“腹八分目”くらいの方が、
明日への学習意欲につながります。
以前「百人百筆」の取材でお話しましたが、現在も毎朝3時や4時に起きて書写教材に取り組んでいます。世の中が動き出す前の静かな時間、一人文字に向かうと一日がスタートする感覚があってとても心地良いです。
基本的に毎日1~2枚ペースなので、時間にすると20分程度。“腹八分目”が私にはちょうどいいようで、少し物足りないくらいの方が翌日の学習意欲にも繋がります。それに疲れている時などは1枚完成できず2分の1枚でにも終わらせる日も。翌日、その分少し多めにすればいいことですから。無理をしないことが続ける秘訣です。
自分のペースで取り組んでいたら、
気づけば16年です。
私の場合、何年以上続けるとか、いつまでにこれができるようになるとか、大きな目標を掲げたことはありません。それよりは、自分のちょうどいいペースで一日一日を過ごしていたら、気づけば16年。あぁこんなにも時間が経っていたのかという感じです。
ですが、時間の積み重ねに嘘はなくて、昔の文字と見比べると筆ペンも毛筆もかなり上達しています。このレベルを維持したいという思いが、また明朝も起きようという意欲に自然と繋がるんです。
それに、教室には30年、35年と続けている方々がいらっしゃいます。ときにはご自分で教室をされている先生が自己研鑽に学習しにこられることもあります。そういう方々を見ると、自分にはまだまだ伸びしろがあるなと思います。
自分のためだけでなく、
人の役に立てることはうれしいものです。
先日、職場で定期行事がありました。本来は横断幕を飾るのですが、準備の際、毛筆で書ける人がいませんでした。周囲には、公文書写に通っていることを伝えていないので少し迷ったのですが、せっかく長年学習してきたので、「一度やってみるか」と自宅で墨をすり毛筆で書いてみました。会議用の長机くらいの大きな布にのびのびと。実際に書いてみると、すごく気持ちよかったです。それを持っていくと、職場の人たちもとても喜んでくれました。その時は、恥ずかしかったので自分で書いたとは公表せず「ちょっと知人が……」と言っていたのですが、最近は行事のたびに横断幕を持っていくのでそろそろみんな気づいているようですね。何年もかけて上達した文字が、自分のためだけでなく人の役に立てることはうれしいものです。16年、続けてきて本当によかったです。