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Vol.317 2019.08.06

『平和のバトン ─ 広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』を刊行

過去に学び、未来を描く
次世代へ手渡される
バトン

2019年5月に広島平和記念資料館が全面リニューアルオープンし、来年は広島と長崎に原爆が投下されてから75年目を迎えます。そういう中で、くもん出版は6月に、児童向けノンフィクション『平和のバトン ─ 広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』を刊行しました。
本著は、2020年7月、日本子どもの本研究会の第4回作品賞を受賞しました。

目次

高校生による証言者からの平和を受け継ぐプロジェクト

平和のバトン

この本は、広島県広島市立基町高校の「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトを追ったものです。「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトとは、本のサブタイトルに“広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶”とあるとおり、被爆体験証言者の声を、そして見た光景を、広島市立基町高校で美術を学ぶ生徒が絵にして記録するという取り組みです。

この取り組みは、広島平和記念資料館の依頼によって2007年に始まりました。40名の証言者の記憶を111名の高校生が記録として一枚の絵に描き、2018年夏までに、合計134点を同資料館に寄贈してきました。

原爆が投下されてから長い年月が過ぎ、やがて被爆者がこの世からいなくなれば、記憶は失われていきます。「このままでは、原爆のことが忘れられてしまう」と、勇気を振りしぼって立ちあがった証言者と高校生が何度も会い、一年をかけて一枚の絵にしていきます。

戦争も原爆も、高校生には全く想像ができない状況です。証言者は、絵にしてもらうことの難しさに、一方、高校生たちは証言を正確に描くことの難しさに何度も直面します。

例えば、「ゲートル」といわれても、今の高校生にはなんのことだか、どんな形や色をしていたかさっぱりわかりません。これはズボンのすそを押さえて足を守るために、戦時中多くの男性が足首からひざまで巻きつけていた長い布のことですが、高校生たちは、図書館や資料館へ何度も足を運び、ひとつひとつ学習しながら、デッサンを進めていったといいます。

作家でジャーナリストの弓狩匡純さんは、証言者と密に接することで、平和な広島で今を生きる高校生たちが戦争や原爆を見つめなおしていくさまを綿密に取材し、この本を執筆しました。弓狩さんは本書のあとがきで、こう述べられています。

「わたしたちは、幸運なことに平和な世界に住んでいます。とはいえ、そのほんとうの尊さを知るためには、過去の歴史を自分のものとして受けとめ、そこから生きる意味を学んでいかなければなりません。」

読者の子どもたちは、彼らの祖父母さえ、もはや戦争を知らない世代かもしれません。だからこそ平和な時を長く積みかさねてこられたことの意味を考え、次の世代に平和のバトンをつなぐことが大切です。KUMONはそのことにこの本を通して多くの方が気づいてくれることを願ってやみません。

~著者の弓狩匡純氏の講演会が下記日程で行われます~
日時:2019年8月9日(金)18:00~19:30
会場:〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目5−1 教文館ビル6階 ナルニア国 店内
参加費:1,000円
★申込方法など、詳しい情報はこちら 教文館ホームページ『平和のバトン』刊行記念 弓狩匡純氏講演会

関連リンク くもん出版商品詳細ページ プレスリリース『平和のバトン』刊行

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