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Vol.115 2025.12.12

プロバレーボールプレーヤー
石川 祐希さん

<後編>

学びとは成長のための呼吸のようなもの
学び続けるからこそ大きく成長できる

プロバレーボールプレーヤー

石川 祐希 (いしかわ ゆうき)

1995年生まれ、愛知県出身。愛知・星城高校ではエースとして高校総体、国体、全日本高校選手権の高校6冠を達成。中央大学に進学し、在学中からイタリア・セリエAでプレーする。現在は同リーグのペルージャに所属。攻守のバランスに優れ、日本代表ではキャプテンとして世界を舞台に戦う。海外での経験を通じて「学び続ける力」を磨き、次世代へその姿勢を伝えている。

公文式で学校の勉強より先に進めたことが、学校・部活・公文式教室という忙しい生活を可能にしてくれたと石川祐希さんは言います。自分のペースで積み重ね、考え、反復する。その小さな前進を積み重ねる力が、練習や試合、そしてリーダーとしてのふるまいの支えとなっています。公文式で培った学習習慣は、イタリアでの挑戦にも生かされたと言います。バレーボールで世界を舞台に戦う石川祐希さんに、基礎と継続、そして学びを楽しむ力について語っていただきました。

目次

    イタリアでの挑戦、そして言葉を学ぶ日々

    大学1年生の時、イタリア語がまったくわからない状態でイタリアに渡りました。当時は「やってみたい」という好奇心だけで行きました。言葉や食事、生活への不安はほとんど考えていませんでした。

    石川 祐希

    実際に行ってみると、言葉が通じないことの大変さを痛感しました。海外に出るとは正直思っていなかったので、高校時代も英語の勉強にあまり力を入れていませんでした。公文式でも英語は少ししかやっていなかったので、もっとやっておけばよかったと思いました。語学の重要性を海外に出て改めて感じましたね。

    イタリアでは、文法の本を1、2冊買って勉強を始めました。ノートやメモ帳に書きながら勉強したり、単語を紙に書いて家の壁に貼ったりしました。数字や動詞、形容詞、動詞の活用も壁一面に貼り、辞書でわからない単語を調べるなど、自分なりに工夫して学びました。

    石川 祐希

    イタリアではチームの半分以上が外国人選手ということもあります。チームメイトとのやりとりは基本的にはイタリア語ですが、イタリア語がわからない選手もいるので、そういうときは英語になります。基本的に英語が使えればなんとかなるなと感じています。妹には「海外に行くなら英語は勉強しておいた方がいいよ」とアドバイスをしました。

    日本からイタリアに単身で渡り、違う文化に溶け込むために意識していることは、コミュニケーションを積極的に取ることです。特に、自分の思っていることを相手に伝えるということはとても大事だと思います。

    日本だと察するというか、こういう話をしたら普通こう思うだろうというのがあると思いますが、海外ではダイレクトに言わないと伝わらないところがあります。いやなことも含めて、しっかりと自分の気持ちを伝えて、相手から言われたことも受け入れる。お互いが自己主張をし合うことが、信頼関係を築く上で大事なことです。

    キャプテンとして学び続けるリーダーへ

    クラブには、多様な出自の選手が集まります。育った環境がまったく異なる仲間と過ごすと、当たり前だと思っていた価値観が揺らぎます。

    石川 祐希

    いろいろな国の選手がいて、文化も違えば、生活リズムも違います。ほかの国で育った選手の話を聞くと、自分の育った環境との違いに驚かされます。たとえば、キューバ出身のチームメイトが幼少期の話をしてくれた夜、自分の恵まれた環境を強く意識しました。食文化、宗教、生活のリズム、家族観などすべてが違う。だからこそ、相手の立場を想像し、互いのやり方を尊重する姿勢が欠かせません。いろいろなことを知って視野が広がり、国際的な学びがあります。競技者としてだけではなく、一人の人間として成長できるなと感じます。

    中学でも高校でもキャプテンを務めていましたが、今大事にしていることは、「チームはキャプテンのようなチームになる」ということです。キャプテンは一番見られていて、チームメイトやスタッフが無意識に自分の言動・行動を気にしているところはあります。僕の言葉や行動が間違いなくチームに影響を与えると思っているので、言動には責任をもち、キャプテンを務めています。

    小・中学生の頃はそんなことは全く考えていませんでした。スポーツや勉強がある程度できていたので、学級委員やキャプテンなどに推薦されることもありましたが、目立つことがあまり好きではなくて、当時はやりたくないと断っていました。今では、そうした役割に、責任をもってできることの価値を非常に感じるので積極的になれていますが、人は大きく変わっていくものなんだなと感じています。

