超高齢社会の日本は、2025年に認知症患者数が約700万人に到達すると予測されています。KUMONは約20年前から、公文式教材を活用して認知症の予防プログラムが開発できないかと考え、産官学の共同研究を実施していました。結果的に、非薬物療法として画期的な効果が見込めることが分かり、学習療法センターとしてKUMONのメソッドを活用したプログラムを提供しています。認知症の症状を維持・改善することを目的にした「学習療法」と、認知症予防を目的にした「脳の健康教室」という2本の事業を展開し、行政や自治体、介護施設などへの導入サポートを行っています。
CROSS TALK02
ソーシャルビジネス
座談会
業務推進チーム(リーダー)
仏独日チーム(リーダー)
調査企画チーム
CHAPTERKUMONのメソッドを軸に
社会的課題を解決する
現在の仕事のミッションは何ですか?
仏独日チームでは、フランス語・ドイツ語の学習事業を推進し、幼児から高齢者まで幅広い層に対してフランス語・ドイツ語を通じた生涯学習、さらには能力開発を支援しています。また、近年は日本で生活する外国人が増加しています。日本語が母国ではない人々への日本語学習事業も展開し、英語・中国語・ポルトガル語などご自身が理解できる言語で日本語を学習できる教材を提供しています。業務としては、指導者の育成・指導サポート・PR・教材改訂など幅広く携わっています。
学習をしたくても、そこにアクセスできない子どもたちが世界には存在します。KUMONの「あらゆる国や地域の人に学ぶ機会を提供する」というビジョンを達成するために、教室事業だけでは届けられない層に対して、パートナーとともに持続可能な形でKUMONを届けるために生まれたのがライセンス事業推進部です。世界最大級のNGOであるBRACと協働し、バングラデシュにKUMONを普及させたり、あしなが育英会と協働して、日本やウガンダの遺児小学生への学習支援プログラム導入を推進したりと、グローバルな活動を行っています。
今の仕事に携わることで何か心の変化はありましたか?
KUMONだけではできない事業に携わることで、KUMONとして何ができるのか、相手企業や社会、国に対して何ができるのかという視点で考えられるようになりました。また、パートナーは様々な期待を持ち教育のプロであるKUMONに声をかけていただいていることを実感しましたね。例えば遺児支援は、教育だけでなく様々な面でのケアが必要です。子どもたちの背景を理解して、どういう未来を歩むべきか考える際、教育面は私たちが専門家として、ケア面はあしなが育英会が専門家として意見を出し合います。パートナーとともに何ができるかというのを、枠組みにとらわれず広い範囲で考えるようにしています。
年齢も、学習歴も仕事も異なる方々が、フランス語やドイツ語、日本語を学んでいるのですが、先生が一人ひとりに合った学習をコーディネートしてくれるからこそ、皆さん非常に前向きに学習を進められています。また、学ぶ言語は異なれど、根底にある教材に対する考え方は同じです。文化も経験も国籍も違う、多様な考え方の人たちにマッチする教育メソッドなんだなと、その懐の深さを改めて感じています。
私は現部署に異動して日が浅いのですが、子どもではなく高齢者を対象とすることに当初は戸惑いもあったんです。でも、実際に業務をしていく中で興味関心の幅が広がっているのを実感しています。脳の健康教室に通う高齢者の方を見ると、皆さんいきいきと楽しく学習されています。高齢者でもできることを増やせるし、そこに楽しみを見出したら笑顔になれるんだと思いました。また、子どもたちの教育は可能性をいかに広げるかが大事ですが、高齢者の場合は無理に挑戦するのではなく、楽しく学習を続けてもらうことに力点を置くべきだとも思いました。事業の幅が広いKUMONだからこそ得られた視点だと感じています。
CHAPTER全ての人の
可能性を広げるお手伝いを
KUMONの社会貢献性はどのような時に感じますか?
