EICキャンプリーダーを通したKUMONとの「出会い」
── ウズベキスタン人であるショーンさんの、日本との接点から教えてください。
私が日本に興味をもったきっかけは、高校生の時に観た映画『ラスト サムライ』(原題:The Last Samurai)でした。学校で英語を学んでいた頃、週に1本映画を観るという時間があり、その中でトム・クルーズさんと渡辺謙さんが出演するこの作品に出合いました。
サムライ、桜、侘び寂び……。映画の中の日本に強く惹かれ、「いつかこの国を自分の目で見てみたい」と思ったのが始まりです。
私はウズベキスタン東部のアンディジャンという町で育ちました。英語の塾に通い、TOEFLを受けてアメリカやヨーロッパの大学への進学を考えていたのですが、ある時、先輩が「今度、日本のAPUに行く」と話すのを聞いて、私も調べてみると、それは立命館アジア太平洋大学(以下、APU)のことでした。
この大学は英語だけでも学べること、そして日本語が話せなくても問題ないことが魅力でした。日本の大学は想定外でしたが、思い切って出願し、入学できることになりました。
来日してまず驚いたのは、日本が想像以上に現代的だったことです。サムライが街を歩いているわけではなかった(笑)! 当時、ウズベキスタンにはインターネットがほとんど普及しておらず、日本についての情報も限られていました。
── APUでの留学生活で、KUMONと出会ったそうですね。
APUでは本当に多様なバックグラウンドの学生たちと出会いました。アフリカの国が50以上あることは、APUで出会ったアフリカのマラウイやケニア・タンザニアの友人たちを通じて知りました。また、国や文化によって、時間の感覚や価値観がこんなに違うのかと実感したことも、私にとっては大きな学びでした。
そしてEIC(English Immersion Camp)との出会いが、KUMONとの関わりの始まりです。子どもたちと2週間、英語だけで過ごすこのキャンプでは、世界中から集まったキャンプリーダーたちと協働しながら、教育の現場を肌で感じることができました。
そして、研修で訪れた公文式教室では、自ら進んで学ぶ子どもたちの姿に衝撃を受けたことを、今でも覚えています。まだ会話もおぼつかないような幼い子どもたちが、黙々と、自分のペースで学習を進めている。外国人の私たちが話していても集中を切らさない。この環境こそがウズベキスタンに必要なのではないかと感じた瞬間でした。
KUMON創立50周年記念式典で知った公文式のすごさ
── 大学を卒業されて、日本のメーカーに就職されたと伺っています。
私は大学卒業後に、日系の農業機械メーカーに就職しました。仕事では物流、経営戦略、マーケティング、新規事業、人事、海外営業など幅広い部署を経験させてもらい、日本の企業文化にも多くを学びました。ただ、留学生のときに見た公文式教室の光景と、「母国の教育現場に関わりたい」という想いが、ずっと心の底にありました。
この秋からは独立して、コンサルタント会社をつくり、日本とウズベキスタンの架け橋になりたいと思っています。
── 公文式への想いがずっと続いていたのですね。
EIC(English Immersion Camp)でキャンプリーダーをしていた時、KUMONの大阪本社を訪れました。公文公さんという一人の父親の想いから始まった取り組みが、企業となり、世界中に広がっていることのすごさは、驚きとともにずっと私の中にありました。
農業機械メーカーで新規事業を担当していた時、“ペイン”と“ゲイン”というアプローチを知りました。痛み(解決したい課題)があったからこそ、得たい未来の状態につながる。例えば、農家さんが水不足で困っていたところに、水を運びやすくするためにはどうすればよいか、というところから事業を考え、その地域を農業がしやすい地域へと変えるべく貢献していく。KUMONも、わが子を心配した一人の父親の想いから始まっています。
2008年には、東京ドームで開催されたKUMON創立50周年記念式典に参加しました。その時は世界中の国や地域から、公文式指導者が集まっていました。そこでも驚いたのは、英語が母国語である人たちも、公文式で算数・数学だけでなく、母国語としての英語を学べることでした。こんなに素晴らしいものはウズベキスタンにも広めたいなと思いました。
私がウズベキスタンで通っていた学校のクラス20人のうち、日本に留学したのは自分だけです。留学できたのは恵まれていたからで、自分には母国のために何か貢献するべき役目があるのではと思います。日本に来て、何かよいものをウズベキスタンにもち帰り、母国に貢献したい。それは日本の企業のためにもなるし、母国のためにもなる、そして地球社会がよくなります。
グローバリゼーションの中で、今から何千時間もかけて研究して新たな開発をしなくても、今あるもので結果を出しているものを横展開してうまく活用し、貢献したい。まさに今、教育のところに力を入れたいと思ったときにはKUMONだと思います。
ウズベキスタンで「学びの自立」を支えたい
── ショーンさんのこれからの展望についてきかせてください。
私が目指しているのは、「学びの自立」を支える社会づくりです。ウズベキスタンでは、「子どもが自分で学ぶ」という文化がまだ根付いていません。親が指示しなければ子どもは勉強しないという考え方が主流です。しかし、保護者向けの調査では、「子どもに自分で勉強するようになってほしい」という声が圧倒的に多く寄せられました。
だからこそ、公文式がもつ「自学自習」の理念は大きな可能性をもっています。これは単に勉強ができるようになるということではありません。子ども自身が「できた」「進んだ」という達成感を得ることで、自信と自己肯定感を育む教育なのです。
私は「ソーシャルビジネス」として教育を広げていきたいと思っています。教育は利益だけでなく、社会の変化に貢献できるビジネスだと思います。持続可能で、自走できる教育モデルをウズベキスタンに根付かせることが、私の使命だと感じています。
── 子どもたちへ、メッセージをお願いします。
世界中の子どもたちに伝えたいのは、「間違えることを恐れないでほしい」ということです。公文式学習では簡単な問題から始め、少しずつステップアップしていく。その中で、気づかないうちに「できた」という感覚を積み重ねていきます。公文式学習で「自学自習」の姿勢や「集中力」が身につき、「時間管理」ができるようになります。
これは人生にも通じる学びだと思います。誰もが最初は初心者。でも、少しずつ、確実に進んでいくことができる。その道を信じて、一歩ずつ歩んでほしい。
私のように、かつてキャンプリーダーを経験し、KUMONのファンになったAPUのアルムナイ(Alumni/同窓生)とももっとつながりたいですね。
〝Keep Challenging Yourself!″
私自身も、まだ道の途中です。けれど、子どもたちに「学びの自由」と「未来を選ぶ力」を届けられるよう、挑戦していきたいと思います。
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