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Vol.401 2021.04.27

浮世絵に描かれた疫病除け「朱鍾馗」

浮世絵に描かれた疫病除け
朱色で描かれた鍾馗(しょうき)
~大切な子どもを疫病から守りたい~

KUMONでは1986年から子ども文化研究のために浮世絵を中心とした文化史料を収集・研究してきました。今回は、こどもの日に飾られることもある鍾馗(しょうき)様を朱赤で描いた「疱瘡絵(ほうそうえ)」と呼ばれる浮世絵を紹介します。
浮世絵に込められた当時の人々の思いを一緒に想像してみましょう。

目次

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    5月5日の『こどもの日』が近づくと、鯉幟(こいのぼり)をあちらこちらで目にしますが、お家の中に鎧兜(よろいかぶと)を飾るご家庭も多いのではないでしょうか。また、金太郎や鍾馗(しょうき)も5月人形には欠かせませんよね。
    鍾馗とは中国に伝わる道教系の神様で、図像を飾ることで疫病除け・魔除けの効果があるとされ、日本では平安末期から信仰がみられるようです。

    今回ご紹介するのは、歌川豊国が描いた「七変化之内 朱鍾馗 関三十郎」という「疱瘡絵(ほうそうえ)」で、当時の歌舞伎役者、関三十郎が演じた七変化の鍾馗を描いたものです。
    「疱瘡絵」と呼ばれる絵は、かつて正体不明の病として恐れられてきた疱瘡(天然痘)が嫌うとされる朱赤で描かれた浮世絵で、疫病除けとして用いられていました。

    鍾馗は疫病で伏せていた唐の玄宗皇帝の夢枕にあらわれ、疫鬼(えきき)を祓(はら)って病を治したといいます。後日皇帝がお抱え絵師に夢に現れた姿を語って描かせた鍾馗は巨大な目に髭(ひげ)を蓄えており、頭には黒冠、右手に大きな中国剣を持った大男。この絵の中では虎皮をつけた緑色の疫鬼を懲らしめています。朱赤は中国でも魔除けの力が強いとされていましたが、この鍾馗も朱赤一色で描かれているのが特徴です。

    江戸時代の親たちはこの様な疱瘡絵を我が子の枕元に貼り、先祖からの預かりものとして大事に育てている大切な子どもを疫病から守ってもらいたいという願いを込めていたといいます。
    昨年の新型コロナウイルス感染拡大が始まった頃、江戸時代の瓦版に描かれたアマビヱがモチーフになってアマビヱブームが起きましたが、真っ赤な朱鍾馗の姿を見たら、現代の疫鬼(新型コロナウイルス)も恐れおののいて逃げ出しそうですね。

    体と頭のリハビリテーションをめざして七変化之内 朱鍾馗 関三十郎 歌川豊国  文化後期(1804-1818)

    関連リンク くもん子ども浮世絵ミュージアム

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