    石川 祐希

    結果が出ない日ほど、基本に立ち返ります。急がば回れで、地味な反復ほど、後で効いてきます。若手には「ミスの直後の一歩を一緒に見つけよう」と声をかけ、具体的に何が起き、次に何を試すのかを、一緒に言葉にして共有する時間を大切にしています。言葉の解像度が高まれば、迷いは減り、次の一歩が軽くなるからです。

    勝っているときほど気を引き締め、日常の小さな規律を点検します。挨拶、時間、整理整頓といった地味な作業が、チームの足腰を強くします。僕はその反復を「見えない土台」と呼び、毎日磨き続けています。キャプテンとは、結果の前にある姿勢を示す役割だと今は思います。

    基礎基本、継続が大事
    学び続けるからこそ大きく成長できる

    任されると、考える。考えるから、行動が変わる。その循環の起点は、公文式で身につけた“自分で答えを見つける”ことでした。わからないことをそのままにせず、ヒントを手掛かりに解法を自分のものにする。その姿勢は今も変わりません。

    石川 祐希

    戦術に疑問があればスタッフに、体の違和感があればメディカルに、ためらわず相談する。知らないまま進むより、学んで修正する方が早いからです。僕にとって学びとは、成長のための呼吸のようなもの。吸って、吐いて、また吸う。経験を取り込み、言葉にして整理し、行動に変える。その循環を止めない限り、人は何度でもアップデートできると信じています。

    人間が成長するためには「学び」が必ず必要で、学ぶという姿勢をもてないと成長しないと思います。どんな経験からでも学びは間違いなくあるので、どれだけ自分に貯めていけるかが成長の鍵だと思っています。

    ただ学ぶだけでは意味がないし、それをどう生かしていくかが大切。学んだことを行動に移したときに結果として出るときもあれば出ないときもあります。結果が出たときには何がよかったのか学べるし、結果が出なかったときでも何がいけなかったかそこから学べます。

    答えはないですが、自分の中でその答えとなるものを見つけていくことはとても重要なことだと思いますし、それが学びなのではないかと思います。

    アスリートの僕から言えることは、スポーツも勉強も基礎基本が一番軸になるということです。反復練習は決して楽しいことばかりではないですが、それをコツコツとやり続けることはとても重要です。それができているからこそ結果が出せると僕は思っているので、まずは基礎基本に忠実にやってほしいですね。

    バレーボールでも、基礎基本ができてからいろいろな技や応用などに挑戦できると思っています。勉強も基礎基本は身につけるまでに時間はかかりますが、自分のものになれば、一生使える力になるので、将来を見据えて基礎をたくさん学んでほしいなと思います。

    継続することはとても大事です。やめるのは簡単ですが、続けるのは難しい。でも、続けることにこそ意味があります。アスリートでも、継続している人の方が結果を出しています。たとえば、ケガのケアを1日怠るだけで、痛みが数日続くこともあります。ウェイトトレーニングも、1日休むと取り戻すのに3日かかると言われています。だからこそ、継続が結果につながるのです。

    もちろん休むことも大事ですが、継続して学び続けるからこそ大きく成長できるんだということは、アスリートとしての僕の経験から言えることかなと思います。

    石川 祐希

    小学生の頃からコツコツ積み上げることを続けてきたので、今でもそれが自然にできています。部活動が終わってから教室に行き、勉強が苦しいときとか、ちょっとストレスがかかる状況でも我慢してやるという、小さい時からコツコツやり続けた経験が間違いなく生きていると感じています。

    一人で黙々と勉強している時もありましたが、公文式の時間はプリントをやって、終わってからテスト勉強などは公文の仲間と一緒に勉強し、仲間意識みたいなことも含めて学べたところは間違いなくあると思っているので、小さい頃から勉強の中でいろいろな経験をするということが大事だと改めて思います。

    今後は、競技者としてイタリアのリーグで優勝することと、今年30歳になりましたが、まだまだ競技を長く続けることが目標なので、そのためのコンディションや体づくりは引き続き自分で管理して取り組んでいきます。

    また、海外での様々な経験を伝えられる時がいつか来ると思っています。まだ何を伝えたいかという明確なものはないですが、僕にしか伝えられないことがあると思っているので、うまく伝えるスキルを身につけたいなと思いつつ、今はまだ競技者として結果や記録にどれだけフォーカスしていけるか、突き詰めていきたいです。

    前編を読む

     


     

     

    前編のインタビューから

    -公文式で学校の勉強より先に進めたから、学校・部活・公文式教室の生活も可能に
    -公文式と部活動の両立がくれた 苦しいときでも乗り越える力
    -“自分のペースで進める”という生き方 ミスは学びの入り口

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