「はつらつ広場」の誕生
2010年 福崎町の行政主催で脳の健康教室開講。
2015年4月 教室サポーターが自主グループ「チームはつらつ」を結成、福崎町文化センターで運営継続。
■受講者29名、サポーター13名(2025年12月現在)
■会費3,800円/月
現在は自治体が運営する保健センターでの「はつらつ大学」で半年受講後、「はつらつ広場」へ移行する流れができている。
兵庫県福崎町の脳の健康教室「はつらつ広場」は、2010年 に福崎町主催による脳の健康教室「はつらつ大学 脳楽部」として開講しました。良好な運営が続いていましたが、2014年に教室の終了が決定。そこで、教室サポーター※が教室継続に向けて動き、町民主催の「はつらつ広場」が誕生しました。
※教室の受講者が楽しく学び続けられるようにサポートするボランティア。
「町の事業がなくなることで、教室の継続が難しくなりました。しかし、受講者さんたちの『教室を続けたい』という声に背中を押され、継続の道を模索しました。地域に必要な活動であり、このままなくしてはならない、という強い思いから、教室を立ち上げることができました」(創設者の長谷川さん)
「はつらつ広場」には、それまで「はつらつ大学 脳楽部」に通っていたほぼ全員が継続して参加し、2015年、受講者35名(うち介護認定者5名)、サポーター14名でスタートしました。より皆が関われる体制を整える中で、2020年には代表が長谷川さんから林さんに交代しました。現在、長谷川さんは学習前のレクリエーションを担当しています。
毎週水曜日に行われる「はつらつ広場」は、朝10時から始まります。最初は長谷川さんによるお話、歌、オリジナル体操などの全体レクリエーションを行います。楽しく興味深いお話を聞き、歌い、体を動かし、場が温まったところで、受講者2名とサポーター1名が一組になり、教材の学習(読み書き、計算、すうじ盤)とコミュニケーションを行います。
「お話では、体によい話や生活に役立つ話、今日は何の日?といった楽しくためになるお話をします。次は何を話そうかといつも考えていて、先日は新聞で、少年院で公文式学習が導入されたという記事を見つけたので、切り抜いておき、話題にしました」(長谷川さん)
自主グループ運営を長年継続できた秘訣
と代表の林さん(右)
受講者は現在30名近く。ほとんどの人が長年継続しており、開講当初から10年以上継続している人も少なくないそうです。また終了後にはランチに行くなど楽しいコミュニティも生まれています。
「けがや大病をされても、よほどのことがない限り、皆さん復帰されています。けがで左手しか使えない状況でも、漢字は書けないけど数字は書ける、とか、できることをすればいい、という考え方で、皆さん前向きです。学習済みのプリントを工夫して、更に楽しんでいる人もいます。計算の答え同士をさらに足しあわせてみたり、挿絵に色を塗ってみたり…。毎日の学習がリズムになっているため、年末年始や夏休みで宿題がないときは落ち着かないという声もあります」(代表の林さん)
サポーターもやりがいをもって長く継続している人が多く、自治体が主催する認知症サポーター研修などで学んだ人の活躍の場にもなっているそうです。
「学習後のサポーターの振り返り会では、それぞれ担当の受講者さんの様子を発表しあい、情報共有を行うとともに、対応方法の検討などもしています。その人らしさを大切にし、その場にいる誰もが笑顔で過ごせることを心がけています」(林さん)
「うまく行っていると思う点はチームワークです。経理やレクリエーションなどの役割を分担し、責任感をもって皆が関わるようにしています。運営費には受講者さんからの会費のほか、町からの補助やボランティア助成金を充てています。また年1回、地域のバザーに出店もしていて、その売り上げは年2回の交流会の一部にするなど、受講者さんたちにも還元しているんですよ」(長谷川さん)
「今後の目標は、今の良好な状態で教室を継続していくことです。そのためには、新しいサポーターの確保や、受講者さんが自力で来られなくなった場合の交通手段の確保を考える必要があります。これらの課題を解決し、持続的に運営できればと思っています」(林さん)
町主催の「はつらつ大学」は、地域のニーズを踏まえ、現在は半年間の受け入れを条件に、再び開講されているとのことです。「はつらつ広場」は「はつらつ大学」の継続希望者の受け皿としても機能しています。
受講者インタビュー①:
人生で今が一番楽しい
■受講者 井口幸子さん(94歳)
自分で動ける限り通いたいと話します
「はつらつ広場」には5年ぐらい通っています。当時通っていたお稽古がなくなってしまい、手が空いたので、友だちにどこかよいところがないか聞いたところ、ここがいいんじゃないかと教えてもらいました。最初は教材の内容が小学1年生ぐらいのレベルだったので拍子抜けしましたが、友だちに聞いたら「易しいことをするのが大事なんや」と言われました。
骨折するたびにだんだん調子が悪くなって、耳も聞こえにくくなりました。何回もやめようかと思ったけれど、そのたびに長谷川さんたちから「やめたらいかん」と言われて、続けてきました。今ではやめろと言われてもやめたくありません。
ここでは、時候のこと、普段の生活のこと、スポーツの話などいろいろ話してくれますし、体操も歌も脳トレもいろいろするので、楽しいです。お友だちの顔を見るとうれしいし、人生の中で、今が一番楽しい。
