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Vol.344 2020.03.03

江戸時代のひな祭り―浮世絵から見える江戸時代の人々

女の子の健やかな成長と幸せを祈って

KUMONでは1986年から子ども文化研究のために浮世絵を中心とした文化史料を収集・研究してきました。今回はひな祭りの様子が描かれた浮世絵を紹介します。浮世絵から垣間見える江戸時代の人々の暮らしを一緒に想像してみましょう。

目次

女の子の幸せを願う桃の節句

3月3日は桃の節句(ひな祭り)。雛人形はいつ頃飾りつけされましたか?節分で厄払いを済ませた次の日当たりというご家庭が多いかもしれませんね。豪華な段飾りのひな人形も魅力的ですが、最近では出し入れが簡単で、場所を取らないコンパクトなものが人気だそうです。

今回は江戸時代のひな祭りの様子を描いた浮世絵をご紹介します。
若い女性が内裏雛を箱から出し始めたところのようです。男雛の衣装を整えながら、その凛々しさにうっとりとしているようにも見えますね。豪華な内裏雛がある家ですから彼女は裕福な家庭のお嬢さまなのかもしれません。そのファッションもお洒落で、髪型を結綿(ゆいわた)に整え、着物には太い横縞(よこじま)に梅、菊、桐などの縁起のいい吉祥柄があしらわれており、帯は唐草模様の装いです。着こなしも洗練されていて、ひな人形にも負けていませんね。不思議と横に置かれた女雛の視線が男雛に対する彼女のしぐさを観察しているように見えてきませんか。

そもそも桃の節句とはどんなお祭りなのでしょう?

桃の節句の「節句」は季節の節目を意味しますが、中国の春秋戦国時代に生まれた陰陽五行説の考え方では奇数の日は縁起のいい日、偶数は悪い日を意味しますが、3月3日や5月5日のように一桁の奇数が重なる日は合わせると「偶数」になるため縁起が悪いと考えられていて、厄災いが起きぬように神々に穀物などを供えて祈る行事をしたといわれます。また、日本では平安時代のころから「ひいな遊び」と呼ばれる人形遊びがあり、人形に禍(わざわい)を移して川に流す風習が始まりました。江戸時代に入り「ひいな遊び」に中国の厄除けの風習を取り入れて3月3日に女の子の健やかな成長と幸せを願いひな祭りを行うようになったといわれています。「ひいな遊び」の人形が現在の雛人形に受け継がれていき、身代わりを務めるお礼の供物として「白酒」や「菱餅」、「雛あれを」などを供えて同じものをいただくようになったといいます。また、この季節に美しく咲き誇る桃の花を飾りますが、桃の固い実は漢方の婦人薬として重宝され、邪気を払い魔除けの効果があると信じられていたため、飾られるようになったようです。一つ一つに女の子を思いやる気持ちが込められているんですね。

今日は我が娘の健やかな成長と幸せを願いご家族皆さんで楽しくお過ごしください。

豊歳 五節句ノ遊 弥生『豊歳 五節句ノ遊 弥生』 歌川国貞 天保14年(1843)頃

関連リンク くもん子ども浮世絵ミュージアム

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