大きな一歩を踏み出した“今”と
“最初の一歩”だったGICの朝
―― おふたりは社会人としてのキャリアを歩み始めた今、日々の仕事の中でどんな“やりがい”や“難しさ”を感じていますか?

竹内大悟さん(以下、竹内):
社会人になって初めて、「自分の判断が社会に届く」という感覚を意識するようになりました。現在は国土交通省・釧路道路事務所で道路の工事や管理に関わっていますが、一つひとつの事業には大きなお金が動きます。もちろん私ひとりで決めているわけではありませんが、それでも自分の判断は、税金を使うプロジェクトにつながっています。その重さは学生の頃には想像できなかったものでした。
最初は“責任の大きさ”をより意識していました。失敗したらどうしよう、判断を間違えたらどうなるんだろう…そんな緊張が常に背中に張りついているようで。でも同時に、「こんな大きな仕事を1年目から任せてもらえているんだ」というやりがいもあります。まだまだ右も左もわからず、先輩方に助けてもらう日々ですが、任された業務が少しずつ形になっていくと、「自分の仕事が社会の一部を支えている」という実感が湧いてきます。

畑佐真衣さん(以下、畑佐):
私は認定こども園で3歳児クラスを担任しています。毎日、18人の子どもたちと向き合う中で感じるのは、“乳幼児期の時間は、その子の人生の土台になる”ということです。
正直なところ、最初はとても不安でした。「私にこの子たちの“今”を支えることができるのだろうか」「この関わりが、この子の未来にどうつながっていくのだろう」そんなことを考えていると、プレッシャーに押しつぶされそうになる瞬間があります。
でも子どもって、こちらが想像している以上に、自分で育つ力をもっているんですよね。新しいことに挑戦する姿、泣いていた子が少しずつ笑顔を増やしていく姿、そんな様子をすぐそばで見られるのは本当に幸せです。
―― 初めてGICに参加した日のことを覚えていますか?

竹内:
いまでも“初日の入口の光景”は鮮明に覚えています。ホテルのロビーの扉が開いた瞬間、世界のさまざまな国から集まったキャンプリーダーの皆さんが全力の笑顔で「Welcome!!」と迎えてくれて…。そのテンションの高さに、思わず一歩、あとずさるほどでした。
あのときは、「想像していたのとは違うところに来てしまったかもしれない…」という気持ちでした。そのときの私は英語力にも自信がなくて、「この空気の中で1週間やっていけるのか?」と、不安がどんどん膨らんでいったのを覚えています。
でも、その後の参加者が全員そろうまでの待ち時間に、キャンプリーダーが一対一で話しかけてくれて、私が言いたいことが言えるまで、根気よく待ってくれたんです。慣れない英語で話す私が途中で言葉に詰まっても、焦らせず、否定せず、ただ「聞く」という姿勢でいてくれました。
きっとその時間が、私の緊張を少しずつ溶かしてくれたんだと思います。そして周りを見ると、私以外の参加者も、みんなが流暢に英語を話せるわけではなく、それでも一生懸命何かを伝えようとしている姿を見て、「自分もやってみよう」と思えるようになりました。
“あの入口での圧倒されるテンションの高さ”と“その直後に感じた安心感”。このギャップが、忘れられないGICのスタートになりました。

畑佐:
私も初日のあの“ウェルカム感”には圧倒されました。勢いのある英語、明るすぎる笑顔、初めて見る雰囲気。「間違えたところに来ちゃったかも?!」という気持ちは、竹内さんと同じように確かにありました。
それに、英語が得意なわけではなかったので、「ちゃんと話さなきゃいけないんだろうか?」「失敗したらどうしよう…」そんな思いがぐるぐるして、胸がぎゅっと固くなるような感覚もありました。
しかしGICの中に一歩足を踏み入れてからは、その不安な気持ちでいる私を支えてくれるキャンプリーダーや仲間たちがずっとそばにいてくれました。キャンプリーダーが「無理に変わらなくていいよ」「真衣のままで大丈夫」と寄り添ってくれたことで、私は少しずつ“ありのままでいてもいいんだ”と感じられるようになりました。
一人では出せない力を、キャンプリーダーや仲間たちがそばにいて、引き出してくれる。あの初日の不安感と、その先の安心感は、今の私にとっても“大事な原体験”として残っています。
今の仕事につながる“挑戦のルーツ”
―― 今歩んでいるキャリアや進路を考える上で、KEIAの経験はどんな影響を与えましたか?