学習は面白いということをもっと広めたいと思いKUMONに入社しました。学習の面白さを感じてもらえていると実感するときもあれば、まだまだ道半ばだと感じることも多くあります。現在、バングラデシュやウガンダの子どもたちに公文式学習法を提供するようになって、新しいことを知る喜びに目を輝かせながら学習する子どもたちの姿を目の当たりにし、公文式学習法は未来につながる学習だと改めて実感しています。そして、もっと多くの人に学習の喜びを伝えたいと心新たに思えました。
それは素晴らしい体験ですね。私は10年以上日本語事業に携わっているのですが、近年増加し続けている外国にルーツをもつ子どもたちの日本語力の課題は肌で感じています。言語学習は保護者や学校を含む地域のサポートが必要ですが、簡単にいくものではありません。また、母国語の習得が不十分な年齢で来日した場合、母国語も日本語も難しく感じる子どもたちもいて、日本語が十分に身に付かないまま成長し、高校や大学に進学できないなど、未来の選択肢が狭まってしまうという課題が発生しています。KUMONのメソッドでしっかりとした日本語力を身につけて、自信を持ってチャレンジできる子どもたちを増やしたいと強く思うようになりました。また子どもに限らず、大人の方も日本語ができるようになることで、自信を取り戻される様子も目の当たりにしてきました。どんな年齢であっても、成長できることを感じています。
その通りですね。子どもから大人、高齢者まで幅広い対象者に対し、KUMONのメソッドを提供できるのはいいことだと感じています。KUMONの理念には「個々の人間に与えられている可能性を発見し」という言葉がありますが、子どもだけでなく大人も含む「人間」が対象になっています。理念の軸を外さずに、対象を広げながら学習の喜びを提供できるのがKUMONの良さですよね。
はい!個人的には「きっかけのKUMON」になってほしいんです。KUMONがきっかけで何かに興味を持ったとか、そういう子どもたちがたくさん出てくれると嬉しいですね。
KUMONに関わってくださる人が、人生の中で何かを選択する時に、より自分のやりたいことを選択できるようなサポートができるといいですよね。そして、それを本気で成し遂げようとしている人がKUMONにはたくさんいます。
その本気さと長年にわたる実績とノウハウは、KUMONの大きな強みだと思います。バングラデシュのパートナーからも「60年以上にわたり教育に向き合い続けてきた知見は、他に真似できない。そのノウハウに基づいた学習法の普及に期待している」と期待をお伝え頂きました。KUMONが貢献できる分野はまだまだ多くあると思います。KUMONならではのノウハウやメソッドを武器に、異なる業界であっても、人の成長を大切に考える方々と手を取り合って、社会をより良くしていけることを目指したいですね。
そうですね。実績に胡坐をかかず、これからも技術や社会の変化を捉えて磨き続けていきたいですね。また、社会の課題に対して、KUMONのメソッドを使って何ができるだろうというのも追求したいです。
そういう意味でいうと、多文化共生の課題に対してKUMONができることはたくさんあると思っています。KUMONは読み書きの力をつける学習法ですので、きちんとした語学力を身につけることで、言葉という課題を乗り越えられるようになります。強固な土台を持った語学力を養えば、文化や価値観の相互理解もさらに進んでいくのではないでしょうか。
CHAPTER新事業に挑戦して
より良い未来を実現する
これまでの経験を踏まえ、今後はどのようなことに挑戦したいですか?
学習療法センターでは、新たに「KUMONの脳トレ」事業を始めました。介護や認知症への関心が高まる中、50代や60代のうちから脳の健康を維持したいというニーズが出てきました。これまでの学習療法や脳の健康教室はBtoB事業だったのですが、より幅広い層に届けるためにも、「KUMONの脳トレ」事業はBtoCの紙とアプリを併用した通信教材として展開します。効果が裏付けられた多様なサービスは、KUMONならではのものだと思います。
ライセンス事業推進部でも、大人を対象としたサービス開発のプロジェクトが始まっています。日本型教育の海外展開を行う「EDU-Portニッポン」という文科省の事業に参画し、南アフリカ共和国の就労者への学習支援を行っています。学習を通じて非認知能力を鍛えることで、仕事に取り組む姿勢や生産力の向上につなげることが目標です。このように、常に新しい価値を見つけてビジネスを生み出していく予定です。
現在、日本語事業は国内を中心に展開しているのですが、もっと幅広く日本語に興味のある人を対象に、自学学習できる教材を届ける手段はないか模索中です。日本の文化に興味があったり、将来日本で働きたいと考えたりしている人たちに、KUMONのメソッドを届けたいんです。ただ、色々な壁を乗り越えなければならないため、現在ライセンス事業推進部と協働しながら最善策を探っています。
このビジネスを形にするために私も頑張ります!
部署が連携しあって社会貢献を実現できるのも、KUMONの魅力ですよね。当面の目標としては、学習療法センター開発部で必要になる知識を培い、仕事の質を上げていくことなのですが、今後も新しいことに挑戦する気持ちは忘れず仕事にまい進したいですね。
挑戦する気持ちは大事ですよね。私はコーポレート部門など、バックオフィス業務の経験がないので、そういった部署の仕事にも興味があります。新たなチャレンジを繰り返すことで、自分の視野をもっと広げ、より多くの人にKUMONを届けられるようになりたいです。
私も様々な観点から考えられる人材になるためにも、色々なことに挑戦したいです。今の仕事では、パートナーが実現を目指しているストーリーに寄り添って、自分は何ができるか考えて貢献する力を養うのが目標です。また、自分たちがどういうストーリー、そして未来を描いていくのかを主体的に考えて、関係者と話し合いながら実現に向けて動いていきたいですね。
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