読みの教材では、童謡や童話などいろいろ出てきますでしょ。お話に出てくる人たちはどんな生活をしていたんやろか、とか、作者はどんなことを思って書いたんやろか、などと想像して、もっとほかの本も読んでみたいと思うようになりました。夜寝られない時にお話が頭に浮かんでくることもあります。
宿題は毎日必ずしています。やらないと落ち着かないし、その日が終わらない感じがします。教室は全部気に入っています。サポーターの方も受講者もみんないい人。にぎやかでにこやかで、ものすごく元気をもらっています。みんな一生懸命なさるでしょ。純真な気持ちになります。
皆さんに助けてもらってばかりですけれど、これからも感謝の気持ちで過ごしたいと思います。
受講者インタビュー②:
少し真面目になり、運転免許も更新できた
■受講者 中井初美さん(83歳)
きっかけは、家でテレビを見たり、寝たりしていたら、女房に「ごろごろしていたらあかんで」と言われたことです。保健センターに相談しに行ったら、「『はつらつ大学』という脳トレの教室をやっていますから来てください」と言われて、2025年3月に初めて脳の健康教室に参加しました。半年間の受講が終わって、9月からここの「はつらつ広場」に来ています。
1週間に1回通うということで、早起きをするようになり、少し真面目になったというか、規則正しい生活をするようになりました。おかげで無事に、車の運転免許の更新もできました。宿題は毎日朝、だいたい決まった時間にしていますが、たまに2日分を一度にまとめてすることもあります。
ここは10時に始まって、時間通り終わるので、そこが気に入っています。カラオケとか、最近は休んでいますがグラウンドゴルフとか、教室の後にもいろいろ予定が入っているので。
1年頑張ってきたので、もう1年頑張って来ようと思います。私は午(うま)年で、今年(2026年)は年男なので、「うま」く通えるように。
受講者インタビュー③:
毎日コツコツ続けることが大事
■受講者 藤後富子さん(83歳)
「継続は力なり」を実感していると話します
14、5年ほど前になるでしょうか、老人会の会長さんから「脳トレでこんなのがあるけど」と紹介されて、「はつらつ広場」に入りました。すぐに、入ってよかったと思いました。勉強だけでなく体操やいろいろなプログラムがあって、すごいなと思いました。ニュースなど、大事と思う内容はメモに取っています。
長く続けられたのはサポーターの方々が明るくて丁寧で、話が上手で楽しいから。仕事をやめて、何かしないと、と思って来てみましたが、本当によかった。
宿題も毎日すると頭がしゃんとします。用事がある日も、出かける前にするようにしています。教材に出てくる『羅生門』や『坊ちゃん』などの本を図書館で借りることもありますよ。
年とともに物忘れはありますけれど、東北大学の川島隆太先生も言われているように、やはり毎日脳トレしていると、頭が潤って効果がある気がします。復活能力が高まるというか、物忘れの進行が遅くなるというか。
1分台で100個のコマを並べる
ときどき2~3年で「面白くない」と言ってやめる人がいますが、それはいけないな、と思います。よさが分かっていないから。「継続は力なり」で、続けていれば身につくものがあります。やはり続けることが大事です。
今後の目標は、毎日コツコツと勉強するのが一番だと思っています。脳トレが生活の一部になっているので、自動車に乗れる限りは毎回来ようと思います。皆さん知っている人ばかりなので、楽しくお話しするのも心や頭の活性化になりますしね。
中井さんが教室に来て、元同級生だったことがわかりました。数十年経ってこんな再会もあるんですね。
KUMON学習療法センターエリア担当からのメッセージ
福崎町は妖怪の町ということで、文化センターの入り口にある妖怪の置物と一緒に
「はつらつ広場」は、その名のとおり「はつらつ」とした笑顔あふれる教室です。受講者の皆さんが「人生で一番楽しい時間です」「この日が待ち遠しい」「やりたいことが復活しました」「目標ができました」「毎日が楽しい」と言われるように、教室は意欲や歓喜に満ちた空気に包まれています。
10年以上継続されている受講者も多いこの教室は、サポーターと受講者の皆さんが、まるで大家族のように温かくにぎやかに集う場となっています。
毎年、高校生がインターンシップ、中学生が体験活動(トライやる・ウィーク※)、大学生が社会福祉士の実習で教室に来られますが、若者とシニアの楽しい会話も弾みます。まさに目指すべき共生社会の縮図がここにあります。地域住民の幸せのために、日々やりがいをもって尽力されるサポーターの皆さんには頭が下がります。
※中学生2年生を対象に毎年実施される兵庫県独自の取り組み。
「はつらつ広場」では、新人サポーター・受講者を募集中です。これからのさらなる活躍に、ぜひご期待ください!
<脳の健康教室とは>
読み書き・計算・磁石すうじ盤※とコミュニケーションを基本に、体操やゲーム、講話などを組み合わせた、認知症予防を目的とする教室。週1回通室し、それ以外の日は、各自自宅で宿題をします。
※磁石すうじ盤…数字が書いてある盤に、同じ数字が書いてある磁石のコマを置いていくもの。
受講者の脳の健康づくりや認知症予防を図るとともに、受講者同士や教室サポーターの方々が仲間になり、通いの場づくりや担い手づくり、地域のコミュニティづくりへの貢献を目指しています。
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