竹内:
私が国土交通省を志した理由を遡ると、そのほとんどは、GICのあとに参加したOverseas Study Tour(以下、OST)と東北トリップにあります。OSTは、GICに参加した子どもたちやキャンプリーダーを対象に実施されるスタディツアーで、現地の文化に触れ、世界の現実を自分の目で見て「自分には何ができるか」を考えることを目的としています。インドネシアやタイで社会や人々のために活躍する様々なフィールドの方々と接しました。時系列でいうと、東北トリップよりも先にOSTに参加し、現地のNPO団体などを訪問してたくさんの刺激を受けました。OSTが終わった頃には、「人の役に立ちたい」という思いが一層強くなり、しばらくの夢は「国際公務員(国連職員)」でした。
そうした経験を経て、東北トリップでの体験も重なり、最終的に国土交通省という進路に行き着きました。OSTの経験も、私の人生や進路形成に大きく影響しています。東北トリップも同じく、GIC参加者やキャンプリーダー向けに実施されるプログラムで、実際に現地を訪れ、学びや気づきを深める機会として行われています。東北トリップでは、震災から4〜5年が経ってもなお、現地には壊れた建物が残り、生活が戻っていない地域にも訪れました。あの光景を、子どもの目で見た時の衝撃は今も鮮明です。「自然災害の力は、こんなにも人の生活を奪うのか…」その想いが、胸の奥で強く灯りました。
そこから私のすべてが変わっていきました。大学で土木を専攻するために、高校では理系を選び、将来の選択肢を“人々の生活を支える、守る道”に絞っていきました。今、道路の工事や維持管理に関わる仕事をしているのも、その延長線上にあります。
そして東北の被災地で見た現実に対し、子どもだった私が“何かしたい”“自分にできることを探したい”と素直に思い、行動できたのも、やはりGICが大きく影響しています。
GICが私に教えてくれたのは、「不安があっても挑戦すれば、未来は変わる」ということです。GICでは、原則日本語禁止。英語での発表のたびに緊張して、思うように話せないことだらけでした。でもキャンプリーダーや仲間たちは誰も笑わず、失敗を“当たり前のこと”として受け止めてくれた。その経験から、「失敗は大したことじゃない、怖がらずに挑戦してみよう」 と心の底から思えるようになりました。
そしてもうひとつが、「相手の立場で考える力」。GICではいろいろな背景をもつ人たちと過ごすため、「相手が理解できるスピード」や「相手が話そうとしている空気」を感じながらコミュニケーションを取ることが求められました。相手の言葉をさえぎらず、最後まで聞き、理解しようとすること。子どもの頃にキャンプリーダーにしてもらったことを、今度は自分が実践している…そんな感覚があります。
公共の仕事は、技術だけでなく“人と向き合う力”が不可欠だということを、働いてみて痛感しています。その土台をつくってくれたのは、間違いなくGICでした。もしGICに参加していなければ、私は防災を志すことも、公務員という道を選ぶこともなかったでしょう。

畑佐:
私はもともと「保育士になりたい」という明確な夢があったわけではなく、“人や子どもに関わること”に興味があり、教育について広く学びたいという気持ちで大学に進みました。
しかしその後、私が「子どもの人生に寄り添いたい」と本気で思うようになったのは、GICで感じた“心のよりどころ”があることの安心感でした。
GICでは緊張と不安でいっぱいで、自信がもてなかった私に、キャンプリーダーはずっと寄り添ってくれました。うまく英語で話せなくても、何か言いたそうにしていたらそばで待ってくれる。挑戦したら、どんな結果でも認めてくれる。あれほど安心して自分を出せた経験は、それまでの人生にほとんどありませんでした。
あのとき感じた安心感が、今の私の支えになっていますし、今度は私が、そんな子どもたちの“心のよりどころ”をつくる存在になりたい、と思うようになったのです。
保育の現場では、目の前の子どもと“じっくり向き合うこと”が何より大切です。子どもが伝えたいことを言葉にできず、戸惑い、泣いてしまうときでも、無理に言葉を引き出そうとせず、そばで寄り添う。その時間が、その子にとっての“安心の記憶”になる。そう信じられるのは、私自身がGICでそのように支えてもらったからです。GICは私に「人と本気で向き合う」ということの意味を教えてくれました。
そしてもうひとつ、GICがくれた大事な学びがあります。それは「自分で選ぶことの価値」です。挑戦するか、やめるか、どう振る舞うか。GICでは自分で決める場面がたくさんあり、そのたびに“選択した自分”が少しずつ形になっていきました。
ですから、私が勤めるこども園に通う子どもたちにも、“選ぶ経験”を大切にしてほしいと思っています。どんなに小さな選択であっても、「自分で決めた」という積み重ねが、その子の未来につながると信じているからです。
“今できる挑戦”を積み重ねていく
その先にある未来へ
―― これから挑戦したいこと、実現したいことを教えてください。

