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Vol.394 2021.03.09

地域貢献活動の未来の姿―認知症予防セミナーから脳の健康教室開講

認知症にならないために
認知症になっても安心して暮らせる
地域づくりを目指して
金融機関が開講した脳の健康教室

公文教育研究会の学習療法センターでは、2018年10月から、フコクしんらい生命保険株式会社と同社の販売パートナーである各地の信用金庫とともに、「認知症予防セミナー」を全国で開催しています。このセミナーは、認知症に関する正しい知識を深めていただくことで、認知症の予防と認知症になっても地域の中で安心して暮らせる社会づくりを目指すものです。2017年から11ヶ月の準備期間を経て2018年10月にスタートし、2020年3月末までに25都道府県の32会場で実施されました。
20年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、セミナー自体は開催できませんでしたが、セミナーをきっかけに開講に至り、今後さらに拡大を目標に掲げて活動している脳の健康教室をご紹介します。

目次

フコクしんらい生命の「脳の健康教室」
~一企業による地域貢献~

フコクしんらい生命の「脳の健康教室」教室風景

フコクしんらい生命の「脳の健康教室」は東京都新宿区にある本社社屋内で開講されています。
もともと介護するご家族はもちろん、地域に暮らす人々みんなで高齢者を温かく見守り、地域を支え、高齢者が地域の中でより良く暮らしていける社会を実現したいという熱い思いを持っていた当社。認知症予防セミナー開始とほぼ同時の2018年10月に開講しました。
本社の社員4名がこの教室の運営に直接かかわり、常に2名の社員が教室にいます。学習の支援をするのはサポーターの皆さん。サポーターは、新宿区の社会福祉協議会にボランティア登録された方々の中からご参加いただいています。

新型コロナウイルス感染拡大を受けての緊急事態宣言時はいったん中止していましたが、20年10月より密にならないようにスペースを取って再開しました。戻ってこられたとき元気がなかった受講者は、学習を進めていく中で視線が上がり、教室から帰るときは笑顔が戻っていました。社員とサポーターは、この地域に脳の健康教室が存在する価値を改めて実感したそうです。

フコクしんらい生命は脳の健康教室以外にも地域貢献活動や社員への様々な働き方制度を導入しており、2020年2月には、新宿区より「ワーク・ライフ・バランス推進優良企業」として表彰されました。

フコクしんらい生命保険 本社(東京都・新宿区)フコクしんらい生命保険 本社(東京都・新宿区)

担当社員の声 : 脳の健康教室を通じて地域の皆さんの脳の健康の維持、地域コミュニティづくりに貢献できると確信があったので、認知症予防セミナー開始とほぼ同時に、本社内で教室を開講しました。セミナーを重ねるうちに、地元でも教室を展開したいという希望が出てきましたが、当社に脳の健康教室の運営経験があることで、少しでもそういう希望に対しアドバイスができると思います。私たちは民間企業ですが、週に一回でも教室という形で地域の皆さんに場所を提供し、地域の課題解決、つまり一人でも認知症の方が少なくなること、認知症の進行を遅らせたり、予防したりすることができれば、地域は活性化します。企業も活気づき、経済効果も高まるでしょう。それぞれにとって利益のある良い関係が築けます。

玉島信用金庫の「頭をきたえる『はつらつ健康教室』」
~コミュニティの再生にも役立つ~

岡山県倉敷市の玉島信用金庫本店内で行っている「頭をきたえる『はつらつ健康教室』」は、2018年11月に認知症予防セミナーを共同開催した玉島信用金庫の宅和理事長が、ぜひ地域に貢献したいと導入を決め、2019年10月に開講した教室です。

信用金庫は、協同組織の金融機関。お客様のお困りごとに徹底的に寄り添うという原点に立ち返り、伝統的な金融業務に捉われることなく「何か力になれないか」と考えていたところ出会ったのが認知症予防セミナーでした。さっそく倉敷市の玉島で開催することを決めました。当日は、全県的にPRを一切していないにもかかわらず、東は兵庫県の県境から参加された方がいらっしゃるなど、各地域の方々の関心は高かったようです。
宅和理事長は、このセミナーを体感し、「我々金融機関の社員でも認知症予防の支援が十分にできるという確証を得たので、その場で脳の健康教室の開講を申し出ました」と当時を振り返ります。

開講のきっかけのお話はさらに続きます。
「超高齢社会では様々な問題を抱えていますが、比較的人間関係が濃厚と言われる地方においてすら、これを支えるコミュニティがすでに消滅しつつあるのです。こうした中、我々信用金庫は地域を支える協同組織・金融機関ですから、日常の活動の中でこうした問題に身近に触れ、『何とかしたい』という思いを持つことはそもそも自然であり、当然のことでした。認知症が予防でき、発症を遅らせることができれば、ご家庭での負担も含めて社会全体の負担も軽減されるわけですから、その余力を新しい分野、あるいは社会の発展にもっていくことができる。個人だけでなく、社会全体にプラスになるだろう。我々経済人としては、それが社員にも役に立つことであり、また高齢者ご本人、ご家庭のためにも良いことであると思います。さらに、私どものこうした取り組みを皆様が珍しがっていただけるということは、それだけ興味を持っていただけるということ。地元の行政、全国の金融機関に、これが波紋となって広がるとさらに良い効果が生まれる。そこまで期待してこの教室を開講させました」

コロナ前の学習風景コロナ前の学習風景

受講者の方々には、この教室を生きがいに感じていらっしゃる方も多く、「この教室がなければ、一週間誰とも話すことはない」と話される受講者の言葉に、この教室が認知症予防だけではなく、失われたコミュニティの再生にも役立つということを確信した、と宅和理事長は話します。

2020年度、県内でも新型コロナウイルス感染症が拡大していく中で、開講した教室も一時停止を余儀なくされました。また、新教室を玉島信用金庫3店舗に拡大するという年度計画も実現できなくなっています。しかし、社会では認知症予防のニーズはもっともっとあり、このニーズに応えられるコミュニティの再構築を、教室をコアに実現させたいとの強い気持ちは持ち続けています。現在、学習支援の教室サポーターは職員だけですが、今後このプロジェクトを実行するため、コミュニティのボランティアを投入し、玉島信用金庫20店舗での開講が可能になることを目指しています。そして、その20店舗が全国へと広がっていくことを期待しています。

学習療法センターでは、2021年度も引き続き、パートナーの皆さまと共に超高齢社会での役割の一端を担う活動をしていきます。

関連リンク フコクしんらい生命との協働|KUMON now! 脳の健康教室 秦野市編|KUMON now 学習療法センター フコクしんらい生命 玉島信用金庫

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