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Vol.563 2025.08.19

KUMON協賛 大阪・関西万博 写真展「One Day, I Will(おとなになったら)」レポート

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子どもたちが直面する現実
世界で起こっていることに
想いを馳せて

開幕から78日目で来場者が1,000万人を超えたという2025年大阪・関西万博。国連パビリオン内特設会場では、7月2日(水)から10日(木)まで、国連人道問題調整事務所(OCHA)主催・KUMON協賛の写真展「One Day, I Will(おとなになったら)」が開催されました。9日間の会期中、国連パビリオンと特設会場には約19,000人が来場し、展示を鑑賞しました(国連パビリオン調査)。
このレポートでは、写真展会場の様子と来場者の声、会場を訪れていた写真家のトレモー氏のコメントをお伝えします。

目次

    One Day, I Will(おとなになったら)」プロジェクトは、世界中の人道危機(戦争や疫病、自然災害など)に直面する子どもたちに、身近な衣装や小道具を使って将来なりたい姿になってもらい、その姿を写真撮影するというもので、フランス人写真家のヴァンサン・トレモー氏が2014年に始めました。 大阪・関西万博での写真展に合わせて、2025年2月には2024年の能登半島地震で影響を受けた石川県の子どもたちが撮影され、シリーズに加えられました。
    大阪・関西万博 国連人道問題調整事務所(OCHA)主催の写真展にKUMONが協賛|KUMON now!

    思い思いのコスチュームに身を包んだ
    子どもたちの「現実」と「想い」

    ポスター展示
    ポスター展示

    国連パビリオン内特設会場に展示されたズラリと並ぶ作品の数々。「兵士」「医者」「消防士」「大工」など思い思いのコスチュームに身を包み、ポーズを取る子どもたちの姿は、一見すると微笑ましい“ごっこ遊び”のように見えますが、それぞれの背景には紛争や災害、貧困といった厳しい現実があります。

    消防士のコスチュームを着た男の子(メイキング動画より)
    消防士のコスチュームを着た男の子(メイキング動画より)

    トレモー氏が今まで「One Day, I Will(おとなになったら)」プロジェクトで撮影した子どもたちは1,000人以上。その中には、2025年に撮影した能登地域の小学生30人と高校生6人も含まれます。今回はその1,000人の写真の中から選ばれた11点がポスター展示されました。

    大工のコスチュームを着た女の子(メイキング動画より)
    大工のコスチュームを着た女の子(メイキング動画より)

    それぞれの写真には、モデルとなった子どもたちがそのコスチュームを選んだ理由が、子どもたち自身の言葉で添えられており、子どもたちの肖像からは、言葉にできない想いが伝わってきます。

    トレモー氏(メイキング動画より)
    トレモー氏(メイキング動画より)

    ポスター展示の対面の壁には大型スクリーンが設置されており、能登で撮影された36人全員のプレゼンテーション動画と能登での撮影に密着したメイキング動画が流されました。

    「KUMONの広がり」の紹介動画
    「KUMONの広がり」の紹介動画

    スクリーンには、プレゼンテーション動画とメイキング動画のほかに、OCHAの紹介動画や「KUMONの広がり」の紹介動画が繰り返し流されました。

    インタラクティブモニターテーブルでの写真の表示
    インタラクティブモニターテーブルでの写真の表示

    会場に設置されているインタラクティブモニターテーブルには、今までトレモー氏が撮影した国が点で示された地球が映し出されており、指でタッチすると、その国で撮影された写真が表示されます。

    会期中は学生の団体、親子連れ、海外からの来場者など多くの来場者でにぎわいました。

    来場者の声(アンケートより)

    会場では来場者アンケートを実施し、印象的だった作品について聞きました。一部をご紹介します。

    大工や消防士になりたい子

    「大工や消防士になりたい子です。辛い経験にも負けない夢をもつことが出来るのが素晴らしいと思いました」(50代女性)
    「小さいうちから兵士になりたいと言っているのを見るととても悲しくなります」(13~18歳男性)
    「家族が亡くなったことを背景に医者になりたい、と言っていた子」(19歳~29歳男性)
    「子どもたちの将来なりたいものの写真に添えられている説明文に『守る』という言葉がよく出てきていたのが印象に残っています」(30代女性)
    「世界の子どもたちの言葉を聞くことはなかなかないので、すべて印象深いです」(40代男性)

    大人の役割ーポジティブな未来へのサポート

    会場のトレモー氏に写真展の手ごたえを聞きました。

    トレモー氏は、今回の写真展の意義について次のように語りました。

    「この写真展では、子どもたちが直面する厳しい現実を映し出すとともに、そこから生まれる『前向きな希望』も表現しています。これはまさに、万博のテーマである『いのち輝く未来社会のデザイン』に通じるものであり、子どもたちの想像力が未来を形づくる上でいかに重要であるかを私たちに訴えかけます」

    「実際に会場を訪れた人たちの様子を見ていると、彼らが写真だけでなく、文章にも注目してくれていると感じました。なぜこの子はこのコスチュームを着ているのか。その背景にはどんな世界情勢があるのか。この写真展が眺めて楽しいだけではなく、それぞれが何かを感じ取り、これまでより少しでも広い視野をもてるきっかけになってくれたら、とてもうれしいです」

    「これまで、このプロジェクトは紛争や人道危機に直面する国々で展開してきました。今回、先進国での初の撮影となる日本で、子どもたちの姿をカメラに収めることができました。しかも大阪・関西万博という非常に大きな舞台で写真展を行えたことは、とてもエモーショナルであり、誇りも感じています。心から感謝します」

    子どもたちは、未来のリーダー

    「子どもたちは、未来のリーダーです。子どもたちこそが、もっとも想像力豊かで、もっともクリエイティブな存在です。しかし、彼らは多くの場合、声なき存在として扱われています。彼らの声を届け、ポジティブな未来社会を築けるようにサポートしていくことが、私たち大人の役割ではないでしょうか。その意味でも、今回の写真展は、とても重要な意味をもつ活動となったと感じています」

    One Day, I Will(おとなになったら)」プロジェクトの能登シリーズが、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOという国際的な写真イベントで紹介される予定です。
    会期:2025年10月4日(土)~10月27日(月)
    詳細は、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOのウェブサイトをご覧ください。
    https://t3photo.tokyo/festival-2025

    関連リンク 大阪・関西万博 国連人道問題調整事務所(OCHA)主催の写真展にKUMONが協賛|KUMON now!
    https://www.kumon.ne.jp/kumonnow/topics/vol558/
    2025年大阪・関西万博の国連パビリオンにて 国連人道問題調整事務所(OCHA)主催、KUMON協賛の写真展開催 ヴァンサン・トレモー氏「One Day, I Will(おとなになったら)」|プレスリリース
    https://www.kumon.ne.jp/press/15449/
    OCHA 「能登から夢を届ける」
    https://unocha.exposure.co/post-4973926
    OCHA “Dreams from Japan”
    https://unocha.exposure.co/dreams-from-japan(英語)
    OCHA “Humanitarian photo exhibit captures the dreams of children across crisis zones”
    https://www.unocha.org/news/humanitarian-photo-exhibit-captures-dreams-children-across-crisis-zones(英語)

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