のことです。それまでスラスラ解けていたのに、1枚やり切って間違いを直すのに20分も30分もかかるようになってしまって。何度やっても100点にならない。悔しかったですね。
妹には今でも「あの頃のお姉ちゃんは、プリントを一度クシャクシャに丸めて、ふて寝して、また自分でそれを一生懸命伸ばして、泣きながら解き直してたよね」と笑われます。そんな負けず嫌いな性格こそが私の原点なのだと思います。
公文式のいいところは、どんなに時間がかかっても自分の力で解き切るまで待ってくれるため、「粘り強さ」が身につくこと。これがKUMONで身につけたひとつ目の力です。どんなに苦労をした教材でも、一度理解できると、次は嘘みたいにスルッと解けるようになりました。
そして何回も何回も繰り返すことで力が定着することを経験したおかげで、何事に対しても「今はわからなくても、諦めずに向き合えば、必ず答えにたどり着ける」と思えるようになりました。数万字の論文や過去の資料を少しずつ読み解いていく、そんな研究姿勢は、あの悔し涙の延長線上にあるのかもしれません。
「5枚なら20分」と見通しを立てる
客観的な自己分析力

公文式で身につけた力のふたつ目は「集中力」です。KUMONの宿題は毎回5枚程度だったのですが、その5枚を一日のどのタイミングで解くのがいいのか、いつも自分なりに考えていました。「この単元なら20分以内に終わるかな」とか「国語は得意だから、10分で終わらせられる」と、まずは見通しを立てる。それから、夏休みのラジオ体操に行く前や、放課後に友だちが遊びに来るまでなど、少し空いた時間に終わらせちゃおう! と取り組むんです。そうすることで、短時間で一気に集中する力が自然に身についたと思います。
一方で、「私は長時間ずっと集中し続けられるタイプではない」ということも、子どもながらに理解していました。「自分の集中力が30分で切れるなら、一度散歩をしてリセットすればいい。それが私のベストな方法なのだ」と、自分なりのやり方をつかんでいたのです。公文の宿題を通して自分自身を分析できていたからこそ、高校時代も塾に行かず、独学で自分のペースを守り抜くことができたのだと思っています。
そして3つ目は「要約力」です。「国語で大切なのは、要約力なんだよ」というのは、中学3年生のときに祖母から聞いた言葉です。どれだけ長い文章でも、筆者が何を伝えたいのか、その根拠は何なのかを端的につかむことができる力が要約力であり、国語力。そして、それを鍛えてくれるのが公文式のプリントなんだと。私が国語のプリントを解く様子を眺めながら、祖母が「里和は要約力がついているね」と褒めてくれたことがうれしかったですね。

今ふり返ると、公文式で身につけた「粘り強さ」「集中力」「要約力」は、知らず知らずのうちに、物事の本質を素早くとらえる力になっていたのかもしれません。
そんな私が、人生で初めて「全く予測できない世界」に飛び込んだのが、小学6年生の夏でした。放任主義の両親から珍しく強く勧められた、KUMONの英語キャンプ「EIC(=English Immersion Camp)」。一週間のEICでの体験によって、まだまだ狭かった私の視野が、一気に世界に開かれることとなります。
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後編のインタビューから -なんとなく英語に取り組んでいた私が飛び込んだ「多彩な音と色の海」 後編へ続く(近日公開) |