竹内:
“防災に関わりたい”という気持ちは、今も自分の中心にあります。まだ1年目で、担当しているのは道路工事の設計や維持管理ですが、どんな業務も「国民生活の安心・安全を守る」という目的につながっています。その理念が、自分にとってとても大事なんだと日々感じています。
ただ、国土交通省の仕事は幅広く、進めば進むほど“自分が知らないこと”が広がっているのを実感します。だから今は、目の前の業務に全力で取り組みながら、知識と経験の幅を広げていきたい。最終的には、日本の防災・減災に貢献できる人になりたいと思っています。

畑佐:
私がこれから挑戦したいのは、「子どもたちにとっての“心のよりどころ”をつくること」です。それは、具体的な建物や場所というよりも、子どもの心の中に残る“記憶”や“体験”のことを指しています。
子どもは成長の過程で、相手の名前も顔も忘れてしまう大人がたくさんいます。でも、そのときに感じた安心感や、受け止めてもらえた経験は、大きくなっても心の奥に残り続けることがあります。
もちろん、目に見える成果がすぐにわかる仕事ではありません。子どもが成長してから気づくこともきっと多い。でも、それでいいと思っています。私自身、GICから10年以上経ってから、その価値をより深く理解したように、子どもたちも大人になって初めて“あの時間があってよかった”と思うかもしれません。
“今できること”をひとつずつ積み重ねながら、いつか子どもたちの未来を支える存在になれるよう、挑戦を続けていきたいです。
―― これからGICに参加する後輩たちに、また公文式で学ぶ子どもたちに向けて、今伝えたいメッセージをお願いします。
竹内:
もし、今参加しようか迷っている子がいたら、私はこう伝えたいです。
不安の9割は、実際には起こらない。たとえ起こったとしても、思っていたほど大したことはない。
参加する前の私は、英語が話せるか、人前で話せるか、周りとなじめるか、不安だらけでした。でも、実際に始まってみると、周りには自分と同じように不安を抱えた仲間がいて、キャンプリーダーが全力で支えてくれました。
挑戦したことで得られたものは、想像していた以上に大きかった。英語力だけじゃなくて、「失敗してもいい」「まず一歩を踏み出してみる」という姿勢が、自分の中に強く根づきました。その姿勢があったから、留学も、進路選択も、国交省への挑戦もできたんだと思います。だから、伝えたいのはたったひとつ。不安を抱えたままでいいから、挑戦してみてほしい。誰かと一緒でもいい。途中で立ち止まってもいい。でも、挑戦したという事実は、必ず自分の力になります。未来の自分が、きっとその経験を誇りに思うはずです。
畑佐:
私が伝えたいのは、「今だから感じられること、今だからできる挑戦が必ずあるよ」ということです。

学生の頃をふり返ると、挑戦にはしんどさもあったけれど、あの“しんどさ”すら今では宝物です。GICでの挑戦は、決してあの時は完璧ではなかったけれど、その時の経験が、今の私にとってかけがえのない支えになっています。
挑戦した結果、どうなるかはわかりません。成功するかもしれないし、うまくいかないこともある。でも、「やってみようと思った自分」は確かに存在して、その一歩は必ず未来のどこかにつながっていきます。
そしてもうひとつ。「自分のペースを大切にしていいんだよ」 と伝えたいです。無理に誰かと同じ速さで進まなくてもいいし、立ち止まる時があってもいい。あなたを見守り、受け止めてくれる人は必ずいます。
自分のペースで、自分の“やってみたい”に向き合ってみてください。その小さな挑戦が、きっとこれからの人生で大きな支えになるはずです。
関連リンク KUMON English Immersion Activities (KEIA) くもんイングリッシュイマージョンアクティビティ | Kumon English Immersion Activities (kumon-eia.com) Global Immersion Camp (GIC) とは KUMON グローバルイマージョンキャンプ GIC(イングリッシュキャンプ) | Kumon English Immersion Activities (kumon-eia.com) Global Immersion Camp (GIC) 2025 Global Immersion Camp 2025 終了レポート | KUMON now! Topics









