スペシャルインタビュー
Academic Milestones - 学びを究める力

2016/01/22更新

Vol.028 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
早稲田大学国際部長 黒田一雄先生  前編

教育がもたらす希望は大きい
多様性のなかでの学び
真の豊かさをもたらす

黒田 一雄 (くろだ かずお)
福岡県生まれ。1989年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、当時の東京銀行に就職。アジア経済研究所開発スクール修了後、スタンフォード大学にて国際教育開発、コーネル大学にて教育・開発社会学を専攻、Ph.D.(博士号)取得。米国海外開発評議会研究員や世界銀行を経て、広島大学教育開発国際協力研究センター講師、助教授に。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の助教授を経て、現職に至る。編著に、『国際教育開発論-理論と実践』(有斐閣)、『アジアの高等教育ガバナンス』(勁草書房)など。

「発展途上国の教育開発」をテーマに研究を続ける一方、外務省やJICAなどの国際協力機関で、さまざまな委員を歴任されている黒田先生。いまに至るまでには迷いや寄り道もありましたが、志を貫き、今では日本における国際教育開発の分野で第一人者として国内外で活躍されています。夢の実現に向かって学び続けた源泉は何だったのでしょうか。

「すべての人に教育を」
その実現のための枠組みを研究

私の専門は「発展途上国の教育開発」です。とくに、教育機会を与えられない女子教育への興味からスタートし、最近は障害児など特別な教育ニーズが必要な子どもたちが通常学級で学ぶ「インクルーシブ教育」の研究にも力を入れています。

もう一つ、早稲田大学の国際部長という役職をやっていることもあり、「アジアの高等教育における国際交流・国際連携」、具体的には、アジアの高等教育における域内流動性や連結性を高めていくためのあり方などについて研究しています。

前者の観点からいえば、私は自分を「EFAについての研究者」、と位置づけています。EFAとは、1990年、タイのジョムティエンで開催された、「万人のための教育世界会議」に始まった「すべての人に教育を(EFA:Education for All)」というスローガンです。その後、2000年のミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)を経て、2015年には持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が国連において採択されました。この中には、「すべての人が公平に受けられる質の高い教育の完全普及と、生涯にわたって学習できる機会の向上」という教育目標があります。その実現に向けて、国際社会がどのように取り組むか、といった枠組みづくりに関心があります。

今でこそ「教育開発」という分野が確立されつつありますが、私が研究を始めたころ、日本にはこの分野の研究者はほとんどおらず、「教育開発の研究者になっても日本では仕事はない」と言われるほどでした。というのも、日本は戦前・戦中に植民地や占領下の東南アジアで日本語教育や日本の教育制度を強制した歴史的反省もあり、「教育はその国の根幹をなすものであるため、他国が干渉すべきものではない」との考えが根強かったからです。ですので、現在の日本の国際教育協力の進展には、目を見はるものがあります。

黒田先生が教育に関心をもつようになったきっかけとは?

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